2006年2月24日
スズキ財団 平成17年度科学技術研究助成について
− 26件、3,265万円の助成を決定 −
(1)研究助成について
財団法人 スズキ財団(理事長 鈴木 修)は、2月24日、全国の大学等から応募のあった助成申請に対して、平成17年度の科学技術研究助成として26件、助成総額3,265万円を決定した。
今回研究助成を行うものは、生産関連技術5件、環境・省エネルギー関連技術3件、計測・制御・解析関連技術8件、材料関連技術3件、電子・エレクトロニクス・情報関連技術1件、人間工学・医療関連技術3件、ロボット関連技術3件の合計26件であり、いずれも独創的、先進的な研究開発テーマである。
具体的には、
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生産関連では、生産ラインを動かしながら製品表面を全数検査する技術の研究や、金属超微粒子による成型技術の研究。(別表一覧のNo.8、No.17) |
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環境・省エネルギー関連では、サトウキビ廃棄繊維の残留糖分から生分解性樹脂をつくり、この樹脂によりコーティングを施した軽量高弾性複合物の開発・研究や、光酸化+超音波法、マイクロバブル法による水中有機物の分解技術の開発・研究。(No.12、No.23) |
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計測・制御・解析関連では、風力発電の風車を弾性翼として発電効率の向上を目指す研究や、最適な溶接諸条件を探る高速高精度三次元溶接高温割れ解析法の開発と応用に関する研究。(No.18、No.14) |
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材料関連では、疎水性の異なるイオン液体を複数合成して応用範囲を広げる研究。(No.21) |
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電子・エレクトロニクス・情報関連では、複雑なデータをコンピュータ内で汎用的に扱うための表現手法の研究。(No.2) |
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人間工学・医療関連では、高齢者によるハンドル形電動車いす使用時に必要な寸法・空間に関する基礎的研究。(No.4) |
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ロボット関連では、ロボットハンドを知能化し、外乱により把持に失敗した場合でも動作が不安定にならないシステムの開発。(No.26) |
など、今回も広い分野の研究テーマへの助成を決定した。(助成対象研究一覧は別紙の通り)
同財団はスズキ(株)が創立60周年の記念事業として基金を寄託し、昭和55年3月に設立したもので、本年で26回目の研究助成となる。
(2)スズキ財団のその他の助成及び活動について
同財団では、自然科学分野の基礎的・独創的な研究に対する助成に加えて、平成15年度より、時代の要請であり、且つ、可及的速やかに解決が求められる問題等につきテーマを設定して募集する「課題提案型研究助成」も実施している。研究期間は2年間、過去3年で3件の研究助成を行った。平成17年度は、自動車の安全向上に寄与する先進安全性に関する工学的研究として、「車載センサーフュージョン技術を用いた走行環境検知システムの開発」に対し助成を行う。
また、同財団では研究成果を普及させ、研究の更なる充実・発展を図るため国内外で行われるシンポジウム・フォーラム等の開催費や海外の学会等への渡航・宿泊費に対する助成、ブダペスト工科・経済大学等海外からの研究留学者の受け入れ助成、財団ニュースの発行等広く活動を行っている。
設立以来の助成内容は、総件数834件、累計助成総額10億1,840万円の実績となっている。また財団の平成17年4月1日現在の資産総額は約37億8千万円に達している。
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スズキ財団の概要 |
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財団名 |
財団法人 スズキ財団 |
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理事長 |
