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2002 APRC Rd.4 ラリー北海道 いよいよ終盤!
2002年9月8日

田嶋選手の運転するイグニス
 アジア・パシフィック選手権第4戦ラリー北海道もついに最終日を迎えた。雨にたたられたレグ1、レグ2だったが今日は明るい曇り空。朝6時にラリーは再開され、レグ1の行なわれた更別村の西隣り、豊頃町の森の中に3本79.89kmのスペシャルステージが用意された。サービスをはさんでこれらのSSを2ラップずつ行ない、最後は北愛国サービスパーク横のギャラリーステージSS20、1.17qを走ってゴールというものだ。1日目からトップを独走しているポッサム・ボーン組(スバル)が、田口勝彦組(三菱)、マルコス・リガート組(三菱)を従えてアタックを開始した。なお厳しい2日間を走り抜いて最終日までコマを進めたのは36台だが、スーパーラリー方式によって救済され、レグ3への出走を許された22台と合わせて58台がスタートした。

苦しい闘いが続くスズキ勢!クラスリーダー粟津原選手もリタイヤ。

 スズキスポーツ ラリーチームは2リッターカップ部門トップの粟津原豊/高橋昭彦組イグニス スーパー1600も元気にスタート、狙うのはもちろん部門優勝だ。そして田嶋伸博/ジュリア・ラベット組も前日のエンジントラブルを修復してスタートラインに着いた。こちらはアジパシのボーナスポイントを稼いでポイントリーダーの地位を更に確固たるものにしようという目論見だ。

粟津原選手

 久々のラリー出場、しかも実戦で初めてイグニス スーパー1600をドライブすることになった粟津原選手だったが、レグ1で田嶋組がリタイアしたために絶対完走せねばならぬ立場に立たされたが、さらにエンジンの不調で思うような試合運びは出来なかった。しかしこの日最初のSS14をスタートした粟津原選手は、エンジンが昨日までとまるで違って快調なのにすぐ気が付いた。それでもある程度セーブして走らなければならないが、「今日は気持ち良く行けそうだ。」と粟津原選手の心も軽くなった。「観客に2台のイグニス スーパー1600の豪快な走りとサウンドを堪能してもらおうと思ったんですが………。」と語る粟津原選手だがSS14の半ば過ぎで荒れた路面のためにパンク、コドライバーの高橋選手とマシンを飛び降りてタイヤ交換となった。要した時間は3分。それでもまだクラス1位に変わりは無い。猛然と再スタートしてゴールに飛び込む。気を取り直してSS15にアタック、エンジンは相変わらずいい音を奏でて回り続けている。しかしその直後、中速コーナーに掛かって3速にギアチェンジしたが反応が無い。そしていきなりタイヤがロックして粟津原イグニスは道の真ん中で立ち往生してしまった。2リッター部門優勝の夢はこの時点で費えた。
「タイヤ交換したあとにバックギアに入らなくて、一瞬アレッと思ったんですが、それが前兆だったのかもしれません。ようやくこのクルマにも慣れて来て、エンジンも快調だったので今日こそは納得の行く走りが出切ると思っていたんですけど」と粟津原選手は残念そうに語っていた。


待ち受ける最後の難関をクリア。
田嶋選手、レグ3フィニッシュでポイント獲得!

田嶋選手

 一方最終レグだけは何としても走り切りたい田嶋イグニスは、いつもよりやや抑え気味にSSをこなす。各SSのタイムは総合20位前後をキープ。天候は雨の気配は全く無く、路面もかなりウエットさがなくなって、トランスポート区間の舗装路はもう完全に乾いている。しかし2ラップ目に入ってみると、路面のわだちが驚くほど深くなっていた。そして林道を横切るコンクリート製の排水路がとんでもなく高いハードルとなってラリー車を待ち構えていた。前日までとはまた違った難関だ。そのためにパンクするチームが続出、1位のボーン組(スバル)を僅差で追っていた田口組(三菱)も3本パンクしてリタイア、レグ2のターボトラブルで7位に落ちていたチャンピオン、カラムジット・シン組(プロトン)も今日は林道SS全てでベストタイムを叩き出していたが、パンクしたまま走り続けたために左フロントフェンダーは見るも無残に破壊されていた。


 

 そんな過酷な後半ステージを田嶋イグニスは無事こなして北愛国サービスパークへと戻って来た。あとは観客が押し寄せた最終のショートステージを走るだけだ。

 日本で初めて開催されたアジア・パシフィック選手権戦ラリー北海道。ミステリアスなエンジントラブル、そしてミッショントラブルが3日間を通じて2台のイグニス スーパー1600を襲い、選手とチーム関係者を悩ませた。しかしスズキスポーツ ラリーチームは、田嶋/ラベット組が、ボーナスポイント3点を獲得、アジパシ、クラスチャンピオンへ王手をかけた。


進化への大きなステップ。

歓声に応える田嶋選手

 田嶋選手は「しかしこれも進化し続けているマシンの宿命でしょう。ある部分が良くなればそのストレスが今まで問題無かった部分に掛かる、というのが常識です。イグニス スーパー1600は舗装でもダートでも世界のトップクラスに急激に近づいて来ましたから、それだけ各部の負担も大きくなり、今回のようなトラブルに結びついたのでしょう。確かにアジパシという面では思うような結果は残せませんでしたけど、これからのイグニス スーパー1600、特にJWRCへの大きな宿題をもらったようなものです。これを克服した時にはイグニスは更に強力なマシンとなっているでしょう」とラリー終了後に語った。


 ラリーマシンは壊れなければ進化は無く、テストで何千q走っても出なかったトラブルが実戦でいきなり出るのがこれまたこの世界での常識だ。確かに敗北は辛く嫌なものだが、これ無くしてはマシンの熟成は出来ないのだ。勝利へ向けての代償と言ってもよいだろう。

イグニス スーパー1600はこれからもこの試練をエネルギーに変えて終盤戦のJWRCそしてAPRCにアタックして行く。そして田嶋組はアジパシ最終戦のラリー・オブ・タイランドでしっかりと2リッターカップ2年連続、通算6回目のチャンピオンを決定してくれるだろう。今後の田嶋選手の活躍に期待したい。








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