ラリー・オブ・グレートブリテン事前レポート
2002.11.13
カーディフ
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WRC第14戦、ジュニアWRC第6戦 グレートブリテン |
ヨーロッパを舞台に繰り広げられてきたジュニアWRCもついに最終戦を迎える事となった。この最終戦の舞台は冬のイギリス、ウェールズ地方の首都カーディフだ。かつては、RAC(ロイヤル・オートモービル・クラブ)ラリーと呼ばれモンテカルロやサファリなどと共に伝統と格式を誇るイベントとして世界中のラリーストの憧れでもあった。反面このラリーは寒い気候と常に風を伴って降り続ける雨のために参戦する側から言えば評判は良くない。だが、ここ数年の流れでラリーがコンパクト化されている為、イギリス中を駆け巡るタフなラリーとして知られていたかつてのイベントに比べれば格段に快適?といえるだろう。
とはいえ魔物が棲むとも言われるウェールズの森は決して楽なコースではない。このコースの特徴の一つは滑り易い上に状態が変化するグラベル路面にある。かつて様々なドライバー達を苦しめてきたこの路面は、岩盤や砂利など路面の固い場所とひとたびぬれると非常に滑りやすくなる粘土質の個所が点在する。こうした路面は雨が続けば泥濘と化すが、天候がよければコンクリートのように硬くなる。また天候の悪さも特徴の一つ、冬のイギリスだけに日照時間が短く、気温も低い。雨、低い気温、暗さなどで集中力も下がり気味になる、コースが難しいだけでなく参加者のモチベーションを保つことも困難、これが完走すら難しいとされる所以だ。
ラリーは11月14日(木)カーディフでセレモニアルスタートを迎える。この夜、カーディフの港に設けられたスーパースペシャルステージを一つだけこなすが、本格的なラリーは翌日の11月15日(金)から、舞台はウェールズの森の中となる。
総走行距離1637.86キロ、全部で17のスペシャルステージ(SS)で競われその合計は約390キロとなる。レグ1は総走行距離638.66キロ、うちスペシャルステージは7つ135.03キロ。レグ2は508.39キロ、うちSSは6つ117.01キロとなっている。レグ3は総走行距離490.81キロ、うちSSは4つ138.50キロで争われる。
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またこのラリーは、2002シーズンのフィナーレと言うこともあり来シーズンへ向けてのストーブリーグの最前線となる。WRCのワークスチームでは来期のシートをめぐり各チーム、選手達が熾烈な争奪戦を繰り広げている。また、様々なエントラントやゲストが訪れるため華やかなイベントとなる。今年、WRCには、2輪のモトGPチャンピオンであるバレンティーノ・ロッシがカスタマースペックのプジョー206で参戦を表明するなど話題も多い。
ジュニアWRCではサンレモやモンテでは圧倒的な速さを見せたラテンドライバー達もこの条件では勝手が違うだろう。地元イギリスのMGのエバンス選手をはじめとするイギリス人ドライバーを擁するチームがその経験を生かして上位に食い込むか、はたまたグラベルが得意な北欧勢が早いかその戦いが注目される。
スズキの選手のコメント
チームスズキイグニスのフィンランドチーム、ユハ・カンガス選手にも期待がかかる。
フィンランドのユハ・カンガス選手は「ここは決して簡単なラリーじゃないけど好きなグラベル路面だしいい結果を残したい。このところ完走がないのでここでは是非ラリーをフィニッシュしたいと思う。」と語る。
また
ドイツのニコラス・シェレ選手は「久しぶりのグラベルだね。調子は悪くないし頑張るよ。条件については、悪いのは仕方ない。でもサンレモみたいにスペシャリストだけでなくチャンスが誰にでもあると思って頑張るよ。」
日本の丹羽和彦選手は「やはり難しいコースです。でも、将来に向けて経験を積むためにも、ぜひ完走したいと思っています。」
ラリー・オブ・グレートブリテン、この暗く、寒く、そして滑りやすい難しいラリーをどう攻略するか?この悪条件の中での勝負は、実力だけでなく運もかなりのウェートを占めることになるだろう。チーム スズキ イグニスにとってもこの一年の集大成とも言えるこのイベントで有終の美を飾れるか?毎年、様々なドラマが生まれるこのフィナーレでスズキがどう戦うか注目される。このラリーを来シーズンへ向けての大きな財産とするためにも健闘を期待したい。
次のレポートはSS1終了後にお届けする予定だ。
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