整備アーカイブになります。先日、こちらのブログにもアップしたエアコン診断の修理になります。ZC32S 距離は約148000km データ2021/05/14 15:31です。
診断通り、A/Cコンプレッサ、サクションホース、ディスチャージホース、レシーバードライヤ交換です。

先ずはディスチャージホースを交換します。コンプレッサが圧縮状態をキープできない状態ですので、恐らく内部が破損していると思われ、高圧側からチェックしていきます。意外とホースが思ったほど破片などが無かったので、コンデンサへはレシーバで何とか止まってるのでは?と予想します。そして、レシーバードライヤを交換して、内部摩耗状態を把握します。
ドライヤーのサービスホールを外す六角ネジがあまりスズキ車では使わないサイズです。14mmのボルトにダブルナットにて脱着も出来るのですが、何故か14mmのヘックスレンチを持っていましたw。角度でどれくらいのトルクで締まってるか確認しながら慎重に外します。ドライヤーの向きもあるので、脱着時付いてる部品の方向を覚えておきます。

あれ?綺麗だな~(まだ地獄を知らない・・・)
サービスホールに付いているストレナーには汚れて詰まっていますが、破片などは混入していませんでした。また、ドライヤーも汚れていますが、触ると案外サラサラしていて、エキスパンションバルブ(以下、エキパン)までのパイプは、状態が良いのでは?と判定出来ました。一応、ドライヤーのハウジングも覗き込みますが、良さそうです。

白いのが新品です。矢印のような向きが頭側です。しっかりフィルターの役目を果たしているので、エキパンが詰まらないんですね~♪ストレナーも真っ黒ですね。
そして、コンプレッサーを交換しようとサクションホースを外したら・・・大量のアルミの粉のような塊が沢山ありました。

これ、低圧側です。スラッジが見えるでしょう(●^o^●)
「うあ~中、逝っちゃってるな・・・」低圧側だから、この時は高圧チェックしていれば、そんなに問題はないと・・・。そんな安易な考えでした・・・。コンプレッサーも新品に変えて・・・。そうそう、コンプレッサーオイルも計量し、取り付けようと古いコンプレッサーのオイル量を測定しようとしますが・・・。全然出てこない!!あ~これでロックしたんだろうと。本当は定期的なコンプレッサーのオイル交換をすれば長持ちするんだけど、システム上、エンジンオイル交換みたく簡単じゃないしなあ・・・。

このエキパンの上の穴にアルミの破片のようなものがいっぱい入ってました(;^ω^)
さっさとコンプレッサー交換を終わらせ、最後のサクションホースを交換しようとエキパン側を外して取り付けようとしたら・・・。ん?( ,,`・ω・´)ンンン?何だこれ?エキパンのホースが刺さる所に指を入れると・・・ニードルにアルミのバリのようなものが巻き付いています!!!ファッ!?何で低圧側?よーく見るとエキパンの低圧側に灰色のスラッジのようなものがいっぱいついてます。うあ~エキパンダメじゃん!早速工場長へ報告し、「エキパンダメっす。どこまでダメか外して診断しますので、時間下さい」工場長「さくさん、今日の18時納車なので、よろしくお願います」さく「ファッ?!」しばらく預かりだったので、納期を把握していませんでしたさくさん。取り合えず、外そうとエキパンあるある固着していて外れね~~www。ネジも硬くてなめそう・・・。シコシコ無理せず、しかし何とか今日中に終わらせる努力はしながら、何とか外しましたエキパン。案の定、ニードルのノズルまで汚れています。

小さい穴が高圧側です。灰色の汚れがいっぱい付いてます・・・。まあ、14万キロも走ればね~。よく頑張ったと思います。ネジもサビサビ♪
これ、チェックしないでもし組み上げてしまったら、この破片が新品のコンプレッサ内部に入って、すぐに壊してしまう状態だと思うとゾッとしました(;^ω^)。もう、こうなったら、禁断のエキパンオーバーホールで対応するしかございません。分解して、ニードル部、チェックボール、スプリング、ハウジング、そしてニードルを綿棒で丁寧に清掃して組み上げます。

一応、やるだけやりました・・・(-_-;)ニードルも汚れてますね・・・。
このサービスホールは冷媒ガスを計量する大事なバネレートがあるので、アイマークを入れた後、分解する前に締めこんで何回転で突き当たるか?外れるのは何回転か?記録してから分解します。これはキャブレーターをいじくるときに状態をチェックする時に使う方法で、(このやり方が良いか悪いかなんて判んねーよw。だけど最善は尽くさなきゃね)オーバーホールを終えます。あくまでも本来はエキパン交換の事案です。マジ卍。

取り付ける時、ネジが折れないようにやるだけやりました・・・(-_-;)

低圧側ホースです。この先に先ほどのエキパンが付きます・・・。このホースを再使用するには、洗浄しなければなりませんが、ホースがとても長いので、交換の方がリスクがありません。今回は交換しましたが、コンプレッサの状況を考えると大正解です。
大丈夫かな(;^ω^)真空引き出来るのかなあ(;^_^Aエキパンダメだったら・・・その時はその時だ。腹をくくって真空引き、ガス充填します。エンジンを掛けて更に充填しますが、マニホールドゲージの低圧の値が最初、ほぼ0hPaなので、焦ります(;^ω^)「やっぱだめなのかな?」今日は気温が25度を超えているので、悩んでましたが思いのほかサービス缶が凍ってるので、冬場と同じ方法でお湯に付けながらガスを充填しましたら、S側0.15D側1.62 湿度は測定不能、外気温25度にて吐出温度(室内)8度と冷える状態になったので、胸を撫で下ろしました。フウ。お客様には更なる部品代の追加が無かったので、洗浄代のみ追加になりました。
そして、壊れたコンプレッサーを後で分解しましたら・・・。シャフトがスクロールコンプレッサからネジ切れて破損していました!!

シャッシャフトが折れてる!!!
これは、走行中、突然破損した場合になる症状です。また、ボディハウジングのベアリングは全く破損してませんので、外から空転出来るのですね。だから目視判定できなかったのが解ります。渦巻のコンプレッション部も破損しています。

スクロールコンプレッサのハウジングがズタボロです・・・。
でも何故に高圧側でなく、低圧側へ破片が飛んだのでしょう?恐らく何か内部で打撃破損した場合は高圧側の圧力が逃げ場がなくなって、低圧側へ一気にガスが流れる。その勢いで、エキパンまで破片が飛び散ったと予想します。またお客様から学ばせてもらった修理でした。

この粉!!!破片!!!これが金粉ならいいんだけどなあ♪

クラッチも固着して取れにくかったです(;^ω^)
壊れた部品を分解するのも、お客様へ説明する時の資料になります。ネットで調べるのも大事ですが、実際の現物確認は、基本中の基本です。破損した部品も、壊れた状況を教えてくれます。ただ捨てるのではなく、こういった行動は更なる技術向上へ大いに役立ちます♪
コンプレッサ不良は、車両入替になる案件の修理です。それでもこの車両を直すと決断したお客様の気持ちを考えると、「よーし、やってやるぞ。」という気持ちになります。直接お客様対応しませんでしたが、「調子いいよ~(o^―^o)ニコ」と再度ご来店の際は、お気軽にお話したいですね。
それでは皆様、ご安全に♪