秋になると「ふじ」をはじめ
15種類のりんごがたわわに実る。
青森県弘前市で
りんご農園を営む村上稔さんは、
今日も相棒キャリイと走る。
りんごづくりは天災との闘い。
そう語る村上さんに話を聞いた。
日本一の桜に活きた
りんごづくりの技術
まだ雪の残る岩木山のふもと、津軽平野が桜色に染まる4月。「弘前の桜には、りんごの剪定の技術が活かされているんです」そう語るのは、この地で40年以上りんご農園を営む村上さん。不要な枝をきることで養分を行き渡らせる。剪定の技術を応用することで弘前の桜は花数を増やし、日本一と称されるまでになった。村上さんは12月から4月にかけて、広大な農園の1本1本ひと枝ひと枝を見極めていく。
1年を通してりんご農園が最も忙しくなるのは夏から秋にかけての収穫期だ。たわわに実ったりんごを傷がつかないようにていねいに収穫し、いったん冷蔵貯蔵庫へと運び込む。そこから市場や直売所へ出荷していく。この繁忙期に広大な津軽平野を駆け回るのは、村上さんの軽トラック、キャリイだ。
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収穫したりんごは冷蔵の貯蔵庫へ。およそ7万箱のりんごを貯蔵できる。
2トントラックから
軽トラックへコンパクト化
村上さんとキャリイのつきあいは40年以上、現在で5代目になる。実りの秋には20kgのりんごが詰まったコンテナを荷台に積んで、農園から貯蔵庫や直売所へ何往復もする。かつて、りんご農園の主流は2トントラックだったが、近年では軽トラックに乗り換える農家も増えているそうだ。「コンテナがたくさん積めて、積み下ろしがラクなのがいいですね」ピーク時には1日に数百箱を運ぶという村上さんにとって、積み下ろしのしやすさは欠かせないポイントだ。
農園までの山道も村上さんの四駆のキャリイは力強く走る。園地のぬかるんだ狭い道も、小回りがきいて頼りになるという。「これがないと仕事にならない。まさに仕事の相棒ですね」キャリイを走らせながら村上さんは語った。
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りんごのコンテナが1段にぴったり12箱入る。積み下ろしもラクラクだ。 -
村上さんがていねいに育てたりんご。毎年この味を待っているお客様がいる。
台風、豪雪。
天災と闘いつづけてきた40年
村上さんがキャリイと走ってきた40年は決して平坦な道ではなかった。「りんごづくりは天災との闘いです」と村上さんは語る。台風に、豪雪、近年では温暖化による大雨の被害もある。いくつもの天災が目の前に立ちはだかった。しかし、辛い経験を乗り越えて村上さんのりんごづくりは、進化していく。
今では防風ネットが農園を取り囲み、風からりんごを守っている。売り方の仕組みも見直し、自ら値付けができるよう卸売中心の販売から直売へとシフトした。「自分のつくったものは自分で売る」昨今はネット販売も好評だ。りんごの価値を高めるアイデアも生まれている。企業名や「寿」などの好きな文字をりんごにいれる「絵文字りんご」はネットでも人気の商品だ。
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りんご台風をきっかけに設置された防風ネットが、広い農園を取り囲んでいる。 -
絵文字りんごは、お祝いごとなどでも人気の商品。手間ひまかけてつくられている。
「わたしのりんごを
待っていてくれる人がいる」
収穫の秋、20kgのコンテナをたくさん積んだキャリイを走らせながら村上さんが想いをはせるのは、りんごを心待ちにしてくれているお客様の笑顔だ。「村上さんのりんごがないと年が越せない。そう言われたときはうれしかったですね」と表情をほころばせる。待ってくれる人がいる。それが村上さんのりんごづくりの原動力だ。
村上さんの仕事の“マイルール”は?「仕事一辺倒にならないこと。自分の時間もつくるようにしています」最近の楽しみは、奥様と年に数回コンサートに出かけることだという。「カミさんには苦労をかけたし、恩返ししないとなと思って」と穏やかに笑う。村上さんのつくったりんごはどこか優しい味がする。りんごを待ってくれるお客様のために、これからも村上さんとキャリイは走りつづける。
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村上さんと相棒キャリイ。これからもおいしいりんごを届けつづける。