2010年2月19日

スズキ財団平成21年度科学技術研究助成について

- 計34件、4,856万円の助成を決定-

財団法人 スズキ財団(理事長 鈴木 修)は、2月19日、全国の大学等研究機関から応募のあった助成申請に対して、平成21年度の科学技術研究助成および課題提案型研究助成として計34件、助成総額4,856万円を決定した。

科学技術研究助成について

今回の科学技術研究助成は、生産関連技術2件、環境・省エネルギー関連技術6件、計測・制御・解析関連技術10件、材料関連技術8件、電気・電子・情報関連技術1件、人間工学・医療関連技術4件、ロボット関連技術2件の合計33件であり、いずれも独創的、先進的な研究開発テーマである。

具体的には、
  • 生産関連技術では、低コストで簡単に運転が可能な成形装置内直接通電加熱熱間ガスバルジ法の開発に関する研究。(No.25)
  • 環境・省エネルギー関連では、高効率マイクロ波を用いた無線電力伝送技術に関する研究、或いは、リチウムイオン二次電池の大型化に向けた有機-無機ハイブリッド電解質の設計と開発に関する研究。(No.1、 No.19)
  • 計測・制御・解析関連では、繰り返しナノパルス放電プラズマを用いた希薄燃焼時の点火特性改善と初期燃焼機構の解明に関する研究、或いは、プラズマアクチュエータを用いた円柱後流に関する抵抗低減メカニズムの解明に関する研究(No.17、 No.31)
  • 材料関連では、多孔質シリカを担持体としたカーボンナノチューブ(CNT)の単分散化による軽金属材料の摩擦係数の低減に関する研究、或いはレーザーピーニングによる摩擦攪拌接合(FWS)継ぎ手材の疲労特性向上に関する研究(No.9、No.26)
  • 電気・電子・情報関連では、電気自動車に対して、高速且つ安全な電力の送受信を可能にする、新しいエネルギーデバイスの開発のための研究。(No.8)
  • 人間工学・医療関連では、事故を未然に防止する一人称ビジョンセンサを用いた二輪車運転者の視野解析に関する研究。(No.30)
  • ロボット関連技術では、産業用ロボットの省エネルギー・省駆動を実現する最適軌道生成のための研究(No.15)
など、今回も広い分野の研究テーマへの助成を決定した。(助成対象研究一覧は以下の通り)

課題提案型研究助成について

同財団では、自然科学分野の基礎的・独創的な研究に対する助成に加えて、平成15年度より、時代の要請であり、且つ、可及的速やかに解決が求められる問題等につきテーマを設定して応募を募る「課題提案型研究助成」も実施している。研究期間は2年間、過去6年で8件の研究助成を行った。平成21年度は、環境・資源エネルギーに関する工学的研究として、鉛を含まないⅣ-Ⅵ族半導体をベースにした高効率な混晶・量子井戸熱変換材料を開発、その実用化に向けた基礎的研究である「非鉛系Ⅳ-Ⅵ族半導体高性能熱電変換材料の開発」1件に対し856万円の助成を行った。

その他の助成及び活動について

また、同財団では研究成果を普及させ、研究の更なる充実・発展を図るため国内外で行われるシンポジウム・フォーラム等の開催費や海外の学会等への渡航・宿泊費に対する助成、ブダペスト工科・経済大学等海外からの研究留学者の受け入れ助成、財団ニュースの発行等広く活動を行っている。

同財団はスズキ(株)が創立60周年の記念事業として基金を寄託し、1980年3月に設立したもので、本年で30回目の研究助成となる。
設立以来の助成内容は、総件数1,077件、累計助成総額12億5,818.5万円の実績となっている。また財団の平成21年3月末現在の資産総額は約44億9千万円となっている。

スズキ財団の概要

財団名 財団法人 スズキ財団
理事長 鈴木 修(スズキ株式会社 取締役会長兼社長)
所在地 東京都新宿区大京町23-2
TEL 03-3356-2555
FAX 03-3356-2505
目的 国民生活における利便の増進に資する機械等の生産及び利用、消費に係わる科学的研究の助成とその成果の普及を通じて、日本の機械工業の総合的な発展と国民福祉の増進に寄与することを目的とする。
資産総額 約44億9千万円(平成21年3月末現在)

