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2000年10月11日



二輪車レースの最高峰、世界GP500の今年度チャンピオン、ケニー・ロバーツ Jr.選手がスズキ二輪車工場を訪れ優勝を報告



 二輪車レースの最高峰、世界グランプリロードレース500ccにスズキRGV−Γ(ガンマ)で参戦し、10月7日のブラジルGPで今年度チャンピオンを決定したケニー・ロバーツJr.選手が、10月11日、スズキの二輪車生産工場である豊川工場を訪れ、鈴木会長、戸田社長と工場の従業員にチャンピオン獲得を報告した。

 これに対し、鈴木会長からロバーツ選手に祝いの言葉とともに今シーズンの活躍に対する感謝状と記念品が贈られ、工場はスズキ二輪車を駆る新しい世界チャンピオンの誕生に沸いた。

 スズキの世界グランプリ500ccチャンピオン獲得は、1993年のケビン・シュワンツ選手以来7年ぶり6度目で、ロバーツ選手にとっては初めての世界タイトルとなる。

 豊川工場でチャンピオン獲得の祝福と激励を受けたロバーツ選手は、さらに今シーズンの残り2戦での活躍を誓って、10月15日に行われるパシフィックGP開催地の栃木県ツインリンクもてぎサーキットへ向かった。

 ロバーツ選手は今シーズン、スズキファクトリーチームである「チーム・テレフォニカ・モビスター・スズキ」より参戦し、開幕戦の南アフリカGPで6位入賞を果たしてシーズンイン。続く第2戦マレーシアGPで今季初優勝を飾ると、日本GPで2位、ヨーロッパラウンドに入っての初戦である第7戦スペインGPでも優勝し、シーズン前半からチャンピオンシップをリードした。

 さらにリードを広げて迎えた第14戦ブラジルGPで6位入賞の結果、シリーズ2戦を残して2000年世界グランプリ500ccチャンピオンを決定した。ブラジルGPまでの14戦中、優勝3回、2位4回、3位1回という成績で8回表彰台に登り、1回のリタイヤを除いてすべて6位以上に入賞するという圧倒的な安定感を発揮してのチャンピオン獲得となった。

 ロバーツ選手は1999年シーズンからスズキファクトリーチームに加入。スズキはテクニカルアドバイザーであるウォーレン・ウィリングとともにマシン開発を進め、スズキRGV−Γの戦闘力を向上。グランプリに参戦するマシンの中でも、ひときわ扱いやすく高性能を引き出せるとの評価を得るまでにマシンの完成度を高め、今シーズンの世界タイトル獲得に結びつけた。

 そして、グランプリ史上初めて、親子でチャンピオンを獲得するという記録も生まれた。ロバーツ選手の父であるケニー・ロバーツ シニアは、1978〜80年の3年連続世界グランプリ500ccチャンピオンであり、その息子、ケニー・ロバーツJr.も、自身初のチャンピオンを獲得したあと、2001年シーズンからの連覇を狙うこととなる。


●ケニー・ロバーツJr.選手のプロフィール
 
1973年7月25日 アメリカ・カリフォルニア生まれ
1988年 初レース(モトクロス)に出場
1989年 初ロードレース ミニバイクレースに優勝
1990年 ロードレース(ウィロースプリングスシリーズ)にシリーズ参戦
GP250ccクラスで5勝を獲得
1993年 世界グランプリに初参戦。
アメリカGP 250ccクラス決勝10位
1995年 世界グランプリ 250ccクラスランキング8位(ヤマハ)
1996年 世界グランプリ 250ccクラスランキング13位(ヤマハ)
1997年 世界グランプリ 500ccクラスランキング16位(モデナス)
1998年 世界グランプリ 500ccクラスランキング13位(モデナス)
1999年 世界グランプリ 500ccクラスランキング2位(スズキ)
2000年 世界グランプリ 500ccクラス チャンピオン(スズキ)



