スズキ財団平成19年度科学技術研究助成について
-計37件、5,548万円の助成を決定-
科学技術研究助成について
財団法人 スズキ財団(理事長 鈴木 修)は、2月22日、全国の大学等研究機関から応募のあった助成申請に対して、平成19年度の科学技術研究助成として35件、助成総額4,198万円を決定した。
今回研究助成を行うものは、環境・省エネルギー関連技術2件、計測・制御・解析関連技術15件、材料関連技術10件、電子・エレクトロニクス・情報関連技術4件、人間工学・医療関連技術1件、ロボット関連技術3件の合計35件であり、いずれも独創的、先進的な研究開発テーマである。
- 環境・省エネルギー関連では、高速・超精密テラヘルツ分光法を用いた大気ガスのモニタリングを行う研究。(No.32)
- 計測・制御・解析関連では、炭素繊維強化プラスチック積層板の疲労特性を調査し疲労限の存在を明らかにし疲労寿命を評価する研究、或いは、電流制御によって振動を除去し高効率・超低振動・低騒音を実現する環境に優しいモータ制御に関する研究。(No.13、No.19)
- 材料関連では、輸送機器等への適用を目的としたグリーンコンポジットを用いた衝突エネルギー吸収材の開発、或いは、マグネシウム合金板の引張り曲げ成形におけるスプリングバックについてマルチスケール的な観点から変形特性を解明する研究。(No.8、No.24)
- 電子・エレクトロニクス・情報関連では、高速、高精度、5自由度制御が可能な磁気浮上アクチュエータを用いた精密・微細放電加工の研究。(No.21)
- 人間工学・医療関連では、映像より顔を検出し色特徴と複数視点のカメラ情報を用いて姿勢変化の大きな人物も安定して追跡可能な監視システムを開発する研究。(No33)
- ロボット関連では、人間の知覚情報処理メカニズムを応用した環境の変動に頑健なロボットコントローラの実現を目指す研究。(No.17)
同財団はスズキ(株)が創立60周年の記念事業として基金を寄託し、1980年3月に設立したもので、本年で28回目の研究助成となる。
スズキ財団のその他の助成及び活動について
同財団では、自然科学分野の基礎的・独創的な研究に対する助成に加えて、平成15年度より、時代の要請であり、且つ、可及的速やかに解決が求められる問題等につきテーマを設定して応募を募る「課題提案型研究助成」も実施している。研究期間は2年間、過去4年で5件の研究助成を行った。平成19年度は、環境保全やエネルギー資源の節約に配慮した自動車関連製品の製造(生産方法、加工法、各種材料等の開発・改善や評価、リサイクルやLCA 等)に関する工学的研究として、「鋳巣の三次元的形状・分布を考慮したアルミニウム合金ダイカストの疲労設計に関する研究」、及び、「超ナノ微結晶ダイヤモンド膜を機械部品・金型に強付着強度でコーティングするための中間層の研究開発」の2件に対し1,350万円の助成を行った。
また、同財団では研究成果を普及させ、研究の更なる充実・発展を図るため国内外で行われるシンポジウム・フォーラム等の開催費や海外の学会等への渡航・宿泊費に対する助成、ブダペスト工科・経済大学等海外からの研究留学者の受け入れ助成、財団ニュースの発行等広く活動を行っている。
設立以来の助成内容は、総件数951件、累計助成総額11億3,951万円の実績となっている。また財団の平成19年3月末現在の資産総額は約41億8千万円に達している。
スズキ財団の概要
財団名 | 財団法人 スズキ財団 |
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理事長 | 鈴木 修(スズキ株式会社 取締役会長) |
所在地 | 東京都新宿区大京町23-2 |
TEL | 03-3356-2555 |
FAX | 03-3356-2505 |
目 的 | 国民生活における利便の増進に資する機械等の生産及び利用、消費に係わる科学的研究の助成とその成果の普及を通じて、日本の機械工業の総合的な発展と国民福祉 の増進に寄与することを目的とする。 |
資産総額 | 約41億8千万円(平成19年3月末現在) |
平成19年度 スズキ財団 助成一覧
No. | 研究課題 | 機関名 | 役 職 | 氏 名 |
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1 | 3次元CADデータベースからの形状類似検索の研究 | 豊橋技術科学大学 | 教授 | |
2 | 非拘束かつ非侵襲なドライバの眼球運動検出に関する研究 | 山口大学 | 助教 | |
3 | マイクロディンプル形状による固体潤滑被膜Diamond Like Carbonの摩擦係数制御 | 広島大学 | 助教 | |
