2016年2月19日

スズキ財団平成27年度の助成について

総額7,682万円、内研究助成として29件、6,803万円の助成を決定

公益財団法人 スズキ財団(理事長 鈴木 修)は2月19日、全国の大学等研究機関から応募のあった助成申請に対して、平成27年(2015年)度の科学技術研究助成および課題提案型研究助成として29件、6,803万円の助成を決定した。その他の助成とあわせ、本年度の助成総額は7,682万円となる。

平成27年度 助成の内容 件数 助成額
(1)科学技術研究助成 26件 3,400万円
(2)課題提案型研究助成 3件 3,403万円
(1)+(2)小計 29件 6,803万円
(3)その他の助成及び活動 33件 879万円
助成総件数、総額 62件 7,682万円

※助成対象研究は別紙「平成27年度 科学技術研究助成内定者一覧」の通り

(1)科学技術研究助成について

本年度の科学技術研究助成は、生産関連技術、環境・資源エネルギー関連技術、計測・制御・解析関連技術、材料関連技術、電気・電子・情報関連技術、人間工学・医療関連技術、ロボット関連技術の7つの研究分野を対象に公募され、計26件の研究テーマへの助成を決定した。いずれも独創的、先進的な研究開発テーマで、総額3,400万円を助成する。

(2)課題提案型研究助成について

同財団では、自然科学分野の基礎的・独創的な研究に対する助成に加えて、2003年度より、時代の要請であり、かつ、可及的速やかに解決が求められる問題等につきテーマを設定して応募を募る「課題提案型研究助成」も実施している。研究期間は2年間、過去13年で20件の研究助成を行った。
平成27年度は、高齢者もしくは身体障がい者の自立的な生活確保につながることを目的として自動車など移動体の安全技術分野に関する研究や、2020年に実際に使用されることを目指した補装具に関する研究など、下記の3件に対し課題提案型研究助成を行った。
1)自動運転システムの制御に関する研究である「ドライバと自動車・自動車と自動車の共進化を可能とする高度運転支援システムの開発」
2)高齢者用に自律的支援機構を付加した電動車イスを目指した「高齢ユーザの移動の質向上を目指した長期利用可能なモビリティ」
3)競技パフォーマンスを最大化するスポーツ用義足の開発を目指した「運動フォームと機構の同時最適化による競技者へ適合するスポーツ義足の設計開発」
本年は、新規決定の3件と昨年度決定2件の2年目分をあわせ、総額3,403万円を助成する。

(3)その他の助成及び活動について

また、同財団では研究成果を普及させ、研究の更なる充実・発展を図るため国内外で行われるシンポジウム・フォーラム等の開催費や海外の学会等への渡航・宿泊費に対する助成、ブダペスト工科・経済大学等海外からの研究留学者の受け入れに対して総額879万円の助成を行う。また財団ニュースの発行等広く活動を行っている。

同財団はスズキ(株)が創立60周年の記念事業として基金を寄託し、1980年3月に設立したもので、2011年4月1日、新しい公益法人制度に則り公益財団法人となった。研究助成は本年で36回目となる。
設立以来の助成件数及び金額は、総件数1,441件、累計助成総額16億1889万円の実績となっている。また財団の2015年3月末現在の資産総額は約80億93百万円となっている。

スズキ財団の概要

財団名 公益財団法人 スズキ財団
理事長 鈴木 修(スズキ株式会社 代表取締役会長)
所在地 東京都港区東新橋2丁目2番8号 スズキビル東新橋2階
TEL 03-3431-2255
FAX 03-3431-3558
目的 国民生活における利便の増進に資する機械等の生産及び利用、消費に係わる科学的研究の助成とその成果の普及を通じて、日本の機械工業の総合的な発展と国民福祉の増進に寄与することを目的とする。
資産総額 約80億93百万円(平成27年3月末現在)