ケニー・ロバーツJr. 2000年シーズンリザルト&プレイバックビュー


Rd01 3月 19日 南アフリカ 予選3位 決勝6位
シーズンイン前のテストから絶好調ぶりを見せていたケニー・ロバーツJr.は、予選3番手を獲得すると決勝レースでもスタートからトップに立ってレースをリード。しかし、滑りやすい路面コンディションに苦戦し、さらにレース後半にはリアタイヤの消耗からポジションをダウン。しかし、懸命に走りきって6位入賞を果たし、チャンピオン獲得に向けてまずまずのスタートを切ることに成功した。
Rd02 4月 2日 マレーシア 予選1位 決勝1位
公式予選でポールポジションを獲得したロバーツは、スタートに失敗して大きく出遅れるものの、1周ごとにぐんぐん順位を上げる激しい追い上げで7周目にトップに浮上。2位以下を引き離す走りを見せていた16周目に雨が降りはじめ、レースは赤旗中断。規定周回数の2/3をクリアしていたためにレースはこのまま成立し、2レース目にして早くも今シーズン初優勝を獲得した。
Rd03 4月 9日 日本 予選1位 決勝2位
昨年の日本GPがツインリンクもてぎで行われたため、鈴鹿サーキットはロバーツにとってスズキでの初レース。しかし予選初日から好調さを見せつけたロバーツは、地の利を生かす日本人ライダーを尻目に2戦連続でポールポジションを獲得。決勝レースでも、序盤からトップ争いを展開し、ホンダ、ヤマハ、スズキによる4台のトップ争いからノリック阿部(ヤマハ)とともに抜け出し、終盤に一騎打ちを展開。惜しくも0秒2差で2位に終わったものの、序盤3戦で早くもチャンピオン争いのランキングトップに立った。
Rd04 4月 30日 スペイン・ヘレス 予選4位 決勝1位
グランプリの本拠地となるヨーロッパラウンドの初戦となったスペインGPは、12万人にも及ぶ大観衆が詰めかけた大熱戦。ここでもスタートからトップに立ってレースをリードしたロバーツが、レース中盤には2位以下に6秒以上の差をつけてトップを独走。しかし、16周を消化した時点でまたも雨が降りはじめ、レースは赤旗中断、2ヒート制で行われることに。しかしロバーツは、雨上がりのヒート2でも後続との差を冷静に計算してトップグループを走行。両ヒート合計タイムで、見事今シーズン2勝目を獲得した。
Rd05 5月 14日 フランス 予選4位 決勝6位
Rd06 5月 28日 イタリア 予選6位 決勝6位
Rd07 6月 11日 スペイン・カタルニア 予選3位 決勝1位
今シーズン2度目の開催となるスペインは、チームのメインスポンサーであるテレフォニカ・モビスターのお膝元。8万人を越える観衆で埋まったカタルニアサーキットで予選3位を獲得したロバーツは、序盤からトップグループを走行し、すぐにトップに浮上。そのまま後続を引き離し、今シーズン3勝目を獲得。予選日から雨〜晴れと安定しないコンディションに各チームとも悩ませられるレースとなったが、スズキRGV−Γはコンディションを問わず安定した速さを実証した。
Rd08 6月 24日 オランダ 予選3位 決勝リタイヤ
Rd09 7月 9日 イギリス 予選2位 決勝2位
Rd10 7月 23日 ドイツ 予選1位 決勝3位
シーズン折り返しともいえる第10戦。昨年のレースで優勝を飾っているザクセンリンクサーキットで、ロバーツは今シーズン3度目のポールポジションを獲得。決勝レースでもスタートからトップに立ったロバーツは、高い気温を考えてタイヤを温存する冷静なレースを運びを披露。レース中盤は4位につけて周回し、ラストラップで先行をパスして3位を獲得。シーズン前半戦をランキングトップで折り返した。
Rd11 8月 20日 チェコ 予選3位 決勝4位
Rd12 9月 3日 ポルトガル 予選4位 決勝2位
Rd13 9月 17日 スペイン・バレンシア 予選1位 決勝2位
ヨーロッパラウンドの最終戦となったスペイン・バレンシアGPで、ロバーツは今シーズン4度目のポールポジションを獲得。レース序盤からトップグループを走行し、3番手から2番手にポジションを上げたままレース終盤に突入。高い気温のなかで行われたライダーにもマシンにもキツいレースで、そのまま2位でフィニッシュ。最終戦ブラジルGPを前に、ランキング2位以下に66ポイント差をつけ、チャンピオン獲得に王手をかけた。
Rd14 10月 7日 ブラジル 予選7位 決勝6位
チャンピオン獲得がかかった1戦。予選7番手グリッドからスタートしたロバーツは、序盤7〜8番手を走行するものの、中盤以降は、タイトル獲得に必要な6番手までポジションアップ。そのまま後続の追撃を抑えて6位でフィニッシュし、見事ロバーツ自身にとって初めてのワールドチャンピオンに輝いた。



ケニー・ロバーツJr. 2000年シーズンレコード


優勝3回
混戦となった今シーズンの世界グランプリは、レースごとに優勝者がかわる大接戦。昨シーズン6月の第7戦から2レース連続で優勝するライダーが存在しないなか、ロバーツはコンスタントに優勝争いに加わる好調ぶりを見せた。シーズン前半での3勝は、もちろんシーズン最多。第14戦を終えても、G・マッコイ(ヤマハ)と並んで最多勝となっている。
 
表彰台獲得8回
優勝ライダーの顔触れが変わるのと同じく、各ライダーの戦力が接近し、3位のライダーまでに与えられる表彰台の登壇回数もバラバラとなった2000年シーズン。それでもロバーツはシリーズ最多の表彰台登壇を獲得。安定した成績を残していることを実証した。
 
ポールポジション4回
今シーズン最多のポールポジション獲得回数をマーク。決勝レースに先立って行われるフリープラクティスでも9回の最速ラップをマーク。どのセッションでも速さをマークするロバーツのポテンシャルを現わすデータとなっている。
 
フロントロー獲得13回
近年の世界グランプリでは、ポールポジションよりも重視されることの多い、予選4位のライダーまでに与えられる1列目のスターティンググリッド。これもロバーツがシーズン最多の13回をマーク。他にもスズキライダーの梁 明(日本GPにスポット参戦)、青木宣篤も1回ずつフロントローを獲得している。
 
ファステストラップ3回
レース中、もっとも速いラップタイムをマークしたライダーに与えられる栄誉。ロバーツは追い上げのレースでもトップに立ってからもマイペースを崩さないライダーとして知られているが、シーズン3度のファステストラップもシリーズ最多。レースを先頭に立って周回する割合も40%を越えるデータが出ている。
 
ラップレコード2回
各サーキットで、史上もっとも速いライダーに与えられるのがコースレコード。ロバーツは第2戦マレーシア・セパンサーキットと第4戦スペイン・ヘレスサーキットでのレコードタイムをマークしている。