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1999年11月1日

超音波を用い鉄とアルミを接合し一体化する
新技術「超音波ソルダリング法」を開発し、
部品の量産を開始。


 スズキ株式会社は、亜鉛ハンダに超音波を当てて異種材料である鉄とアルミニウムを接合する技術を開発、二輪車部品に採用し量産を開始する。

 従来、工業製品において鉄とアルミのように融点など物性の異なる異種材料は接合できないと考えられてきた。今回スズキでは、アルミニウム部品同士の接合法として実用化されている「超音波ソルダリング法」に着目し、応用技術を開発、異種材料である鉄パイプとアルミダイキャスト部品を接合し一体部品とする量産技術を初めて開発した。

 本技術は、第33回東京モーターショー出品の二輪車「DR−Z400S」のエンジン部品であるウォーターポンプケースから採用する。


技術の概要…接合手順と原理
鉄パイプの表面を活性化させるために銅メッキを施す。
鉄パイプとアルミニウム部品を接合する部分に亜鉛ハンダを挟む。
鉄パイプ、ハンダ、アルミニウム部品を亜鉛ハンダが融けるまで加熱する。
亜鉛ハンダが融けた状態のところに、超音波を数秒間加える。
超音波が融けた亜鉛ハンダの中でキャビテーション(真空状態の泡)を発生させて、泡が破裂するときに衝撃波を発生する。
衝撃波で鉄パイプの銅メッキ膜及びアルミニウム表面の酸化膜が破壊され、鉄とアルミニウムの活性面が現れて、亜鉛ハンダとの間で金属接合ができる。




  の概念図



  の概念図



鉄パイプに銅メッキを施した上で、衝撃波により銅メッキを破壊し鉄の活性面を露出させ、金属接合を可能とした点が開発の大きなポイントとなった。


従来の方法
従来、ウォーターポンプケースは鉄パイプにフランジ(留め具)をロウ付けした上で、アルミダイキャスト部品とボルトで締結していた。また、ボルト締めのため、接合部の水漏れ防止のための加工及びパッキン(Oリング)が必要である。
また、他の接合法としてアルミニウム部品に鉄パイプを圧入する方法もあるが、接合部の水漏れ防止のための加工及びシール剤の塗布が必要である。
 
 
新技術のメリット
接合部形状が真円だけに制約されないため、形状の自由度が増し、また部品の張り出しも減少するため、部品のコンパクト化が可能となる。
圧入する方法より強固な接合ができ信頼性が向上する。
ボルト、Oリングなどの部品削減、及び鉄パイプとアルミニウム部品のフランジ部の削減による軽量化。


 なお本技術は、二輪車に限らず幅広い範囲で適用可能で、将来的には四輪車部品の軽量化への応用等も期待できる。