シリーズもすでに後半となった世界ラリー選手権WRCだが、ジュニアも既に5戦目、戦いの場所をドイツからイタリアに移してのラリーとなる。
基点となるのは年間を通じて温暖な気候に恵まれている西リベリアの代表的なリゾート、サンレモ。日本では「サンレモ音楽祭」で知られているイタリアとフランスの国境に程近い小さな街だが、ヨーロッパでは地中海を望む古くからの由緒あるリゾート地としても有名だ。ここのラリーの歴史は古く今年でなんと44回目となる。
総走行距離1407,04キロ、全部で18のスペシャルステージ(SS)で競われその合計は385キロとなっている。レグ1は総走行距離538,88キロ、うちスペシャルステージは8つ、147、25キロ。レグ2は540,88キロ、基本的にレグ1のリピート、うち6つのSSの合計は150,57キロとなっている。レグ3は総走行距離327,28キロ、うちSSは4つで合計88,02キロ、レグ1やレグ2で走るステージが含まれているなど全体としてコンパクトなラリーとなっている。
ステージは、すべてターマック(舗装路面)。曲がりくねった狭い山岳路がほとんどでコースとしてはモンテカルロと非常によく似ている。それもそのはずサンレモとモンテカルロは車で約30分の近さだ。つまりモンテカルロのコースのイタリア側を走るのがこのサンレモのラリーだ。またこういった狭い山岳路のステージが南ヨーロッパの典型的なコースといえる。
ラリー自体は前述のとおりコンパクトで同じルートを何度も使うのが特色となっている。同じ場所を1日2回は通過するのでラリー観戦には都合が良いもののイタリアのみならずフランス、スペインからも熱狂的なラリーファンが集中するためスペシャルステージ付近での渋滞は避けられないだろう。
またこういった狭い南ヨーロッパ特有のコースはここを地元とするイタリアやフランス人選手にとっては、自分の庭のようなものだけに彼らラテンドライバーの優位は動かない。WRCでは、プジョーのパニッツィ選手やシトロエンのローブ選手、三菱のデルクール選手などはまさにそういった選手達だ。ジュニア勢でもシトロエンのダラビッラ選手やソラ選手、フィアットのバッソ選手などはかなり有利と見られている。逆にグラベルが得意でこういった路面に経験の浅いシトロエンのトゥオヒノ選手などのフィンランド勢にとっては厳しいラリーとなるだろう。
どう戦うか3つのチーム スズキ イグニス
このラリーを戦うイグニス スーパー1600は基本的にラリー・ドイチェランド仕様のままだが、新しいエンジン、新しいミッションを組み込んでおり、準備は万全といえる。既に9月15日(日)、サンレモ近郊でテストを行いさらに細かいところまでセッティングも煮詰めた。
ドイツで、3位を獲得したドイツチームのニコラス・シェレ選手もこのサンレモは初めて、ただこの辺りのイベントの経験が全くない訳ではなく、元々ターマックは得意なドライバーだ。コースに対する経験のなさをベテランのシェレ選手がどう克服するかが見所とも言える。「このサンレモは僕にとっても非常に楽しみなイベントだね。」と
シェレ選手は語った。「ドイツでは僕らのイグニス スーパー1600のポテンシャルを十分見せることが出来た。そしてまたここでもいい結果を出せるようにがんばるよ。今回のテストでもいいセッティングを出せたと思う。このセッティングが正しければかなりの確率でいいポジションにいけると思うよ。」と続けた。またシェレ選手のコドライバーは今回も、ドイツでコンビを組んだターニャ・ガイルハウゼン選手を起用する。ドイツで3位に入賞したゲンのいいコンビだけに好成績を期待したい。
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同じくドイツで9位完走を果たした丹羽選手も今回、コドライバーに以前のシェレ選手とコンビを組んでいたゲルハルト・ヴァイス選手を起用することになった。丹羽選手にとってはコースも初めて、コドライバーも初めて、しかも初めての英語でのナビゲーションとなるだけにその戦い振りが注目される。ヴァイス選手はベテランでしかも経験が豊富な優秀なコドライバーだけに丹羽選手にとってはさまざまな面で勉強になるだろう。「僕はいつもよりさらに多くのことを学んでいると思います。」と丹羽選手は語る。「ここでのテストは初めてサンレモを走る僕にはかなり有効なものでした。さらに今回、初めてゲルハルト選手とコンビを組むということで言葉の問題などの点についてもかなりお互いに慣れる事が出来ました。しかしこのサンレモも簡単なラリーではないことは良く分かっています。きっとゲルハルト選手の経験がかなり役立つのではないかと期待しています。またマシンについてもテストでは十分な手ごたえを感じています。とにかく好きなターマックですし、いい成績が出るようがんばります。」と語った。
丹羽選手にとって得意なターマック、いいタイムを出しながらリタイヤしたカタルニアに良く似ているこのサンレモでも、ここで彼がどう戦うかが注目される。
フィンランドのユハ・カンガス選手にとっても初めてのラリーとなる。ターマック(舗装路面)よりもグラベル(ダート路面)が得意なフィンランドの選手にとってはスピード勝負よりもまず経験をつむことも重要なことだ。このところ不運なリタイヤが続いているだけにまずは大事に完走を目的に走る。「僕は確かにここは初めてのラリーだ。しかしテストによってかなりの情報を得ることが出来た。ここの路面はドイツに比べてかなり条件が一定している。またマシンもいい感じだ。出来ればドイツよりももっといい結果を出せればいいと思っているよ。」と語った。
ラリーは9月19日(木)サンレモでセレモニアルスタートを迎える。本格的なラリーは翌9月20日(金)のレグ1からとなる。コンパクトなラリーといえば一見簡単な様に見えるが逆にいえばその分コースを覚えやすく、コースを熟知した選手が有利であることは間違いない。反面、比較的条件がいいだけに運にたよる事もあまり出来ない。マシンや選手の実力が試される厳しい戦いとなるだろう。このラリーサンレモ、チーム
スズキ イグニスにとってはその実力がどこまで上がったかを試す絶好のチャンスともいえる戦いとなるだろう。
次のレポートはスタート終了後にお届けする予定だ。
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