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2002 APRC Rd.3 圧倒的な速さでクラス優勝!!
2002年7月1日

レグ1、田嶋・イグニスどう戦うか!
 6月28日朝8時、ラリー・オブ・ロトルアのスタートが切られた。47台の競技車はロトルアから東に向かい、130km先の最初のサービスパークである豊穣湾岸の街オポティキまで2時間のドライブ。前日から雲行きの怪しかった空からついに小雨が降り始めたが、田嶋選手を始めとした各ドライバーたちは、ステージはまだそれほど悪くなっていないと予想。
ドライタイヤを選択して最初にして最大の難関、モツ林道へのアタックを開始した。しかし林道は海抜0mから1000m近くまで山間を上る。上の方が同じ天候であるわけが無い。1時間以上前から山の中は雨が降っていた………。
 SS1はモツ林道前半の21kmで、スタートして数kmも走ると道は狭くなるが、まださほど険しくは無く、ウエットコンディションでもトップ勢はアベレージ80km/h近くのスピードで走れてしまう。こんな状況では2WDのイグニスは全く不利、トップから1分20秒落ちの25位がやっとだった。そしてモツ林道は後半のSS2でその魔性の正体を現す。道は更に細かく曲がりくねり、赤土路面は雨でドロドロ、おまけに上りだけでなく下りも出現する。一瞬のミスでマシンは土手に激突するか、ジャングルのような森の中に転落してしまう。

快調イグニス、冴えるドライビング。
 だがこんな悪条件こそ田嶋/ラベット組は待っていた。上りはパワーと駆動力がものを言うが、下りはテクニックと度胸でタイムは大きく違ってくる。サスペンションセッティングの決まったイグニス・スーパー1600は、ヒラリヒラリとコーナーをかわし、14番手のタイムで26・81km先のゴールラインに飛び込んだ。因みにここのベストタイムはこのラリー3連覇をもくろむハーバート組スバル・インプレッサの25分11秒で、アベレージは63km/hだったが、田嶋・イグニスは26分40秒でアベレージ60km/h強だった。
「いやあモツは辛かった。マッドタイヤを履いていけば良かったんだけど」と田嶋選手は言うが、隣のコ・ドライバーのラベット嬢は「最高にエキサイティングだったわ、特に下りはね」と笑顔を見せていた。それだけ田嶋選手とイグニスに信頼を置いているという証なのだろう。なおこのモツ林道では6台がその毒牙に掛かってリタイアしたが、そのうち4台がAPRCチャレンジャーだった。
 高原の高速ロングステージを2本走ってレグ1は終了、生き残った39台の競技車はロトルアへ向かって200kmの長い帰路に着いた。田嶋/ラベット組は17位でレグ2に臨むことになった。

雨のレグ2、総合15位にアップ!
 明けて29日のレグ2は完全に雨となった。レグ1に比べるとはるかにアベレージの高いステージが続き、ウエットコンディションでは2WDのイグニスは苦戦を強いられる。しかし今回のイグニス・スーパー1600は全くタフで、田嶋選手が荒れてスリッパリーなコースを攻めに攻めてもどこも壊れようとしない。アクロポリス・ラリーではシェレ組が、イグニスとしてはミッショントラブルによる初のリタイアとなったが、その兆候も全く見られない。
「JWRCのためのテストと言うより、ともかくこんなコンディションでは必死に走るしかない。」と田嶋選手はレグ2の6SSを走り抜け、15位でロトルアに帰って来た。

2WDには厳しいレグ3も速さを見せる田嶋/ラベット組・イグニス!
 翌日のレグ3はロトルアの南にある丘陵地帯を走る3本のステージを2ラップする設定だが、ダートの一般道を閉鎖して行なわれた。天候はやや回復して雨もほとんど止み、時折青空と太陽が顔を見せたりし始めた。だが路面はもちろんまだウエットのままだ。しかし一般道のため路面が良く、マッディになることは無い。きついアップダウンもほとんど無い高速コースだ。そうなると上のクラスの4WDターボマシンが圧倒的に速いのは自明の理。田嶋・イグニスがどう頑張っても20位以内のタイムを出すのが難しくなった。
「良くラリーを知らない人は、イグニスが2000ccマシンか4WDだと勘違いしている。それだけいつもは速いんだけど、こういう状況ではしょうがない。エンジンは常に全開、でもテクニックを発揮できるようなコースではないから、タイムはやはり4WDターボに差をつけられてしまう」と田嶋選手もいささか不満気だ。

イグニス、圧倒的な速さで初優勝!!
それでも午後2時過ぎに田嶋/ラベット組のイグニスはロトルアに無事凱旋してきた。総合では14位、2WDクラスでは2位を25分も千切っての完璧なクラス優勝だ。

「イグニスでの完走は去年のチャイナ・ラリー以来。今回はJWRCのテストということを忘れるほど競技に専念しなければならなかった。それほど今回のロトルアラリーは2WDマシンに厳しかったということです。もっとマシンの性能と私のテクニックを発揮できたら良かったけど、泥でヌタヌタのモツ林道のような道か、パワーと4WDに圧倒的に有利な高速コースしかなかったのだから仕方ない。イグニスは全くトラブル無し。唯一レグ2でコースに張り出していた木の枝にぶつかって、ひびが入ったウインドウを交換した程度。もうイグニスはどこに出しても恥ずかしくないマシンに仕上がって来た。」とゴールした田嶋選手。そして久々の完走をことのほか喜んだのはナビのラベット嬢。というのも仕事をリタイアして英国からオーストラリアに移住してきた彼女の両親が応援に来ていただけに、その喜びは倍増したようだ。
 なお田嶋選手は今回フルポイントの19点を獲得、前2戦の12点と合わせて41点となり2リッター(スーパー1600)カップ断トツとなった。
「こうなったら次戦の北海道で5度目のAPRC2リッターカップ・チャンピオンを決めたい。」と田嶋選手はもくろんでいる。


アジアパシフィックラリー、次は9月に北海道で開催される。





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