鈴木 修 (スズキ株式会社 取締役会長) |
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所在地 |
東京都新宿区大京町23−2 (TEL 03-3356-2555) |
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目 的 |
国民生活における利便の増進に資する機械等の生産及び利用、消費に関わる科学的研究の助成とその成果の普及を通じて、日本の機械工業の総合的な発展と国民福祉の増進に寄与する事を目的とする。 |
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資産総額 |
約37億8千万円(平成17年4月1日現在) |
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No. |
研究課題 |
機関名 |
役職 |
氏名 |
1 |
柔軟物体を操作対象としたデジタルモックアップシステムの研究 |
芝浦工業大学 |
助教授 |
足立吉隆 |
2 |
構造情報の一般的データ表現手法の研究 |
名古屋市立大学 |
講師 |
石川博 |
3 |
長距離自由度曲がり穴放電加工のための被加工物内電極位置・姿勢測定法の開発 |
大阪大学 |
助手 |
石田徹 |
4 |
高齢者によるハンドル形電動車いす使用時に必要な寸法・空間に関する基礎的研究 |
浅井学園大学 |
助教授 |
石橋達勇 |
5 |
管内を流れる高圧流体による管の破損予知および防止の研究 |
徳島大学 |
講師 |
一宮昌司 |
6 |
運動-視覚フィードバック機構に関わる神経ネットワークの非侵襲脳機能計測による可視化 |
独立行政法人
産業技術総合研究所 |
主任研究員 |
岩木直 |
7 |
高張力鋼板のニ軸塑性変形挙動の実験観察とそのモデル化 |
広島大学 |
助手 |
上森武 |
8 |
生産ライン上で表面品位の全数検査を可能にする表面粗さの高速インライン測定技術の開発と実用化 |
岡山大学 |
助教授 |
大橋一仁 |
9 |
熱焼反応流中における先進セラミック基複合材料の曝露試験法の提案 |
東北大学 |
助教授 |
岡部朋永 |
10 |
交通事故の心理的背景要因の調査研究 |
芝浦工業大学 |
助教授 |
春日伸予 |
11 |
CFRPの損傷力学に基づく切欠き強度予測モデルの定式化と数値シミュレーション技術の開発 |
筑波大学 |
教授 |
河井昌道 |
12 |
残留糖分を利用したバガス繊維直接薄膜生分解性樹脂生成によるグリーンコンポジットの開発 |
琉球大学 |
助手 |
柴田信一 |
13 |
ナノ計測一体型超微細加工システムのためのダイヤモンドプローブの開発 |
豊橋技術科学大学 |
助教授 |
柴田隆行 |
14 |
高速高精度三次元溶接高温割れ解析法の開発とその応用 |
大阪府立大学 |
助手 |
柴原正和 |
15 |
運転時マイクロスリープの早期検出〜〜その防止を目指して |
豊橋技術科学大学 |
COE研究員 |
関口雄祐 |
16 |
C/C‐SiC(炭化ケイ素充填C/Cコンポジット)材料の自動車部品への利用について‐機械加工方法の研究‐ |
大阪府立
工業高等専門学校 |
助教授 |
田代徹也 |
17 |
超微粒子エアロゾル流を用いたマイクロモールディング |
静岡大学 |
助教授 |
田中繁一 |
18 |
弾性直線翼を有するダリウス型風車の効率向上に関する研究 |
富山大学 |
助手 |
田中太 |
19 |
動的環境の自立走行を目的とした実時間環境モデリング技術の開発 |
九州大学 |
助手 |
田中完爾 |
20 |
バイオケミカルプロセスによる自動車廃棄物の処理と再資源化 |
筑波大学 |
助教授 |
中島敏明 |
21 |
疎水性をチューニングしたイオン液体の開発と電気化学的安定性の検討 |
京都大学 |
助手 |
西直哉 |
22 |
複数のモードを同時に不可観測とする空間フィルタの設計 |
埼玉大学 |
助手 |
細矢直基 |
23 |
光酸化−超音波法、マイクロバブル法による水中有機物の分解技術の開発 |
静岡大学 |
助手 |
前澤昭礼 |
24 |
ヒューマンエラーを補償するロバスト・インテリジェント制御 |
広島大学 |
助教授 |
向谷博明 |
25 |
機械材料の腐食環境下(海水中)におけるキャビテーション壊食 |
東京海洋大学 |
助教授 |
望月敬美 |
26 |
力学系の相互作用を用いた物体の把持・操り技能の生成 |
山口大学 |
助手 |
渡辺哲陽 |