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2001年10月19日


スズキ、「二重焦点法(DFT)によるアルミニウムの
複合レーザ溶接技術」を開発

二輪車フレームに適用し、東京モーターショー出品車に採用


  二重焦点法(DFT)によるアルミニウムの複合レーザ溶接技術

 スズキ株式会社は、「二重焦点法(DFT)によるアルミニウムの複合レーザ溶接技術」を開発した。この技術を二輪車の骨格部品であるメインフレームの溶接に適用し「第35回東京モーターショー」(開催期間10/26〜11/7)に出品する大型二輪車のコンセプトモデル(参考出品車)「B−KING」に採用、展示する。


●スズキ複合レーザ溶接技術の概要    
   今回開発した「二重焦点法(DFT=Dual Focusing Technology)によるアルミニウムの複合レーザ溶接技術」は、異なる波長や特性を持つ2種類のレーザを同軸上に複合して照射する。板厚やアルミ合金の組成などによって、2つのレーザの焦点位置やパワーの量をコントロールできるため、一般的なアーク溶接やレーザ溶接に比べ、アルミ材を熱で溶かす範囲を狭く絞り込み、かつ深い部位まで溶かすことが可能になる。また、溶接スピードを速くすることが可能になり、製造生産性が大幅に向上する。
この技術の開発に当たり、複合レーザの特性を活かすシールドガス(溶接個所の酸化防止のために吹き付けるガス)混合装置や、2種類の波長のレーザを複合して同軸上に同時に照射する3次元溶接トーチなどを独自開発した。

●複合レーザ溶接技術の利点
  (1) 異なる波長や特性を持つ2種類のレーザを同軸上に複合して照射することで、二輪車のフレームなど厚みのあるアルミニウム材にも、溶接が可能である。
  (2) 複合するレーザの焦点位置を個別に設定する二重焦点法(DFT)によって高品質な溶接が可能である。
  (3) 単一レーザと比較して3倍、アーク溶接と比較し10倍以上の高速溶接を実現し、生産性が大幅に向上する。
  (4) 溶接時の熱による歪みが極めて少ないため、完成精度が格段に向上する。
  (5) 重ねたアルミ材にレーザを貫通させて接合する「貫通溶接」など、従来溶接法では難しかった継ぎ手が容易になり、設計の自由度が向上する。

●複合レーザ溶接技術の今後の展開
   スズキは、二輪車レースの最高峰である「ロードレース世界選手権500」(WGP500)での出場マシンに、複合レーザ溶接技術で溶接したスイングアームを採用し、実戦投入することを検討している。
また、今回、スズキが開発した「二重焦点法(DFT)によるアルミニウムの複合レーザ溶接技術」は、今後、二輪車のフレーム以外の幅広い用途にも応用が可能である。

 【概念図】