
いよいよ新型スイフトの走りを味わうときがきた。フラットなトルク特性が持ち味の新型1.2リッターエンジンと副変速機構付きの新CVTとのマッチングは絶妙で、高い静粛性を保ったままスムーズに加速していく。エンジン回転数と速度の伸びが不連続という、CVT特有の違和感をしっかりと抑え込みつつ、段差のない実にスムーズな加速というCVTの長所のみを巧みに引き出している。もちろん、燃費の追求も行われている。エンジン本体の徹底した内部フリクションの低減や軽量化によって、動力性能を犠牲にすることなく先代の21.0km/Lから23.0km/Lへと向上。75%のエコカー減税にもキッチリ対応してきている。

最終コーナーを立ち上がり、一気に加速する。速度は100km/hを優に超えるが、車内に侵入してくるノイズは驚くほど小さい。エンジン音、タイヤ音、風切り音…すべての騒音源が厳しくチェックされ、入念な封じ込め対策が実施されているためだ。優れた直進安定性を含め、高速道路での快適性は国産コンパクトカーの常識を超えるレベルに達している。その他、信頼感の高いブレーキ、気持ちのいいクイック感と意のままに操れる正確性を両立したハンドリング、高いスタビリティには、欧州の過酷かつバリエーションに富んだ道を徹底的に走り込んだ成果がはっきりと表われている。
先代スイフトの走行性能は、モデル末期に至るまで他の国産ライバルの追随を許さなかった。そのポテンシャルをさらに高めることに成功した新しいスイフトは、経済性が売りの下駄グルマという、日本のコンパクトカーのイメージを一新する一台だ。今回はサーキットで試乗したが、一般道路を普通の速度で走ってもライバルとの違いは十分に体感できるし、高速道路を走ればさらに「目指すものの違い」を感じ取れるに違いない。百聞は一見にしかず。まずは試乗してみることをオススメする。他のコンパクトカーを買うにせよ、それは新型スイフトの味を知ってからでも遅くはないのだから。



岡崎五朗 Goro Okazaki
1966年生まれ。青山学院大学理工学部機械工学科在学中から執筆活動を始め、卒業 と同時にフリーランスの自動車ジャーナリストとして活動を開始。現在、自動車専 門誌、一般男性誌の他、テレビ神奈川『岡崎五朗のクルマでいこう!』のメイン キャスターを務める。高校時代はモトクロス、大学卒業後はVWポカールなどの4輪 レースにも参戦。自慢は初レースでポールポジションを獲得したこと。日本自動車 ジャーナリスト協会理事。







