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様々に騒がれる中、スズキの社員が釣りなんぞに興じていて
いいものかどうかは分かりませんが、一応人間の端くれでいさせてもらって
いる自覚があるので、人間らしい活動の一環として中禅寺湖へと行ってきました。
九頭竜川のサクラマスの禁漁期を迎える6月になり、五十音の九十九折りを
沿道の鹿や猿を横目に右往左往し、標高1200Mの日光の山上湖で冷水に身を浸して
来たのでございます。
ここでの楽しみ方はそれぞれにさまざまですが、北米原産のブラウントラウトを
蝦夷春蝉を模したルアーで水面に波紋を作り出しおびき寄せて釣る通称「セミング」が
この時期の中禅寺湖の釣りの醍醐味と捉える向きも多く、私もその一人であるわけです。
どこのどんな釣りも言うのは簡単で、実際釣るとなればそれなりの苦労があり、
本気で生きている相手を騙して遊ぼうというのだから一筋縄でいかないことも多く今シーズンも
やはりそれなりの苦労を強いられて、偶然が偶然を呼び、奇跡的にたった一回のコンタクトを
モノにして60CMの大きなブラウントラウトを釣る事ができました。
聞こえる音といえば僅かな蝉時雨、時雨とも言えない呟き、囁きといった虫の音程度。
一人きりの湖畔。心の静寂を激しく打ち破りガボっと水面を切り裂くブラウントラウト
の捕食音。これに驚かず、ゆっくりゆっくりゆるりゆるりとゆるゆるのドラグ設定にした
アンバサダーを巻き上げにかかり、徐々に徐々にドラグを締め上げて行き最後はグングン
バシャバシャの引っ張り合いっこ。激しく三度空中を泳いだ茶色い鱒は程なくして
大人しく記念撮影に応じて頂き、当該魚はデジタルキープされ、ゆっくりと元居た
冷水の中に美しい残像を映しつつ消えて行きました。
欧州各国の大使館別荘が軒を連ねる中禅寺湖畔ですが、そのことで日本の
鹿鳴館外交を嘆く必要はありません。素晴らしい釣り文化の発祥の地として
今も多くの釣り人を集めています。そして今も尚素晴らしい文化を発信し続けている景勝地
はなかなか他所にはない魅力が溢れているお勧めエリアです。ぜひ皆様もこの時期
にドライブで行かれてみてはいかがでしょうか。