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安定した労使関係

スズキは、スズキ従業員を代表するスズキ労働組合と、「相互信頼」に基づく、良好な労使関係を築いています。2022年度末時点の組合員数は17,270名で、管理職や労働協約で定めた非組合員を除いた正規従業員の組織率は100%です。

新しい労使関係の構築(交渉から対話へ)

2022年以降の労使交渉スタイルの変革

労使交渉については、年1回の春季労使交渉(いわゆる春闘)の場が主となっていましたが、中心テーマが昇給・賞与となり、それ以外の課題については、職場個々の課題と部門横断的な課題が混在し、論点が分かりにくいものでした。会社と労働組合のベクトルが合いにくく、お互いの主張を伝える形式的な場になりがちでした。
こうした状況を踏まえ、労使信頼関係の根幹である職場単位での上司・部下コミュニケーションを活性化させ、層別で議論をしていくことを目指し、2022年の春季労使交渉では、これを実現させるための施策を実施しました。

春季労使交渉での取り組み

  • 会社側からは将来に向けての取り組みを伝え、組合とはその施策に対して取り組むべき課題を共有し、ベクトルを合わせながら解決に向けて話しあう「対話の場」としました。
  • 組合員だけではなく、管理職も一体となって労使交渉に臨むことが効果的と考え、管理職を主なターゲットとした社長メッセ―ジを交渉に合わせて発信。このメッセージを含めた対話内容を労使全体に向けて情報発信しました。

労使交渉後の継続的な取り組み

  • 職場の課題は自分たちで解決すべく、部門単位の「労使懇談会」を定期的に開催し、コミュニケーションを活性化させています。
  • 職場だけでは解決が難しい課題は、毎月1回開催する「支部労使協議会」「中央労使協議会」で3月の春季労使交渉まで継続性に議論することで、春季労使交渉を労使議論の集大成の場とすることを目指しています。
  開催頻度
中央労使協議会 月1回
支部労使協議会 月1回

組合員意識調査の実施

スズキ従業員を代表するスズキ労働組合では、スズキ労連(スズキグループの労働組合が加盟するスズキ関連労働組合連合会)と連携し、全組合員を対象とした意識調査を実施しています。
この調査は、スズキグループ全体の強みと弱みを把握することによって、より良い会社・職場づくりにつなげるため2018年から毎年実施しています。調査結果で見えた課題は組合員に報告し組合活動へ反映すると同時に、労使で共有し職場課題の解決に向けた活動につなげ、労使関係を安定的に維持しています。

(2023年調査結果の概要)

調査対象 全組合員
調査期間 2023年4~5月
調査方法 無記名・封筒密閉
回答率 有効回答率79.7%
設問分野
  • 1.戦略・風土
  • 2.マネジメント
  • 3.コミュニケーション・モチベーション
  • 4.労働環境
  • 5.組合活動

エンゲージメント(職場コミュニケーション)

社長職場対話

2021年より、社長自らが社内全職場(本部・工場・拠点)現場に足を運び、意見交換会(2022年:41職場)を実施しています。社長自らが従業員に直接思いを伝え、また従業員は日々の困りごとを打ち明け、諸問題を共有し、協力一致して解決に取り組んでいます。特に若手から中堅の従業員にとっては、自分の思いを、自分の言葉で直接社長まで届けることができる機会となり、また社長のみならず経営陣は現場のこうした声に耳を傾け、柔軟かつ素早く改善に取り組んでいます。

業務計画の見直し

2023年度より各本部の業務計画は達成のために必要工数を可視化し、各個人レベルまで落とし込み、割付けることで業務遂行を通じた人材育成と工数のバランスを取るようにしました。これまでは、業務量と工数(人の人数×能力)のバランスを一部欠いた計画があり、その結果、従業員の育成につながるどころか、過度な業務量に追われることが仕事の質の低下につながり、結果として仕事の手戻りが多く発生し、計画の修正や遅れを生み、疲弊してしまったという反省があります。一人ひとりが成長実感を得られるように、上司と部下が日々コミュニケーションを密にしながら業務のPDCAサイクルを回しています。

