第77回パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム

スズキNEWエスクード総合2位!


7月4日アメリカ独立記念日にアメリカ・コロラド州コロラドスプリングスで開催された世界最大のヒルクライムレース「第77回パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」で、田嶋伸博選手の駆る「スズキNEWエスクード・パイクスピークスペシャル」が総合2位を獲得した。
今年でパイクス挑戦11年目となるスズキは、「スズキNEWエスクード・パイクスピークスペシャル」で参戦。ドライバーは、勿論「モンスター」こと田嶋伸博選手。今年4月、ニュージーランドで行われた「第2回クイーンズタウン・ゴールドラッシュ・インターナショナル・オートヒルクライム」で2年連続となる総合優勝を獲得しており、マシン・ドライバーともに絶好調。今大会も10分を切るレコードタイムでの総合優勝が期待された。
今年のパイクスピークのコースには、昨年部分的に散布された、路面を固めるためのタール状のケミカルがコース全域に散布された。一見グリップするように見えるのだが、その上に砂がのると非常に滑りやすくなる。また、滑りやすい路面とグリップする路面がコース上に混在し、マシンのセッティングを非常に困難なものにした。
決勝当日。快晴のうちにレースはスタートした。 しかし、トップセクション(山頂のゴール付近)は嵐になっているとの情報が流れた。 また、グリップする路面と滑りやすい路面の混在するコースに翻弄され、崖から落ちるマシンが続出。幾たびとレースは中断した。そのため、スズキ エスクードの属するアンリミテッド(改造無制限)クラスのスタートは、予定より大幅に遅れることになった。すると、にわかに曇り始め、スタート地点から16-19マイル地点では急激に気温が下がり始めた。 ライバルのロッド・ミレン選手(トヨタ・タコマ)は、予選トップの特権を生かし、急遽スターティングオーダーの変更を要請。本来であれば一番最後にスタートするところを、田嶋選手の前にスタートし天候が悪化する前に走りきる作戦に出た。

田嶋:「昨年とまったく同じで、ミレンが急遽先にスタートすることに変更したので下がってくれとオフィシャルに言われ、やむなく後ろに下がりました。何が起こっているのか確認したところ、トップセクションの天候が急変して突風と雨が降りそうなのだとの連絡でした。これでは全く昨年の二の舞になるのではと、大変不安な状況でスタートを待ちました。」

さらにミレンは田嶋選手にゆさぶりをかける。一度スタートラインに着いたものの、気温の変化に対応するエンジンセッティングに変更するために再びピットにマシンを戻し、スタートを一時取りやめたのだ。このためレースは混乱し、田嶋選手の集中を乱した。 そして、ようやくミレンがスタート。 しかし、路面温度が予想以上に低くタイヤがグリップせず、スピードがのらない。 ミレンは、10分11秒35でフィニッシュした。 果たして10分の壁を破り、総合優勝なるか。 田嶋選手の駆るスズキ エスクードの走りに期待がかかった。

そして、スタート! プラクティス、予選と順調な仕上がりを見せたスズキ エスクードは、ストレートを、コーナーを果敢に攻め、パイクスピーク山頂のゴールを目指す。

田嶋:「ボトムセクションからミドルセクションまでは快調で、これまでで最も良い走りが出来ました。」
しかし、問題のトップセクションに入ると、オフィシャルの言葉通り強風が吹き荒れていた。

田嶋:「横からの風でマシンは流され、かなり不安定な走行をしながらもペースは何とか維持し続けました。」

すると、風向きがエスクードに対して真正面に変わり、向かい風になってしまった。 その時エスクードはストレートを5速全で走行中だった。

田嶋:「その時5速で走行中でしたが、実際の走行速度よりもはるかにエアロダイナミクス効果が効いてしまい、車体がガクンと下がってほとんど路面との車高が無くなり、プラクテイスでは接触しなかったコース上の岩にヒットして車体が持ち上がり、その衝撃でフロントカウルの片方が外れてしまいました。」

エスクードは、このアクシデントによりフロントウィングを破損。さらにフロントカウルも外れかかってしまい非常に危険な状態となり、スローダウンを余儀なくされた。

田嶋:「マシンとしては(強い向かい風の影響で)230〜250kmくらいの速度で走行した時と同様のエアロダイナミクス効果が得られたと予想されます。エアロは速度の二乗で効いてきます。我々が風洞実験装置で完全にシミュレーションして、車高・サスセッテイングをしていた範囲をはるかに超えてしまい、コース上の岩にヒットして車体が持ち上がってしまったのです。その後は前方が見づらいのと、いつカウルが外れてしまい前が完全に見え無くなるか心配で、全く走れる状況ではありませんでした。」

そして何とかゴール。10分37秒35。トップのミレンに26秒届かなかったものの、それでも総合2位を獲得。
田嶋選手はゴール後、自分とミレンのタイム差を聞いた瞬間、ステアリングを叩き顔を真っ赤にして悔しがった。

田嶋:「今回は絶対に勝てる と思って準備をしていきましたし、そのように走れていたのに本当に残念です。タイム的にも、このような大きなトラブルで大幅にタイムロスをしたにもかかわらず、昨年より速いタイムでした。(あのアクシデントさえなければ)絶対に勝てたと思います。」

2度目の勝利を掴みかけていただけに、悔やまれる結果であった。
【競技結果】
順位 車両 ドライバー 決勝タイム
総合優勝 トヨタ・タコマ Rod Millen 10分11秒15
総合2位 スズキNEWエスクード・
パイクスピークスペシャル
田嶋 伸博 10分37秒35