ホームに戻るニュースリリーストップに戻る
2004年2月13日


スズキ財団平成15年度科学技術研究助成について



 
 財団法人 スズキ財団(理事長 鈴木 修)は、2月13日、全国の大学等から応募のあった助成申請に対して、平成15年度の科学技術研究助成として30件、助成総額3,690万円を決定した。 なお、平成14年度の助成は29件、総額3,720万円であり、平成15年度は前年とほぼ同水準の助成を決定した。
 
 今回研究助成を行うものは、生産関連技術6件、環境・省エネルギー関連技術6 件、計測・制御関連技術6 件、材料関連技術5 件、電子・エレクトロニクス関連技術2 件、医療・人間工学関連技術3 件、ロボット関連技術2 件の合計30件であり、いずれも独創的、先進的な研究開発テーマである。

 具体的には、
生産関連では、コンピュータ上で金型加工精度(エンドミル加工を対象)の検証を行うシステムや硬く変形しにくい難加工性セラミックス材料の(超塑性)加工技術に関する研究。 (※1)
環境・エネルギー関連では、光アンテナ分子を用い、光を効率良く捕集し実用的エネルギーへと変換するシステムや火花点火機関の始動時における高濃度窒素酸化物の生成原因に関する研究。 (※2)
計測・制御関連では、テラヘルツ電磁波パルスによる塗装膜剥離の非接触モニターシステムや流れの映像情報から物理パラメータ等を求めることを目指した知的可視化情報処理に関する研究。 (※3)
材料関連では、ナノ粒子分散めっき法を利用したアルミニウム合金の表面硬化処理に関する 研究。 (※4)
電気・エレクトロニクス関連ではガスケット型イオンセンサを用いたシリンダ内火炎伝播形 態検出に関する研究。 (※5)
人間工学・医療関連では高齢者転倒防止を目的とした転倒に関する筋活動評価に関する研究。 (※6)
ロボット関連では人間と調和する次世代ロボット実現の為の有機トランジスタを用いた人工皮膚に関する研究。 (※7)
 など、今回も広い分野の研究テーマに助成がなされた。(助成対象研究一覧は別紙の通り)
 
(※1= 別紙一覧のNo.21、No.26の研究課題、※2= No.15、No.18の研究課題、※3= No.1、No.30の研究課題、※4 =No.13の研究課題、※5= No.29の研究課題、※6= No.20の研究課題、※7= No.14の研究課題)
 
 
 同財団はスズキが創立60周年の記念事業として基金1億円を寄託し、昭和55年3月に設立したもので、本年で24回目の研究助成となる。

 同財団では、独創的・先進的な研究助成に加えて、環境問題等緊急な解決が求められるテーマに対し「課題提案型研究助成」を本年度実施した。

 また、同財団では国際会議の開催費や海外の学会等への渡航費の助成、ブダペスト 工科経済大学等海外からの研究留学者の受入助成、財団ニュースの発行等広く活動を行っている。
 
 
 なお、現在の財団の資産総額は約30億9千万円に達しており、設立以来の助成内容は、総件数744件、累計助成総額9億556万円の実績となっている。

スズキ財団の概要
財団名 財団法人 スズキ財団
所在地 東京都港区東新橋2-2-8 スズキビル東新橋(TEL 03-5473-7871)
理事長 鈴木 修 (スズキ株式会社 取締役会長)
目 的 国民生活における利便の増進に資する機械等の生産及び利用、消費に関わる科学的研究の助成とその成果の普及を通じて、日本の機械工業の総合的な発展と国民福祉の増進に寄与する事を目的とする。
資産総額 約30.9億円(平成15年4月1日現在)
 


平成15年度 スズキ財団 科学技術研究助成一覧
No.
研究課題 機関名 役職 氏名
1
テラヘルツ電磁波パルスによる塗装膜剥離のリモートセンシング 大阪大学 教授
荒木 勉
2
力覚提示装置SPIDARを用いた3次元モデリング環境の開発 愛媛大学 講師
井門 俊
3
材料のミクロ構造におけるひずみ勾配理論の数理構造と連続体力学的展開 京都大学 助教授
今谷 勝次
4
バイオメトリクスに基づく多自由度小型入力装置開発 奈良先端科技院大学 助手
上田 淳
5
プラスチック材料のマテリアルリサイクリングにおけるミクロゲル形成機構の精密解析 名古屋大学 助教授
大谷 肇
6
独立成分分析とLVQを併用した音響官能検査の高度自動化 大阪府立大学 教授
大松 繁
7
積層化された木質系バイオマス燃料の燃焼過程に関する実験的研究 大島商船高専学校 講師
川原 秀夫
8
柔軟性モデルを用いた車内乗客の3次元姿勢判定に関する研究 熊本大学 助教授
胡 振程
9
超微粒子ピーニングを利用した表面改質処理の開発(生体適合表面の創製) 慶應義塾大学 助教授
小茂鳥 潤
10
製品設計時に機械加工のびびり振動の予測・回避を可能とするCAEシステムの開発 東京農工大学 助教授
笹原 弘之
11
Handling qualityを考慮した人間 ―機械協調制御系の設計に関する研究 奈良先端科技院大学 助手
佐藤 淳
12
スケルトンペルチェ素子を用いた携帯型温冷覚計の開発とヒト温冷覚マップの作成 宇都宮大学 助手
嶋脇 聡
13
ナノ粒子分散めっき法を利用したアルミニウム合金の表面硬化処理に関する研究 群馬大学 助手
荘司 郁夫
14
次世代ロボットに整合する有機トランジスタを用いた人工皮膚に関する基礎研究 東京大学 助教授
染谷 隆夫
15
光アンテナクラスター型分子集光システムの構築 静岡大学 助手
高橋 雅樹
16
ミクロ・ナノ複合化による先進セラミックスのき裂治癒能力発現と機械的特性の向上 横浜国立大学 講師
高橋 宏治
17
単発過渡アーク放電を利用した針状微細軸の瞬時大量成形法の開発 工学院大学 講師
武沢 英樹
18
火花点火機関の始動時第1サイクルにおける高濃度窒素酸化物の生成に関する研究 工学院大学 講師
田中 淳弥
19
DME(Dimethyl ether)の基礎燃焼特性の解明と高効率・低公害燃焼技術に関する研究 大分大学 助教授
田上 公俊
20
高齢者転倒防止を目的とした転倒に関連する筋活動評価に関する研究 富山大学 助教授
中島 一樹
21
金型加工を対象としたトライレスシステムの構築 名古屋工業大学 助手
成田 浩久
22
噴流バーナを用いた燃焼安定性の最適化 東北大学 助手
廣田 光智
23
FRP殻曲面構造の耐衝撃設計法に関する研究 東北大学 教授
福永 久雄
24
ゼロパワー磁気浮上を利用した大面積アクティブ除振装置の開発 埼玉大学 教授
水野 毅
25
レーザーセンサを利用したサトウキビ種苗自動生産システムの開発研究 鹿児島大学 教授
宮部 芳照
26
超塑性変形を利用した安価加工技術の確立 豊橋技科学大学 助手
武藤 浩行
27
MRダンパによる均質的車両衝撃吸収システムの開発 横浜国立大学 教授
森下 信
28
乗用車における身体保護装置の開発のための基礎的研究―頭部外傷に焦点をあてた調査研究― 筑波大学 講師
谷中 清之
29
ガスケット型イオンセンサを用いたシリンダ内火炎伝播形態検出法の研究 岡山大学 講師
吉山 定見
30
知的流れ可視化情報処理技術の開発 山形大学 助教授
李鹿 輝

 *順不同、敬称略