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CMロケ地を巡るドライブ「長崎県/生月島・平戸島」
今回は、取材に訪れたライター自身が、
ソリオ バンディットのCMロケ地にもなった、生月島と周辺の魅力をお届けします。
※掲載の内容は2024年6月現在の情報です。
※臨時休業や営業日、営業時間変更の場合もあり、確認の上お出かけください。
平戸大橋
旅のはじまりは平戸大橋の絶景から。
生命力溢れる自然との出会い。
はじめに向かうのは「平戸島」。車を走らせ窓の外に目をやると、太陽に向かって高く生い茂る緑が青々と輝いていた。平戸の緑は、とにかく濃く、厚く、瑞々しい!暖かい地域独特の緑の質感がモコモコとした、生命力のある景観を作っている。これぞ求めていた “まだ見ぬ景色” 太陽に愛された島の景観は、私たちにエネルギーを分けてくれるようだ。
そんな自然の姿に気を取られていると、キラキラと光る海、そして鮮やかな赤い橋「平戸大橋」が眼下に捉えられた。橋近くにある緩やかな坂を降りると、少し広めの駐車場があったので、一旦停車して外に出てみることにした。
思わず「わぁ!」と声が漏れる。風に合わせて波打つ水面や島の緑、その上にかかる橋とその先には平戸城や平戸の街。人工物でさえ、自然の一部になって生命力を帯びている。この景色こそ、平戸が人々に愛される所以なのかもしれない。
島の独特の地形が、緩やかな坂道を作り出し、車に揺られる楽しさと、めくるめく様々な景観を生み出している土地。旅ははじまったばかりなのに、ときめきが止まらなかった。
平戸島・寺院と教会
「ただいま」と言いたくなる港町・平戸を見守った、文化の融合が生み出した景色。
平戸島に入ると、だんだんと街並みが変わり、目に入る人の姿も増えてきた。さすが、港町の朝は早い。一旦車を止め、平戸の町を散策してみることにした。
商店街のお店は、古民家や蔵造りが多く、歴史を感じる佇まいと温もりがあり、思わず「ただいま!」と言いたくなる。懐かしいあの頃に帰ってきたかのような景色だった。
ふと横を見ると、小道が続いていた。旅に寄り道はつきものと、通りを外れ小道をいくことにした。
そこにあったのはどこまでも続く坂道、そして『寺院と教会の見える風景』と書かれた看板だった。
朝日を背に、石畳の坂道を登っていく。見えてきたのは、ヤシの木が生える白い門構えの寺院とミントブルーの教会だ。寺院と教会という、東洋と西洋の正反対に思える二つが自然に溶け込み、神秘的な景観を作り出していた。天高く伸びる銀杏の大木が、400年の歴史を物語っている。
坂道を上がり、振り返るとそこにあったのは朝日に照らされた平戸の港だった。
なるほど、古の人々は、ここから町を見守っていたのだ。
平戸の町を後にし、次に向かうのは「川内峠」。山道を上がり緑を抜け、木々のトンネルに入る。木漏れ日を浴びながら走り抜けると、視界が一気に開けた瞬間、現れたのが「川内峠」だった。
車から離れ、新緑の草地とねこじゃらしが揺れる小山への階段に足を伸ばすことにした。斜面をのぼり一息つきながら振り返ると、見たことのない景色が広がっていた。
360度ぐるっと囲むように広がる島々と海、そして高い空。先の方には九十九島や壱岐島が見え、様々なトーンの緑色が島々に立体感を作り出していた。開放感と共に寝転んでみると、澄んだ海風が身体中を駆け巡り、まるで身体が大地に溶け込むかのように思えた。“まだ見ぬ景色” を求め辿り着いた先で、私は自然の一部になった気がした。
生月大橋・生月島
いよいよ生月島へ!一息つける “生月” の「ひといき」で海鮮を食す。
「川内峠」から山を降りるように進んでいくと、見えてきたのが「生月大橋」だ。「平戸大橋」とは対照的なスカイブルーの橋が海や空に溶け込んでいる。全長1kmほどの橋が、地元の人々や旅人の往来を繋いでいる。
早速、まだ見ぬ景色へ!……と、時間を見ればお昼、はやる気持ちを抑えまずは腹ごしらえ。旅には欠かせない、その土地の美味しいものを味わうことにする。
「生月大橋」から進むと、左側に見えてきた小さな木造りの建物。のれんにはお食事処とある。食いしん坊の勘に任せて、入ってみることにした。
お店の名前は「ひといき」。生月島の名前の由来のひとつに、遣唐使が “ひといき” つけると安堵したことが書いてあったのを思い出した。なるほど、生月で “一息つける” 食事処「ひといき」とは粋なネーミングである。
メニューをみると写真と共に「贅沢海鮮丼」の文字が。他にも定食などがあったが、目移りしてもキリがない。「贅沢海鮮丼」一択だ!
