ミッション異音修理の続きになります。車両はスイフトZC71S、距離は178000㎞とかなり過走行です。デフサイドシール漏れからオイルレベルが下がって油圧が確保できなくなって発進、加速時などに「ウウィ~」とミッションより音がするという裏づけを取るために、CVTオイルパンを分解して内部の状態を確認します。
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見た目はそれほどの凹みではないと思うんですけど、中身を見たら・・・
オイルパンのドレンボルトを緩めて計量しますが、殆ど出てきません。このミッションはレベル調整はドレンボルトの奥にある六角のレベリングをドレンアウト式で調整します。レベリングを脱着しますが、やはり思ったほどオイルが出てきません。このことから、油圧が確保できなくて音が出るという診断が間違っていないのでは?が、濃厚になってきました。

スラッジの状態をオイルストレナーを吸込み口を覗いてみると・・・う~わ~なんか詰まってるなあ。
オイルパンの状態は・・・鉄粉は多いけど、破片などはないな・・・。でも、スラッジを吸着する役目の磁石が、外側へ逃げちゃってるよ!!

じ、磁石が・・・外側へ流れちゃってる(;^ω^)

こうでなくっちゃ。スラッジを取った磁石と綺麗なオイルパン♪
本来は、オイルストレナーへ破片などが詰まらないようにフィルターの手前に磁石があって、それに吸着するような位置にあるのですが、オイルパンが曲がってしまって磁石が動いてしまって、本来のスラッジ破片の吸着の能力が落ちてしまって、ストレナーへどんどんスラッジが入ってしまう状態になっていました。オイルパンの曲がりって大したことないとお思いですが、こうやって実際に分解してみると、ミッションの寿命を縮めてしまう要因になってしまっていることが解ります。
さて、どうしようか・・・。部品設定がないストレナーを脱着して、可能な限り掃除をしようか悩みました。何故なら、外すときにストレナーが破損する場合と、ハメる時にハマらなくなる場合があるからです。しかし、根本的に既にミッションから異音が出ている状態なんだから、もうここまで来たならドーンといこう!!腹が決まったので、脱着します。

うわ~真っ黒。フィルターの中身が少し動いちゃってる???ええ~い、やるだけやったるで~。可能な限り、掃除します。
バルブボディも鉄粉がビッチリ付いてます。可能な限り洗浄を試みます。

本当は、交換したいのですが、何せ部品設定が・・・。一所懸命掃除しました(;^ω^)

吸い込み口のOリングが・・・(-_-;)再使用はリスクが・・・。
ストレナーを組み付けようとしますが、やはり中々上手く付きません。Oリングが肥大しているのか?ストレナーがプラスティック状のものなので、肥大してしまうのか?少し手間がかかりましたが、何とか取り付けしました。その後、CVTオイルを注入後、・・・エンジンスタート。よし、音は出てないぞ。SDT2をセットして、アクティブテストにてオイルの計量を行い、学習機能をリセットして、作業終了です。レーシングしてみます。異音は・・・おk無くなりました!!よっしゃ。

バルブボディ・・・ビフォー

バルブボディ・・・アフター 綺麗になりました。
後は実際に走ってみて、異音の状態を確認します。油圧の通り道がスムーズになったので、レスポンスが良くなり、発進のトルクも入庫時よりも全然変わって力強い加速が感じます。ただ、アクセル開度を急激に上げると少しジャダが出ているかな?今度は少し振動があるような感覚があります。通常走行では、入庫前と比べて、とても静かになりました。
実はお客様は、納車時間を超えてお待ちでした。作業予定時間内では終わることが出来ませんでした。ごめんなさいm(__)mしかし、このような状態で、雑に仕事をして「時間内で終わらせるように作業を進める事」は、私にはできませんでした。お疲れのところ、本当にお待ちくださってありがとうございましたm(__)m
今回の整備で感じたことは、ミッションの特にAT、CVTのオイルストレナーの清掃はとても大事なんだということがお車を長く乗るためには必要な整備であるなと感じました。ただ、スラッジがバルブボディなどに詰まってしまうリスクだけでなく、エンジンレスポンスに対応できる油圧を確保するという大きな意味で定期的な整備を施せば、ミッション故障のリスクを下げることが出来ると思いました。
この貴重な経験を、他のお客様への注意喚起へ出来れば、と思いました。お客様よりまた学ばせてもらった整備でした。私どもの整備を信じてくださったお客様へ感謝申し上げます。いや~本当に改善して良かった。(ほっとしている自分がいる(;^ω^))
それでは皆様、ご安全に♪