4 | HILSによる電源系の計測制御システムの構築と小型EVへの応用 | 西日本工業大学 | 講師 | |
5 | 熱電素子を用いた発電モジュールの創成的最適設計法の開発 | 京都大学 | 助教 | |
6 | パワートレイン部品を指向した超耐熱マグネシウム鋳造合金の開発 | 千葉大学 | 助教 | |
7 | 衝撃変形下におけるTRIP鋼の組織変化計測と数値シミュレーションによるメカニズムの検討 | 広島大学 | 助教 | |
8 | 天然繊維強化生分解性プラスチックによる衝突エネルギー吸収材の開発 | 日本大学 | 助手 | |
9 | 小形スターリング冷凍機を用いた車載用省エネ型保温冷庫に関する研究 | 国士舘大学 | 准教授 | |
10 | 多点金型支持機構を用いた順送型による高精度加工技術の研究 | 国士舘大学 | 准教授 | |
11 | 先進繊維強化複合材料におけるメゾ損傷へのミクロスコピックアプローチ | 東京理科大学 | 准教授 | |
12 | 半導体物性の利用による単結晶シリコンの機械疲労寿命評価デバイスの開発 | 名古屋工業大学 | 教授 | |
13 | CFRP 積層板のギガサイクル疲労特性 | 早稲田大学 | 教授 | |
14 | 微細噴流を利用したコールドチューブ内における熱・物質輸送の解明 | 大島商船高等専門学校 | 准教授 | |
15 | 歪み制御による低温動作薄膜型酸素ガスセンサの創製 | 東京工業大学(東北大学) | 助教 准教授 |
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16 | 多孔質概念を用いた触媒内熱流動場の非定常数値シミュレーション | 静岡大学 | 准教授 | |
17 | ダイナミックタッチを応用したロボットコントローラの提案~工業用ロボットを超える新しいロボットの実現へ向けて~ | 東京工業大学 | 助教 | |
18 | 微小組立要素における振動付加システムの構築 | 富山大学 | 助教 | |
19 | 高効率・超低振動・低騒音を両立した環境に優しいモータ制御に関する研究 | 三重大学 | 助教 | |
20 | バンドギャップ効果を利用した自動車用制振構造の最適設計法に関する研究 | 広島大学 | 助手 | |
21 | 磁気浮上アクチュエータを用いた精密・微細放電加工の研究 | 東京工業大学 | 助教 | |
22 | 非線形モデル予測制御理論を用いた高速・高精度鋳込み量制御システムの開発 | 豊橋技術科学大学 | 助教 | |
23 | 高速双ロールキャスターによる5000系アルミニウム合金自動車ボディーシート材の革新的低コスト化 | 大阪工業大学 | 教授 | |
24 | マグネシウム合金板成形におけるマルチスケール変形特性 | 京都大学 | 助教 | |
25 | 自動車電源用高周波非絶縁型DC-DC コンバータの研究開発 | 呉工業高等専門学校 | 助教 | |
26 | 特定の環境で機能するインテリジェントゲルの開発 | 山形大学 | 助教 | |
27 | 自動車性能・形状データの活用による車両構造の設計指針の検討 | 早稲田大学 | 准教授 | |
28 | 微小液滴型マイクロリアクターにおける急速攪拌の試み:Taylor 循環流による液滴内撹拌挙動の検討 | 東京学芸大学 | 准教授 | |
29 | 高圧環境下における混合燃料液滴の自発点火現象の解明 | 九州大学 | 准教授 | |
30 | バイオMEMS 技術による生命電子機械インターフェースの開発 | 東京農工大学 | 准教授 | |
31 | 高強度アルミ合金製ボルトの開発(微粒子衝突処理による耐食性および疲労強度の向上) | 京都工芸繊維大学 | 准教授 | |
32 | 高速・超精密テラヘルツ分光法を用いたリアルタイム大気環境モニタリング | 大阪大学 | 助教 | |
33 | 顔検出と色特徴抽出による複数視点リアルタイム人物追跡システムの開発 | 静岡大学 | 助教 | |
34 | 高温下における保護皮膜の全方向弾性係数の超音波算定に関する研究 | 大阪電気通信大学 | 准教授 | |
35 | 自動車部品用マグネシウム基傾斜機能材料の開発 | 名古屋工業大学 | 教授 |
課題提案型研究助成
No. | 研究課題 | 機関名 | 役 職 | 氏 名 |
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1 | 鋳巣の三次元的形状・分布を考慮したアルミニウム合金ダイカストの疲労設計に関する研究 | 東京大学 | 教授 | |
2 | 超ナノ微結晶ダイヤモンド膜を機械部品・金型に強付着強度でコーティングするための中間層の研究開発 | 九州大学 | 准教授 |