運ばれてきた丼ぶりは、マグロ・アジ・イサキ・ヒラマサ・イクラ・生エビと様々な海の幸が宝石のように輝き、頬張れば旨味が溢れ出した。島の魚はこんなにも美味しいのか……とあっという間に食べ尽くしてしまった。
その間にもお客さんが「お母さん!」と声をかけ次々と席に着く。地元に愛されているお店らしい。どうやら、食いしん坊の勘は間違っていなかったようだ。
大バエ灯台
生月島の最北端に広がる、
「大碆鼻」(オオバエハナ)に立つ灯台へ。
お腹も膨れたところで、スイフトを走らせて次に向かうのは生月島の最北端「大バエ灯台」だ。お店を出て県道42号線をひたすら進む。右側をみると、海の向こうには先ほど訪れたばかりの平戸島と海、左側を見れば、生月のありのままの自然が目に入る。
駐車場に車を止め、亜熱帯地域らしい低木が木陰を作る坂を登っていき、見えてきたのが、「大バエ灯台」。青い空をバックに白亜の灯台が眩しく光っていた。近づいてみると、灯台を囲むように階段があった。ここは登れる灯台なのだ!
階段を登り切ると、目に入った景色に息を呑んだ。どこまでも広がる海原と壱岐島や対馬、そして長崎の半島全体が見渡す限り広がっていたのだ。強い海風が吹き、風が肌に触れるたびに潮の香りと重みを感じた。そして下をみると、断崖絶壁!「島の最北端に立っている」ということを、五感のすべてで感じた。
今回の平戸・生月島の旅の主役は、今から向かう場所『生月サンセットウェイ』だ。CMで見たあの景色を、この目に焼き付けたいと思っていたのだ。時計の針は午後4時を指している。ベストタイミングだ!
「大バエ灯台」から島をぐるっと回るように南下していくと現れるのが「生月サンセットウェイ」。来た道を戻らず、海沿いの方向へと角を曲がる。
するとその瞬間現れたのは、夕日が輝く雄大な海原だった。
海がうっすらとオレンジ色を帯びて輝き、左側には切り立つ断崖、先には木々のトンネルの坂道が続いていた。海へ入っていくかのように坂道を下り、緑色のトンネルを抜けると、どこまでも続く水平線が広がっていた。
窓を開け、ひんやりと涼しくなった海風を頬に感じながら、スイフトを走らせる。島の地肌は濃く瑞々しい草花に覆われ、スピードを落とせば、うぐいすの声が聞こえる。反対側を見れば、気が遠くなるほど長い年月をかけて作られたであろう断崖が、天高くそびえ立っていた。島の形に沿って作られた道を、上りながら、そして下りながらその自然を全身で感じた。
これが求めていた “まだ見ぬ景色” だった。その景色の正体は “自然のありのままの力強さ” だった。太陽と海と木々と草花がまるで意志を持ったように生きていた。私は、先に進むほど、自然からエネルギーを分けてもらっている気がした。
ソリオ バンディットのCMロケ地にもなった、夕暮れ時の「生月サンセットウェイ」を走るスイフト
塩俵断崖
旅の締めくくりは、
夕暮れの切なさと明日への期待を胸に
“初めて見る絶景”を堪能する。
オレンジ色に輝く海がだんだんと色を落としはじめ、水平線がピンクとブルーに染まり始めた。旅もそろそろクライマックス。さて、この贅沢な一日の終わりをどこで迎えようか。
それは、もちろん決まっていた。生月島の締めくくりは『塩俵断崖』だ。
柱が何本も重なったように見える断崖絶壁。夕陽が落ちる景色と断壁の眺望を、絶好の場所で見るためにスイフトを止め、「塩俵展望広場」へ足を運んだ。
断崖に打ち付けられる波のしぶきが、こちらへ届くのではないかと思うほどの迫力。自然が作った不思議な奇岩は柱状節理と呼ばれ、人間の想像を遥かに越える美しさがそこにはあり、崖の上に目をやれば多種多様な植物が風に揺れ大きな波の形を作っていた。
夕陽が海に吸い込まれていく。暖かい陽の匂いが、初夏の夜の香りに変わった。
“まだ見ぬ景色” を求めて旅をした平戸・生月島。目的地に向かう道中すべてに “まだ見ぬ景色” は広がっていた。私は、ここで見つけたすべての自然に有り余るほどの力強さと生命力を感じ、それを少し分けてもらったのだ。
心も五感も満たされた今回の旅。最後に見た水平線に沈む夕日は、まるでこの旅の締めくくりを祝福するかのように美しかった。その光景を眺めながら、「明日を迎えるのが楽しみだ」と心から思える自分に気づいた。
今回のドライブルート
周辺スポット情報
たびら平戸口駅
- 所在地:
- 〒859-4825 長崎県平戸市田平町山内免
春日集落案内施設かたりな
- 所在地:
- 〒859-5373 長崎県平戸市春日町
道の駅 生月大橋 駐車場
- 所在地:
- 〒859-5706 長崎県平戸市生月町南免
千里ヶ浜海水浴場
- 所在地:
- 〒859-5132 長崎県平戸市川内町