フロンテバンシリーズ
新しいバンの在り方を確立したフロンテバンシリーズ
スズライトフロンテ、スズライトバンは共通設計で、横置きエンジンのFF方式としていたが、1967年発売のフロンテ360ではRR方式を採用した。しかし、リヤにエンジンを搭載する形式だと商用車への流用が難しかったため、積載性の確保や荷重配分上での登坂力確保に有利なFR方式を採用するフロンテバンの開発を進めた。
こうして従来の軽ライトバンがもつイメージを変えるまったく新しい乗用車的多用途のバンが誕生した。
また、フロンテバンを乗用車にモデルチェンジし、フロンテエステート、フロンテカスタムを開発したところ好評を得、軽乗用車界に新機軸を生み出すことができた。
フロンテバンの後継車としてフロンテハッチ、フロンテハッチ55も発売したが、FF方式のアルトを発売したのを機に生産・販売を終了した。
1969 | フロンテバン(LS10)
ビジネスからレジャーまで幅広く使えるスズライトバンの後継モデル
従来のライトバン特有の箱型シルエットから脱却して、より乗用車的なデザインに大きく転換した。バックドアにはこのタイプでは初めての1枚はね上げ式を採用したが、後に上下開きも追加した。インテリアはゆったりとして豪華な乗用車的としたのが特長。エンジンはフロンテのエンジンをベースに設計した2サイクル3気筒360ccエンジンとし、性能と経済性を両立させた。発売した3月には業界第1位を記録、さらに年間トップとなり、キャリイバン(L40型)とともに当社の有力商品となった。
機種情報 | 車両型式 | LS10 | |
グレード | ― | ||
機種記号 | ― | ||
寸法・重量 | 寸法(mm) | 全長 | 2,995 |
全幅 | 1,295 | ||
全高 | 1,380 | ||
ホイールベース(mm) | 1,995 | ||
車両重量(kg) | 500 | ||
エンジン | エンジン型式 | LC10 | |
エンジン種類 | 空冷 2サイクル 直列 3気筒 | ||
総排気量(cc) | 356 | ||
最高出力 | 25PS/6,500rpm | ||
価格 | 313,000円(工場裸渡し価格)より |
※代表するグレードの諸元値を表示しています。
1969 | フロンテエステート
フロンテバンから派生した軽自動車初のエステート
販売が好調であった商用車フロンテバンの乗用タイプを求める声に応えるため、フロンテバンをベースに開発した軽自動車初のエステート(3ドアセダン)。一枚はね上げ式テールゲート、広いトランクルームとパッケージトレイ、高性能な2サイクル3気筒360ccエンジン、ゆったりしたリヤシート、やわらかなクッションなどが特長であった。
機種情報 | 車両型式 | LS11 | |
グレード | ― | ||
機種記号 | ― | ||
寸法・重量 | 寸法(mm) | 全長 | 2,995 |
全幅 | 1,295 | ||
全高 | 1,380 | ||
ホイールベース(mm) | 1,995 | ||
車両重量(kg) | 500 | ||
エンジン | エンジン型式 | LC10 | |
エンジン種類 | 空冷 2サイクル 直列 3気筒 | ||
総排気量(cc) | 356 | ||
最高出力 | 25PS/6,500rpm | ||
価格 | 368,000円(工場渡し価格)より |
※代表するグレードの諸元値を表示しています。
1970 | フロンテカスタム
フロンテエステートをベースに、デザインや使いやすさを向上
幅広い用途で使用できる軽乗用車を要望するユーザーの声に応えて登場。エクステリアの特長は黒を基調にしたフロントグリルに気品を持たせ、日本の建築に見られる直線的な簡素美を近代的かつダイナミックにアレンジしたこと。そのほか操作が簡単で荷物の出し入れがスムーズな上開き式トランクリッドを採用したことや、フロントホイールを最大限前方に移して広いレッグスペースを確保したこと、部分強化ガラスを採用したことなどが特長であった。フロンテカスタム発売から2カ月後、出力アップしたハイグレード車「フロンテハイカスタム」を追加した。
機種情報 | 車両型式 | LS11 | |
グレード | ― | ||
機種記号 | ― | ||
寸法・重量 | 寸法(mm) | 全長 | 2,995 |
全幅 | 1,295 | ||
全高 | 1,380 | ||
ホイールベース(mm) | 1,995 | ||
車両重量(kg) | 500 | ||
エンジン | エンジン型式 | LC10 | |
エンジン種類 | 空冷 2サイクル 直列 3気筒 | ||
総排気量(cc) | 356 | ||
最高出力 | 25PS/6,500rpm | ||
価格 | 377,000円(東京価格)より |
※代表するグレードの諸元値を表示しています。
1973 | フロンテハッチ
スズキフロンテバンの後継車 「休日のハッチ」
日本の高度成長期に国民の余暇の過ごし方が変化したため、その傾向に合わせて乗商用が兼用できる車として開発。乗用車らしいスタイルを確保しながらも、大きな荷室を有する新しい車種を「休日のハッチ」として発売した。スタイリング上の特長は乗用車のスポーティー感とバンとしての運搬機能を調和させるために「くさび形」としたことである。丸みを帯びたリヤとすることでリヤシートスペースを確保した。また、1枚はね上げ式のリヤゲートを採用したため、荷物の積み降ろしが楽にできた。
機種情報 | 車両型式 | LS30 | |||
グレード | B | D | T | ||
機種記号 | ― | ― | ― | ||
寸法・重量 | 寸法(mm) | 全長 | 2,995 | ||
全幅 | 1,295 | ||||
全高 | 1,380 | ||||
ホイールベース(mm) | 2,005 | ||||
車両重量(kg) | 525 | 530 | |||
エンジン | エンジン型式 | L50 | |||
エンジン種類 | 水冷 2サイクル 直列 2気筒 | ||||
総排気量(cc) | 359 | ||||
最高出力 | 28PS/5,500rpm | ||||
価格 | 331,000円(東京価格)より |
※代表するグレードの諸元値を表示しています。
1976 | フロンテハッチ55
フロンテハッチの排気量・ボディーサイズ拡大版
1976年1月の軽自動車規格改定に伴い、2サイクル3気筒エンジンの特長を最大限に生かした、静かで粘り強い水冷550ccエンジンを搭載し低公害化を図った。温水加熱式キャブレターやセミオートチョーク方式の採用、その他のエンジン改良によって昭和50年排出ガス規制をクリアした。また、前輪トレッドを60mm、ホイールベースを95mm拡大することで走行安定性を高めた。そのほか強化したバンパーの装着によって安全性も一段と向上させた。
機種情報 | 車両型式 | H-SH10 | |||
グレード | ハッチT | ハッチD | ハッチB | ||
機種記号 | ― | ― | ― | ||
寸法・重量 | 寸法(mm) | 全長 | 3,190 | ||
全幅 | 1,365 | ||||
全高 | 1,375 | ||||
ホイールベース(mm) | 2,100 | ||||
車両重量(kg) | 555 | 550 | |||
エンジン | エンジン型式 | LJ50 | |||
エンジン種類 | 水冷 2サイクル 直列 3気筒 | ||||
総排気量(cc) | 539 | ||||
最高出力 | 25PS/4,500rpm | ||||
価格 | 505,000円(東京価格)より |
※代表するグレードの諸元値を表示しています。