対処すべき課題

1.会社の経営の基本方針

 当社グループは、「消費者の立場になって価値ある製品を作ろう」を社是の第一に掲げてきました。今後もお客様に喜ばれる真の価値ある製品づくりに努めてまいります。

 「小さなクルマ、大きな未来。」をスローガンに、お客様の求める小さなクルマづくり、地球環境にやさしい製品づくりに邁進いたします。

 法令遵守のもと、安全及び品質を第一とし、「小さく・少なく・軽く・短く・美しく」を徹底し、効率的な健全経営に取り組んでまいります。

2.対処すべき課題

 はじめに、当社の完成検査における不適切な取扱いにつきまして、外部専門家による調査結果と提言を踏まえた会社としての再発防止策を国土交通省へ提出し公表するとともに、それに伴うリコールを実施することとなりました。お客様やお取引先様をはじめとする当社を取り巻くすべてのステークホルダーの皆様に、多大なご心配、ご迷惑をおかけいたしましたこと、心よりお詫び申しあげます。

 取締役会は、重大な危機意識を持ち、完成検査を含む会社のあらゆる業務におけるコンプライアンス体制やリスク管理体制等、内部統制の構築及び監督を一層強化してまいります。

 今後は、経営陣と全従業員が危機感を持ち、全社一丸となって、徹底的・永続的に、再発防止策を実行してまいります。

 さて、自動車産業は大変革の時代を迎えています。このような変革期には、現在からの延長線ではなく、長期展望として10年、15年先に目指す姿を描き、そこから現在に遡って今後行うべきことを考え、未来を切り拓くことが必要です。

 2030年頃に、インド市場は1,000万台規模に成長する可能性があります。現在のシェア50%を維持すると、当社グループは500万台の規模です。その他の市場を200万台とすると、当社グループ全体で700万台となります。これは計画というよりは理論値ですが、今後の成長に向けて当社グループはチャレンジしてまいります。

 また、インドを充実させることは、開発した商品を世界に展開することを通じて、他の市場の充実にもつながると考えております。

 しかし今と比べれば、倍以上の規模となる全く未知の領域です。経営陣をはじめ全社員が発想を変えて、経営資源を効果的に配分していかなければなりません。

 その意味でこの長期展望に向けた活動は、猶予の許されない、当社グループの未来をかけた挑戦です。全社をあげて取り組んでまいります。

 そのような中、当社グループは、以下の課題に取り組んでまいります。

<品質>
 品質については、今後とも最も重要な課題であることに変わりありません。
 当社グループは、お客様の安全・安心を最優先に考え、高品質でお客様に安心してお使いいただける製品の開発・生産とアフターサービスの提供に努めております。
 今後とも、お客様の求める品質を的確に捉えながら、全部門が品質意識を高く持ち続け、お客様が引き続き安心して製品をお使いいただけるように全力を尽くしてまいります。

<商品と研究開発>
 商品については、お客様の期待を超える価値をもつ独創的な商品を引き続き投入するとともに、2030年に向かって販売台数を拡大していくために効率的に開発車種を設定してまいります。
 また、地球環境問題への対応として、従来の延長線上の技術だけでなく、新たな技術への取組みを加速してまいります。当社が得意とする小さなクルマづくりに加え、新しい高効率のパワートレインの開発、ハイブリッドの拡大・強化、EVの新規開発にも積極的に取り組んでまいります。
 さらに、安全技術やコネクティッドなど情報通信技術にも取り組んでまいります。

<生産>
 完成検査は、国土交通大臣に代わって自動車の保安基準への適合性を確認するものであり、厳格に実施してまいります。
 また、2030年を踏まえ、生産体制の拡充を進めてまいりますが、安全及び品質を第一とし、世界最適生産体制を常に念頭に置き進めてまいります。特に、インドについては、政府が提唱するメイク・イン・インディアの観点からグジャラート工場や電池工場等の生産体制の強化に積極的に取り組んでまいります。

<販売・サービス>
 世界各国、各地域において、販売網・サービス網の強化に取り組んでまいります。
 特にインドでは現在、乗用車市場で過半数のシェアを獲得していますが、2030年にも過半数のシェアを確保したいと考えています。この具体的な実現方法について積極的に対処してまいります。

<トヨタグループとの提携>
 自動車業界は、従来の自動車そのものの開発技術にとどまらず、環境や安全、情報等の分野において先進・将来技術の開発が求められるなど、取り巻く環境がこれまでにない速さで、大きく変化しております。また、こうした分野では、個別の技術開発に加えて、インフラとの協調や新たなルールづくりを含め、他社との連携の重要性が増してきております。
 当社は、小さなクルマを中心に、価格競争力の高いクルマをつくる技術を一貫して磨いてきましたが、先進・将来技術の開発に課題を抱え、危機感を持ってきました。
 トヨタグループとの提携を進めることで、環境や安全、情報等に関する技術開発を加速するとともに、インド市場のさらなる拡大やアフリカ市場など新たな市場の開拓を進めてまいります。

<四輪事業>
 日本はグローバル車開発の要、生産の基盤と位置付けています。
 商品戦略としては、軽、A、Bセグメントに集中し、拡大する世界の小型車市場に対応してまいります。
 地域戦略としては、日本、インド、インドネシア、パキスタンなど引き続きアジアを主力に事業基盤を強化してまいります。

<二輪事業>
 本年4月、新たに独立採算で、積極的に事業正常化への解決策を見出し、収益事業への転換を図るため、二輪事業本部を廃止し社長直属の社内カンパニーとして「二輪カンパニー」を新設しました。
 売上増、固定費削減により、独立採算、事業の正常化を進めてまいります。

<マリン事業>
 大型4ストローク船外機の強化、充実を図り、プレジャー市場、業務市場の開拓を進め、「THE ULTIMATE OUTBOARD MOTOR」のブランドスローガンのもと、世界一の船外機ブランドを構築してまいります。

<ESG(環境、社会、ガバナンス)の取組み強化>
 「環境」については、「スズキ環境計画2020」を推進し、環境技術の開発と普及、CO2排出量の削減に取り組んでいます。今後は、「スズキ環境計画2020」の次なる計画を策定するとともに、当社グループの継続的な成長に不可欠である長期的な視野に立った環境ビジョンの策定にも取り組んでまいります。
 「社会」については、ステークホルダーの皆様のご期待に応えるよう、製品の安全・品質、地域社会への貢献、人への投資、人財育成、労働安全などに積極的に取り組んでまいります。
 「ガバナンス」については、会社のあらゆる業務を網羅するようコンプライアンス体制やリスク管理体制を根本から見直し、内部統制を強化してまいります。
 環境、社会、ガバナンスの各課題に積極的に取り組み、世界中の人々に愛され、信頼されるグループを目指してまいります。

2019/06/27 12:00:00 +0900
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