賃金

スズキは、スズキ従業員を代表するスズキ労働組合と、相互信頼に基づく良好な労使関係を築いています。労働組合の目的は、従業員の雇用の安定と働く環境(労働条件)の維持改善にあり、この目的を達成するには会社の安定的な発展が不可欠です。スズキは、企業活動の成果配分としての給与・賞与・労働時間等に関する交渉では、会社と労働組合という立場で議論しながら、会社を安定的に発展させようとする基本的なベクトルを共有し決定しています。
なお、最低賃金の保証については、最低賃金に関する協定を毎年労使で結んでいます。

■日本における初任給一覧

(2023年4月時点)

最終学歴 月給(円) 最低賃金との比較(%)
高校 179,500円 117%
高専(本科)事務職、技術職 192,000円 125%
高専(専攻科) 220,000円 144%
大学 一般事務職 190,000円 124%
事務職・技術職・営業職 220,000円 144%
大学院(修士) 242,000円 158%
  • ※ 最低賃金は静岡県の最低賃金(944円/H)より、1ヵ月20.3日、8時間労働として算出。なお、等級別の給与制度となっており、同一資格等級での男女別、人種、国籍及び地域別格差はありません。

福利厚生

独身寮・住宅

遠隔地から入社した従業員のために独身寮があります。また、各事業所で勤務(出向含む)する従業員のために、地域によっては社宅があります。

準社宅

寮や社宅がない地域の各事業所や代理店で勤務(出向含む)する従業員のために、会社が一般住宅を借り上げ、これを社宅、寮に準じて入居いただく準社宅があります。

体育施設

従業員の健康増進と体力増強及び余暇の善用に供するため、体育施設を設置しています。本社近郊に夜間照明完備の総合体育施設(スズキグランド、スズキ体育館、トレーニングルーム、テニスコート)があります。磐田工場近接地にグランドがあります(野球、ソフトボール、サッカーなどに利用されています)。

社員食堂

従業員の給食施設として、本社、各工場及び寮に食堂があり(一部除く)、カフェテリア方式で、一品料理、定食、カレーライス、めん類、などが喫食できます(寮は主として定食のみです)。本社食堂では、朝食や喫茶営業も行い、焼きたてパンや淹れたてコーヒー等が提供されます。

社員食堂

財形貯蓄制度

従業員の貯蓄奨励を目的とした財形貯蓄制度があり、55歳未満の従業員が加入できます(一般財形・財形年金・財形住宅の3種類があります)。

住宅資金貸付制度

従業員が持家取得のための資金を必要とし、金融機関から住宅資金を借り入れる際、会社より利子補給を受けることができる制度です。

従業員車両及び家族車両購入制度

従業員または家族(従業員の配偶者または子供)が車両(スズキ製品新車)を購入する場合、車両価格に対し一定の割引社員を受けられる制度です(一部除外機種があります)。また、購入資金を必要とするときは資金の貸付を受けることができます。

従業員持株制度

従業員持株制度は、毎月の給与から一定の金額を天引きして会社の株式を継続的に購入する制度です。毎月の拠出金額に応じて無理なく株式が取得でき、財産づくりを支援するため、拠出時に会社から奨励金も付与されます。
福利厚生のみならず、従業員が自社の株を持つことで、業績が上がれば自分の利益にもつながるというモチベーションアップが期待でき、経営参画意識の醸成にもつながります。

  • ※加入者数、加入率等の詳細は会社データをご参照ください。

TOPICSスズキ、従業員持株会の奨励金付与率を引き上げ

スズキ株式会社は、人的資本投資の取り組みの一環として、従業員持株会の奨励金付与率を現在の5.6%から100%へ引き上げました。魅力的で加入しやすい制度とすることで、従業員の資産形成を後押しするとともに、経営参画への意識を向上していきます。
従業員持株会は、毎月の給与から一定額を天引きして自社株式を継続的に購入する制度で、スズキは1973年に従業員の福利厚生制度の一つとして導入しました。1口1,000 円と少額から購入できるとともに、積立額に対して5.6%の奨励金を支給することで、従業員の資産形成を後押ししてきました。
今回、奨励金付与率を積立額の100%(奨励金額上限10,000円)に引き上げることで、さらに多くの従業員に持株会に加入してもらえると考えています。
スズキは、今後も福利厚生制度を拡充していくことで従業員が一致団結し、一丸となって「2030年度に向けた成長戦略」を達成していくとともに、人と社会に必要とされる会社を目指します。

