2009年4月28日
スズキ、「低価格・低環境負荷を実現した
高速めっきシステムの開発と実用化」により
「市村産業賞 貢献賞」を受賞
スズキは、「低価格・低環境負荷を実現した高速めっきシステムの開発と実用化」について、産業分野で優れた技術開発・功績に対して授与される「市村産業賞 貢献賞」を受賞した。
「高速めっきシステム」は、電解エッチング法やクローズドめっき法を総称するもので、エンジンの主要部品であるシリンダの内壁にめっきを施すシステムである。めっきの処理時間短縮や、薬品使用量の低減により環境負荷を低減させることができる。
スズキではこの技術を主要な二輪車に採用し、タイ、インドネシアの海外二輪車工場へも展開している。今後は四輪車への実用化に向け取り組んでいく。
業績名 | 低価格・低環境負荷を実現した高速めっきシステムの開発と実用化 |
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(1) アルミダイカスト合金へ適用可能なめっき前処理技術 | |
(2) 環境負荷を低減しためっき前処理技術化 | |
(3) めっき時間を大幅に短縮したクローズドめっき技術 | |
受賞理由 | 従来のめっきシリンダは製造コストが高く、生産工程でも多くの薬品を使用することにより環境影響が大きかったが、この度地球環境に優しいめっきシリンダを低価格で生産できる新技術の開発・実用化に成功したことが評価された。 |
受賞者 | スズキ株式会社 開発部 村松 仁、河合 眞、石塚 哲 |
表彰日 | 2009年4月28日 11:00~13:00 |
表彰会場 | 東京都内ホテル |
市村産業賞の概要
リコー株式会社創業者市村清氏の発案により、(財)新技術開発財団が主催する賞。科学技術の進歩と産業の発展を対象として、産業分野、学術分野で多大なる貢献をした個人またはグループを表彰する。スズキとしては、1986年の「オートバイのエキセントリックカム式リヤーサスペンションの開発」、2005年の「排気マニホールド用バナジウム添加耐熱鋳鉄の開発」に続き、今回で3度目の受賞となる。
高速めっきシステムの仕組み
- 「電解エッチング法」は、これまで複数の工程が必要であっためっき前処理を、電解エッチング処理の1工程で完了させる方法である。工程数と処理時間を削減し、薬品使用量を低減させることができる。
- 「クロースドめっき法」は、密閉したシリンダ内壁へめっき液を効率的に送り込む方法で、大電流の供給によりめっきの成膜速度を高め、処理時間の短縮を可能にする。

高速めっきシステムの特長
- めっき処理システム全体の規模をコンパクトにできる。
- 密封されためっき処理設備で、必要な部分にだけめっき処理が出来るため、めっき液の持ち出し量が少なく、作業環境が良い。
- 従来の浸漬方式に比べ、めっき時間を約5分の1に短縮できる。
- 使用する薬品量が少なくて済むため、環境負荷が少ない。
採用例
- 原付スクーター「レッツ4」シリーズをはじめ、「バンディット1250」等、二輪車に幅広く採用している。