世界ではEV化・AI活用・カーボンニュートラルへの対応など自動車業界に大きな変革期が訪れており、私たちのビジネスモデルも「所有から利用へ」と変化する可能性があります。新事業領域ではこの変化への対応を『サービスモビリティ領域』と位置づけ、「公共交通サービス」「ワークモビリティ」の2軸から、インフラモビリティとして新たな価値提供を目指します。また、『エネルギー領域』では、インドと日本の地方のエネルギー自活とカーボンニュートラルに貢献することを目指しています。
「サービスモビリティ領域」は既存領域の延長ではなく、移動そのものを社会インフラとして提供する領域として位置づけています。これまで四輪・二輪・マリン事業で培ってきた「小・少・軽・短・美」に基づく確かなハードウェア技術と、インド・日本を中心に構築してきた販売網・整備ネットワークを基盤に、「所有から利用へ」という社会変化に対応した移動サービスモデルの創出に挑戦しています。また、自社単独ではなく、企業、自治体、交通機関、通信・データプラットフォーム事業者など、多様なプレイヤーとの共創を通じて、社会実装を目指しています。
「エネルギー領域」ではバイオガス事業と蓄電事業を展開しています。バイオガス事業ではインド酪農地域に豊富な牛糞を原料にCN燃料であるバイオガス(CBG)を製造し、CNG車の燃料として供給するとともに、バイオガス発生後の牛糞を有機肥料として販売します。蓄電事業では、車載用と定置用蓄電の双方に活用可能な蓄電池の製品化を検討しています。また、インドと日本において、特に地方部での再生可能エネルギーの効率的な活用に取り組みます。
米国のスタートアップ企業、Glydways(グライドウェイズ)社と協業し、軽自動車並みの小型電動車両を専用レーンで効率的に自動運転させることで、多人数の輸送を可能にする新しい交通システムを開発しています。インフラ整備や運用コスト、車両台数を抑えながら、必要な時に必要な台数だけを配車することを可能とする、効率的で利便性の高い新しい交通システムを通じて、世界中の都市の交通問題の解決を目指しています。
日本のスタートアップ企業、株式会社SkyDriveと協業し、小型軽量な電動垂直離着陸機(eVTOL)の製造に協力しています。3人乗りを想定した小型エアモビリティは離着陸場所の制限が少なく、都市内の短距離移動に適することが特徴です。これにより、都市の交通渋滞の緩和や、環境負荷の低減に貢献する新たな移動手段をお客様に提供することを目指しています。
長年培ってきた電動車いすの自社技術を活用し、さまざまな業界で活躍するロボットの「足」となる多目的電動台車「MITRA」を開発しています。走破性・耐久性に優れるという特徴を活かしながら、配送・土木・農業などさまざまな業界でロボットとの協働を目指す多くの方々の「足」となり、ロボティクス技術やAI技術を現場実装につなげる懸け橋となることを目指しています。
事業領域の拡大に必要な知見や技術獲得のため、スタートアップとの協業に向け、体制を強化して取り組みます。
スズキが事業を行う地域およびそこに住む人々とともに成⾧し、スズキと、社会・人々とのつながりをより太くし、共創人口を増やすため、本社がある静岡県浜松市やインドのルーラルエリアのスタートアップや地元企業を支援し、共に成⾧していきたいと考えています。

スタートアップとの協業については、Suzuki Global Ventures(SGV)で行っていきます。
日米に拠点を置く有力VC(ベンチャーキャピタル)であるWorld Innovation Lab(WiL)の協力を得て運営しています。
パートナーであるスタートアップの皆様と対等な立場で協業に取り組み、既存領域からの延⾧線では実現が難しい新領域の技術や知見に関する取り組みを加速させていきます。

また、インドのNext Bharat Ventures(NBV)では、地域およびそこに住む人々と共に成長していく取り組みを推進しています。インドにおける社会課題解決に取り組む社会起業家を育成・支援することで、スズキを育ててくれたインド社会のさらなる発展に貢献すること、インドの人々が職を得て、所得を向上させ、より豊かな生活が送れるように活動しています。そうすることで、モビリティにまだまだ手が届かない10億人にもアプローチしていきたいと考えています。
スズキは約40年前にインドに進出し、モビリティビジネスを通じて、インドで暮らす約4億人の人々の生活に貢献してきました。インドの人口が14億人に達した現在、スズキは「次の10億人」と従来のモビリティ分野を超えたつながりをつくり、インドの人々と共に発展し共創することを目指します。
このビジョンを実現するため、2024年にインドにおけるスズキ初のファンド運用会社としてNext Bharat Ventures IFSC PrivateLimited(以下、NBV)を設立しました。NBVは、地域の実情に根ざし、所得と生計を改善するスケーラブルで持続可能なソリューションの開発に焦点を当てたインパクト起業家のエンパワーメントに注力しています。
この取り組みは、以下の3つの主要な戦略を中心としています。
これらの起業家を支援し、NBVからの知見を活用することで、スズキはNBVを通じてインドの発展を推進していきます。
NBVはインパクト重視の投資ファンドを通じて、アーリーステージの起業家に資本を提供し、スタートアップが地域に根ざして長期的に成長することを支援しています。
現在、NBVは2024年設立の第1号ファンドと2026年設立の第2号ファンドの2つのインパクトファンドを運営しています。第1号ファンドを通じて、200万人を超える人々の生活向上に貢献するとともに、社会的インパクト創出を目指す14社のスタートアップと4つのベンチャーキャピタルファンドから成るポートフォリオを構築しました。投資先の事業分野は、農業、食品加工、手工芸、小売、廃棄物リサイクル、酪農、畜産、障がいのある方の就労支援など、多岐にわたります。
第2号ファンドでは、第1号ファンドで築いた基盤を生かし、所得の向上、雇用の創出、サステナビリティの実現、安定した所得をもたらす、将来性の高いインパクト起業家への投資を継続していきます。NBVは、「次の10億人」のために、より大きなインパクトを生み出す偉大な起業家たちのコミュニティを育み、インドの農村地域に多数の中小企業を創出していきます。
NBVは、農村部やインフォーマルセクターで「次の10億人」を対象に事業を展開するインドのスタートアップと日本の組織をつなぎ、両国間の連携を強化しています。
具体的には、日本の学生や若手の社会人がインドの現地課題や市場への理解を深めるための参加型プログラム(Learn In Bharat)を提供し、その後の人財派遣や事業進出などの具体的な取り組みへつながっています。また、インドの学生や起業家が日本で学ぶプログラム(Learn in Nippon)も提供しております。こうしたことに加え、NBVは日本の複数の機関との連携を深め、オープンイノベーション、市場調査、人財交流を促すプラットフォームを構築しています。
NBVは、インパクト起業家を育成するため、レジデンシープログラムを実施しています。事業成長や組織づくりに関するセッション、参加起業家のコミュニティの醸成、事業モデルに関するワークショップを行うとともに、上場経験者や投資家との交流機会を提供しています。
2025年度までに計3回実施し、累計約5,500件の応募から選ばれた46の起業家が参加しました。参加起業家は、事業課題の解決力を高め、事業拡大に向けた支援ネットワークを構築しました。