Kの教科書

いやはやみなさん、ワールドカップで自ら進んで試合後にゴミ拾いをする日本人観戦者にしろ、マイ箸をちゃんとレストランに持ち込み、外出先でも割り箸を使わない日本人にしろ、ホントに凄いですよね。世界的には「どーでもいいでしょ!!」ってレベルまで目を配り、細かく無駄を集めて目に見える形で社会貢献してるわけだから。

果たしてその美意識はスポーツ観戦と食事時だけに発揮されるのか?ってそんなワケはなく、それがクルマ作りに発揮された例が今回ご紹介するスズキの「S-エネチャージ」で
あーる。

元々は2年前デビューのワゴンRに初搭載された画期的エコ技術「エネチャージ」の進化形で、そもそもが断捨離的で無駄を嫌うもの。大雑把にブレーキ時に捨てていた減速エネルギーを従来より効率よくオルタネーターで電気に変え、専用小型リチウムイオンに貯めて、効率よく使う独自のシステムだ。

ただ知っての通り、日本には既に本格ハイブリッドカーがあり、これまた無駄に捨てられていたブレーキエネルギーを大型電池に貯め、大型モーターでガソリンエンジンと一緒に使うシステム。ただし、本格ハイブリッドはそのために電気自動車並みの専用大型電池と専用モーター、専用回生ブレーキも要する。結果、一般車より40~50万円も値が高くなっていたわけだが、エネチャージ&S-エネチャージは実質数万円と安い。それは本格ハイブリッドに比べ、徹底的に無駄を省いた超日本人的な断捨離発想による。

実は両者は減速時に専用回生ブレーキを使わず、今までより高効率&高出力になったオルタネーターを使うのみ。より無駄を省いたわけだが、さらにS-エネチャージは貯めたエネルギーを動力としても使えるようになった。より本格ハイブリッドに近づいたわけだが、それでも専用モーターは決して持たない。エネチャージで高効率&高出力化したオルタネーターを、さらにモーターとしても使える「ISG」に進化させ、そこで電気を駆動力に変えるのだ。なんという美意識!なんという奥ゆかしい究極の倹約発想!!まさに古来日本人がクジラを肉はもちろん皮から骨から油から歯まですべて使い切ったような
やり方ではないか!

むろん本格ハイブリッドとは違い、モーター出力は1.6kWを最大6秒間と短く、エンジンパワーもトルクも従来型と変わらない。だが、モード燃費は2.4km/Lもアップ。なんとも見事なにっぽん倹約美学なのであ~る!!

小沢コージ

軽自動車への造詣が深いバラエティ自動車ジャーナリスト。
日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
『車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本』
(宝島社刊)が絶賛発売中。

小沢コージが語るS-エネチャージのポイント 1

圧倒的な低燃費!

ワゴンRはそもそも2年前のフルモデルチェンジで28.8km/L、1年前のマイナーチェンジで30km/Lを実現!これだけでも充分本格ハイブリッドカーに匹敵するくらい凄いのに、今回S-エネチャージに進化させることによってさらに2.4km/Lアップの32.4km/Lにまで到達!
それでいて実質装備価格は消費税抜きで約10万円アップの127万円。ハッキリ言ってバーゲンだ!

小沢コージが語るS-エネチャージのポイント 2

アイドリングストップからの再始動が静か

S-エネチャージでは基本的にモーター単独走行は出来ず、本格ハイブリッドのようなモーター駆動によるパワーアップ感もない。だが、アイドリングストップ後のエンジン再始動を今までのスターターモーターではなく、新型ISGを使ってベルト駆動するので振動が少なく滑らか。シブいポイントではあるが、着実に質感は上がっている。また、エネルギーの使用状況がひと目でわかる「エネルギーフローインジケーター」にも注目。ドライブ中、常に変化し続けるエネルギーの流れを視覚的に表示してくれるのだ。これで発電状況や、バッテリー残量がひと目で確認できるように。

小沢コージが語るS-エネチャージのポイント 3

室内の広さ、使いやすさはそのまま!

本格ハイブリッドだと、どうしても大型モーターを詰め込むためにエンジンルームがギューギューになるし、大型バッテリーをシート下やラゲッジ下に置くことになってシートやラゲッジ容量に影響する。だが、S-エネチャージでは小型高性能バッテリーを助手席下に収めるのみ。従来型ワゴンRと広さは全く変わらないのだ!

SUZUKI WAGONR

WAGON Rのここにも注目!

ここ何十年と日本の軽自動車界を引っ張ってきた王道中の王道、ワゴンR。広さと空気抵抗をバランスさせたトールワゴンボディに、乗り心地とハンドリングをほどよくバランスさせた走り、質感の高いインテリアが自慢だが、最近は特にマテリアルのよさにビックリ。樹脂の手触り、メタリックパネルのツヤ、とても軽とは思えない。

ワゴンRと言えば使い勝手のよさ。特に軽自動車とは思えないリアシートにビックリするが、その気になればリアのシートスライドを使ってラゲッジを広く取ることもできるし、背もたれを倒せばほぼフルフラットの広大なラゲッジ空間が広がる。前2人乗りに割り切ればまさにワゴン並みに広い!

まさにマイ箸や断捨離にも匹敵するにっぽん倹約美学の真髄!これぞ着物の裏地に凝るような超奥ゆかしい新ハイブリッドだっ!!

スズキ ワゴンR FZ

形式:DAA-MH44S
価格:1,372,680円~(消費税込み)
全長×全幅×全高:3,395×1,475×1,660mm
車両重量:790kg~
総排気量:658cc
エンジン種類:水冷4サイクル直列3気筒
最高出力(kW/rpm):38<52PS>/6,000
最大トルク(N・m/rpm):63<6.4kg・m>/4,000
駆動方式:FF(前2輪駆動)
ミッション:インパネシフトCVT
燃費:32.4km/L(JC08モード)