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2002 APRC Rd.4 ラリー北海道、波乱の幕開け!!
レグ1、粟津原選手クラストップ、田嶋選手はSS4で無念のリタイヤ。
2002年9月6日

予想外の大雨、最悪のコンディションとなったレグ1

田嶋/ラベット組
 いよいよアジア・パシフィック選手権第4戦ラリー北海道がレグ1始まった。午前8時、北愛国サービスパークのパルクフェルメ(車両保管)をチャンピオン、カラムジット・シン組のプロトンを先頭に次々と曇り空の下、SS1へと向かった。しかし更別近辺に設定されたSS1&3のクンネイワ・ステージ、SS2&4のタンネル・ステージではすでに雨が降っており、路面は最悪の状態になっていた。極端に狭くバンピー、そしてラフな路面は、更にマッディという条件が加わったのだ。わずか8.54kmのオープニングステージで4台もの競技車がコースアウト、リタイアとなった。ポッサム・ボーン/スバルが豪快な走りでベストタイムをマークするが、アベレージスピードは67km/hがやっと。それに7秒差の同タイムで2位に並んだのが深いわだちの'オンザレール'走行を得意とする日本の若手、勝田範彦組スバルと柳沢宏組三菱だった。

悪コンディションと戦う2台のイグニス スーパー1600!!

粟津原/高橋組
 田嶋伸博/ジュリア・ラベット組スズキ・イグニス・スーパー1600は8番目のスタート。マレーシアやインドネシアの氷の上を走っているようなウエットダートで鍛え抜いてきた田嶋選手にとって、こんなコンディションは逆に腕の見せ所となるはずだった。レッドゾーンぎりぎりまで回して更別の森にイグニスサウンドを轟かせながらスタートしたイグニス・スーパー1600だったが、2輪駆動車の宿命、余りに深いわだちとマッディでスリッパリーな上り坂にはタイヤが付いて来ない。トップから48秒遅れの総合27番手のタイムがやっとだった。粟津原豊/高橋昭彦組も36位でSS1を走り切った。もちろん2輪駆動車の中ではブッチ切りの1−2位だ。

 このラリー最長24.17kmのSS2は、SS1より更に路面が悪くアップダウンもきつい。田嶋イグニスは下りやストレートで思い切りタイムを稼ぎ、総合17番手のタイムをゲットして見せた。このステージにはスペクテイターズ・ポイントが設けられており、遠くからもはっきりとイグニスだと分かるエキゾーストノートは、冷たい雨に打たれながらラリー車を待つ観客の心を熱く沸き立たせた。

 SS2を終えると競技車は一旦サービスパークへ戻り、午後の2ラップ目に向けて選手とマシンをリフレッシュさせる。しかしここに帰って来られたのは49台。すでに12台が悪路の餌食となっていた。正午にサービスパークを出発した競技車は、更に条件の悪くなっている2ラップ目にアタック。だがSS3のスタートに着いた田嶋イグニスのエンジンがおかしい。タイムも1回目のSS1より40秒以上遅い。正念場のロングSS4ではついにパワーが極端にダウン、坂を登れなくなってしまった。そして、最終的にはエキゾーストから出火、リタイアとなってしまった。
トラブルの原因は、当初、最初のサービスでチェックした燃料系のトラブルと思われていたが、車両引き上げ後の検証により、ミスファイアによるものと判明した。

マシンをチェックするマシンクルー

田嶋選手は「実は、SS4のスタートでもう止めておこうかと迷ったんですよ。アジア・パシフィック選手権はリタイアしてもマシンを時間内に直せば翌日スタート出来て、各レグの3位以内に与えられるボーナスポイントも獲得できますからね。でもイグニスが走って来るのを心待ちにしている観客が一杯いることを考えると、これはマシンを担いででもスタートしなければと・・・・。しかしスタートして7kmあたりでパワーが落ちて坂が上れなくなった。コドライバーのジュリアが泥の中マシンを押してくれて何とか下り坂になったんですが、100mも走ったら火が出た。すぐに消したんですが、そこでストップです。」と残念そうに語った。


粟津原選手

また後続の粟津原組は田嶋イグニスのリタイア現場を見てからはアクセルを緩めざるを得なくなった。「3台全滅したJWRCのアクロポリス・ラリーをここで再現するわけには行きませんからね。何としても完走しなければいけませんから。みんな道が悪いと言うけれど、僕はそんなにひどいと思わない、全日本では良くあるコースですからね。SS4ではミッショントラブルで2速しか使えなくなったけれど、もう直したから大丈夫、明日もきっちり走りますよ。」と絶対完走の重責を担ってしまった粟津原選手だが、意外にクールに語っていた。レグ1の彼の結果は総合23位、もちろん2輪駆動車の1位だ。

 田嶋選手はすでに暗くなった7時過ぎやっとサービスパークに帰着、メカニックは明日のリスタートのためにイグニスに飛び付いて修理を始めた。
「いやー、大変な一日でした。ひどいコンディションだったけど、実は私はこんな路面が得意なので、4WD勢を食ってやろうと密かに燃えていたんですよ。そうしたらマシンも燃えちゃった。明日も燃えますよ、ただし僕がですよ!!マシンが燃えるのはもう勘弁ですね。」ガハハと笑いながら田嶋選手は頭を掻いていた。


見えてきた6回目のAPRCクラスチャンピオン。

田嶋選手

 なお参考までに付け加えておくが、田嶋選手は現在アジパシ2リッターカップのポイントリーダーだが、チャンピオンとなるにはアジパシ全6戦中最低4戦、しかもアジア地域とオセアニア地域のイベントをそれぞれ2戦以上出場していなければならない。田嶋選手は既にキャンベラ、ニューカレドニアそしてロトルアに出場してオセアニア地域をクリアしているため、あとは12月に出場予定しているラリー・オブ・タイランドでスタートランプを降りればその時点でチャンピオン確定となる。またアジア・パシフィック選手権に設定されているスーパーラリー方式とは、リタイアしたチームもマシンが修理できれば翌日も出走することができ、毎レグごとの各部門1〜3位にはボーナスポイントが与えられるというものだ。だから田嶋選手は、最終結果としては既にリタイアとなっているが、これからアジパシポイントを稼ぐことは可能なのだ。


 スズキスポーツラリーチームは、今夜全力を挙げて田嶋選手のマシンを修復。明日のレグ2に備える。天候の回復が期待されるが、午前中は雨という予報、今日のレグ1よりは広い路面となるが深いわだちが掘れるのは避けられない。明日も選手達にとっては厳しい戦いとなるだろう。

明日は、レグ2のレポートをお届けする。







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