※奨励金額の上限

年間 変更後 変更前
給与 賞与 給与 賞与
奨励金支払い対象となる積立額上限 120,000円
(10,000円/月)
600,000円
(50,000円/月
400,000円
(200,000円×2)
年間奨励金額上限 120,000円 33,600円 22,400円

スズキグループの安定した労使関係構築のために

スズキには、国内外120社のグループ企業(製造会社・非製造会社・販売会社)があります。スズキは、120の企業がそれぞれの国・それぞれの地域で、そこに住む人々・社会・お客様から、信頼される企業であり続けたいと考えています。
スズキは、海外企業の労働組合役員と人事労務担当者を受け入れ、労使間の信頼関係とコミュニケーションの重要性、公平・公正な人事制度の必要性等について研修をしています。また、スズキは、スズキ労働組合とともに、国内外のグループ企業とのグローバルな人材交流を進めることにより、120社約7万人の従業員が創造性豊かに活き活きとして働く闊達な職場風土と、安定した労使関係を構築できるよう取り組んでいます。

インドマルチ・スズキ・インディア社

マルチ・スズキ・インディア社は、効果的なコミュニケーション、重要な意思決定への従業員の参加、およびさまざまな従業員福利厚生プログラムを通じて、安定した友好的な労使関係の確保に努めています。社長が主導し、さまざまな職位の従業員と定期的に双方向のコミュニケーションを行うことで、経営状態全体について常に情報を提供し、意見交換のための強力なプラットフォームを提供しています。

■労働組合や現場従業員との対話機会

ミーティング 開催頻度
社長と労働組合代表者とのミーティング 月1回
生産・人事担当役員と労働組合代表者とのミーティング
生産・人事部門と労働組合代表者とのミーティング
生産・人事部門と現場従業員とのミーティング 継続的に開催
専門ヘルプデスクによる現場従業員からの苦情聞き取り 週1回

結束の自由と団体交渉

従業員が組合を結成し加入する権利を尊重します。マルチ・スズキ・インディア社は3つの従業員労働組合を認知しており、グルガオン工場、マネサール工場、マネサールエンジン工場にそれぞれ1つずつあります。これらは独立した労働組合であり、選挙は組合の規則に従って行われています。
組合の代表と経営陣は、建設的な対話と団体交渉を通じて、定期的にコミュニケーションをとっています。またこの3つの組合は共通の労働組合の憲章に基づき、3年ごとに賃金改定を行っています。2022年度は、グルガオン工場とマネサール・パワートレイン工場における労働組合の代表者を選出する選挙が円滑に行われました。

給与体系

業界トップクラスの手当と、業界平均を上回る給与を提供しています。報酬方針は男女の差別なく、生産性の向上と事業目標の達成を指標として、すべての階層の従業員を対象とした体系化された成果報酬体系を導入しています。

従業員の福利厚生制度

発展に貢献していただいた社員を大切にしています。前年度の税引き後利益の1%を従業員の福利厚生のための基金として拠出し、住宅ローン補助などの福利厚生施策、従業員の子供の教育支援、従業員住宅の共用インフラ整備、従業員とその配偶者の退職後医療給付などの社会保障施策に活用しています。
ハリヤナ州ダルヘラで行われている住宅プロジェクトでは、これまでに262戸の住宅が従業員に引き渡されました。さらに数軒の住宅が建設中で、従業員に引き渡される予定です。

従業員家族と会社とのつながり

従業員の家族とのつながりや福利厚生のために、従業員の子供のための専門家によるキャリアカウンセリング、ファミリーデー、家族のための工場見学などのイベントを用意しています。従業員家族との関わりでは、社内報や特別な日に発信される社長メッセージを通じたコミュニケーションが重要な役割を果たしています。

専門ヘルプデスクによる現場従業員からの苦情聞き取り

派遣労働者を含む従業員から報告された苦情に対処するため、専門ヘルプデスクによる苦情聞き取りを行っています。従業員の問題に対処するために、定期的な聞き取りを実施しています。

受賞・表彰

マルチ・スズキ・インディア社は、さまざまな取り組みの結果、Ambition Boxより「自動車業界ベスト・プレイス2022」を受賞しました。

レポート目次

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