平成27年度 科学技術研究助成内定者一覧

科学技術研究助成

No. 研究課題 機関名 役職 氏名シメイ(50音順) 専門分野
1 半導体製造プロセスで用いられる超高純度ガス中の残留微量水分評価技術の開発 産業技術総合研究所 研究員 天野アマノ みなみ 計測標準
2 加速音質制御システムの開発 広島市立大学 教授 石光イシミツ 俊介シュンスケ 音響工学
3 太陽エネルギー利用システムの開発 早稲田大学 准教授 梅津ウメズ 信二郎シンジロウ マイクロ3Dプリンタなどの特殊マイクロ加工
4 モデル誤差抑制補償に基づいたロバストな車両運動制御系の構築 熊本大学 准教授 岡島オカジマ ヒロシ 制御工学
5 舌の運動・触感覚機能を活用した身障者用機器操作インターフェースの開発 東北学院大学 教授 梶川カジカワ 伸哉シンヤ ロボット工学、人間工学
6 消炎を考慮した3次元および0次元火炎伝播モデルの開発と希薄燃焼の高効率化効果の検討 早稲田大学 助教 喜久里キクサト アキラ 熱力学、流体力学、伝熱工学
7 磁場効果を用いたロール型ハイブリッド熱電素子の開発 茨城大学 准教授 小峰コミネ 啓史タカシ 磁性材料、熱電材料、電子デバイス
8 希薄予混合火炎挙動安定化のための時間可変角度旋回羽根の開発 岐阜大学 教授 小宮山コミヤマ 正治マサハル 燃焼工学、伝熱工学
9 散逸エネルギー計測に基づくアルミニウム合金の迅速疲労限度推定 神戸大学 准教授 塩澤シオザワ 大輝ダイキ 材料物理、個体力学
10 磁気粘性グリースを用いた可制御型ダンパによる振動低減 横浜国立大学 准教授 白石シライシ 俊彦トシヒコ 機械力学・計測制御、バイオメカニクス、インテリジェントシステム
11 電気自動車に使用するモータ用軸受の電食防止グリースの開発 福岡工業大学 准教授 砂原スナハラ 賢治ケンジ トライボロジー、設計工学
12 重症交通外傷患者予後改善のための「重症交通外傷データベース」の構築 日本医科大学 助教 田上タガミ タカシ 外傷外科・医療システム・データベース研究
13 プロキシレファレンスによるライブデジタルビデオの画質の自動予測 静岡大学 准教授 Chandlerチャンドラー,Damon デイモン Michaelマイケル 知覚画像映像処理
14 高機能小細孔ゼオライトを活用した排ガス浄化の開発 広島大学 助教 津野地ツノジ ナオ 無機工業材料
15 摩擦攪拌点接合における難燃性マグネシウム合金とめっき鋼板の接合界面制御 沖縄工業高等専門学校 准教授 津村ツムラ 卓也タクヤ 溶接・接合工学、プラズマ処理・レーザ加工・表面処理
16 エネルギー消費量を大幅に削減する給湯システムの更なる効率向上に寄与するモータ制御法 岐阜工業高等専門学校 教授 冨田トミタ 睦雄ムツヲ 電気・電子工学
17 天井クレーンシステムにおける軌道計画の高速化による実用的な自動搬送制御システムの開発 山梨大学 准教授 野田ノダ 善之ヨシユキ 機械力学・制御
18 バイオマス由来液体燃料の蒸発特性の解明と数値解析用モデル構築 北海道大学 准教授 橋本ハシモト ノゾム 燃焼工学
19 超音波振動工具を電極とした放電加工の高速度・高精度加工の両立に関する研究 新潟大学 准教授 平尾ヒラオ 篤利アツトシ 生産加工、精密加工
20 高加熱率条件下における先進発光分光法によるガス温度計測技術の開発 群馬大学 准教授 舩津フナツ 賢人マサト 高速高温流体力学
21 常温パッシブ型マイクロ熱輸送デバイスの開発 弘前大学 准教授 フモト 耕二コウジ 伝熱工学、熱流体工学
22 ボンデフリー低サイクル振動鍛造に適した潤滑材特性の調査および潤滑剤開発 横浜国立大学 准教授 前野マエノ 智美トモヨシ 塑性加工
23 高感度小型光センサの研究開発 北陸先端科学技術大学院大学 助教 増田マスダ 貴史タカシ 有機ケイ素化学、液体科学、界面科学、半導体工学
24 レーザーを用いた高分解能酸素原子数密度測定法の開発 静岡大学 准教授 松井マツイ マコト プラズマ工学、高温気体力学、宇宙推進工学
25 溶接部の結晶異方性を考慮したミクロ残留応力評価手法の開発 大阪大学 助教 三上ミカミ 欣希ヨシキ 溶接力学
26 Whispering gallery mode 共振を用いたマイクロ標準球の超高精度計測 東京大学 助教 道畑ミチハタ 正岐マサキ 光計測

課題提案型研究助成

No. 研究課題 機関名 役職 氏名シメイ(50音順) 専門分野
1 ドライバと自動車・自動車と自動車の共進化を可能とする高度運転支援システムの開発 慶応義塾大学 教授 大前オオマエ マナブ  
2 高齢ユーザの移動の質向上を目指した長期利用可能なモビリティ 東京大学 准教授 小竹シノ 元基モトキ  
3 運動フォームと機構の同時最適化による競技者へ適合するスポーツ義足の設計開発 首都大学東京 教授 長谷ハセ 和徳カズノリ  
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