平成21年度 スズキ財団 助成一覧

科学技術研究助成

No. 研究課題 機関名 役 職 氏 名
1 高効率マイクロ波無線電力伝送に関する研究・開発 広島市立大学 講師 安 昌俊アン チャンジュン
2 磁気機能性流体を利用した電力伝送効率向上に関する研究 名古屋工業大学 教授 井門 康司イド ヤスシ
3 繊維状多孔質におけるメゾスコピックな濡れ発達過程に関する研究 東京理科大学 准教授 上野 一郎ウエノ イチロウ
4 レーザー照射を利用した鉄鋼材料表面マイクロ窒化技術の開発 北見工業大学 講師 大津 直史オオツ ナオフミ
5 電磁駆動弁式連続可変バルブリフトによる高効率内燃機関の研究 日本工業大学 助教 岡崎 昭仁オカザキ アキヒト
6 酵素反応で重合したポリフェノールによるパラジウムの吸着 佐賀大学 助教 川喜田 英孝カワキタ ヒデタカ
7 ナノ酸化物を埋め込んだ新規メソポーラスカーボンを用いた高容量空気電池の開発 名古屋工業大学 教授 川崎 晋司カワサキ シンジ
8 車載用フラクタルアンテナの開発による電力伝送の検討 大阪大学 准教授 桐原 聡秀キリハラ ソウシュウ
9 多孔質シリカを担持体としたCNTの単分散化による軽金属材料の摩擦係数の低減 大阪大学 教授 近藤 勝義コンドウ カツヨシ
10 排ガス中のスス燃焼除去触媒開発を目指した高結晶性金属酸化物ナノ粒子合成 広島大学 准教授 定金 正洋サダカネ マサヒロ
11 高齢者の生活特性とハンドル形電動車いす使用の行動計測に基づく実態調査 東京大学 講師 小竹 元基シノ モトキ
12 環境接触作業実現のためのヒューマノイドロボットの全身制御方法の開発 静岡大学 助教 清水 昌幸シミズ マサユキ
13 非破壊型プラスチック内部計測可能な小型非線形振動分光装置の開発 静岡大学 准教授 杉田 篤史スギタ アツシ
14 テザー飛行ロボットによる自律風力発電・情報収集発信システムの構築 福井大学 講師 高橋 泰岳タカハシ ヤスタケ
15 産業用ロボットの省エネルギー・省力駆動を実現する動力学モデルを必要としない最適軌道生成 金沢大学 教授 立矢 宏タチヤ ヒロシ
16 粒子法を用いた衝突安全性能評価に関する基礎的研究 広島大学 助教 田中 智行タナカ サトユキ
17 繰り返しナノパルス放電プラズマを用いた希薄燃焼時の点火特性改善と初期燃焼機構の解明に関する研究 大分大学 准教授 田上 公俊タノウエ キミトシ
18 乗車疲労の人体振動特性に及ぼす影響 首都大学東京 助教 玉置 元タマオキ ゲン
19 リチウムイオン二次電池の大型化に向けた有機-無機ハイブリット電解質の設計と開発 静岡大学 准教授 冨田 靖正トミタ ヤスマサ
20 木質バイオマス材からの石油代替化学材料の創製に関する研究 高知工業高等専門学校 教授 永橋 優純ナガハシ ユスミ
21 溶接部を対象とした超音波探傷シミュレータの精度検証 愛媛大学 准教授 中畑 和之ナカハタ カズユキ
22 自動車用はすば歯車のかみ合い摩擦損失シミュレーション 室蘭工業大学 助教 成田 幸仁ナリタ ユキヒト
23 局所的高衝撃力を受けた金属材料表面改質層の材料特性同定技術の研究 東北大学 准教授 西川 雅章ニシカワ マサアキ
24 複数の障害物の運動を考慮した自動車の障害物緊急自動回避システムの開発 東京農工大学 助教 林 隆三ハヤシ リュウゾウ
25 自動車用中空足回り部品を複雑成形する急速通電加熱を応用した熱間ガスバルジ法の開発 豊橋技術科学大学 助手 前野 智美マエノ トモヨシ
26 レーザピーニングによる摩擦攪拌接合(FSW)継手材の疲労特性向上に関する研究 沖縄工業高等専門学校 准教授 政木 清孝マサキ キヨタカ
27 波動的観点を援用した有限要素法における中・高周波数領域での解析精度のメッシュ依存性 山梨大学 准教授 松村 雄一マツムラ ユウイチ
28 シェルにおける振動インテンシティ簡易計測システムの構築 山口大学 教授 三上 真人ミカミ マサト
29 円筒部品表面の微細深堀りプラズマエッチング加工技術の開発 山口大学 教授 南 和幸ミナミ カズユキ
30 一人称ビジョンセンサを用いた二輪車運転者の視野解析 (独)産業技術総合研究所 研究員 山崎 俊太郎ヤマザキ シュンタロウ
31 プラズマアクチュエータを用いた円柱後流に関する抗力低減メカニズムの解明 東京理科大学 嘱託助教 山田 俊輔ヤマダ シュンスケ
32 高齢者向け通信機能を装備した操作ミスの少ない軽車両の開発 名城大学 准教授 山田 宗男ヤマダ ムネオ
33 塑性変形によって生じる金属板の表面粗さの発達およびひずみ局所化現象 山形大学 助教 吉田 健吾ヨシダ ケンゴ

課題提案型研究助成

No. 研究課題 機関名 役 職 氏 名
1 非鉛系IV-VI族半導体高性能熱電変換材料の開発 静岡大学 教授 石田 明広イシダ アキヒロ

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