参加のきっかけ
皆さんの参加のきっかけと自己紹介を伺いたいと思います。まずは人事関係のことを担当された森島さんからお願いします。ロボコン経験者と伺いましたが、エンジニアをやりたかったのでしょうか?
森島:エンジニアは全く考えてなかったですね。ロボコンはやってましたけど、もう30年前、高専時代の話なんです。その頃は電気系の人間だったので、回路ガチャガチャやってました。でも、スズキに入ってからはIT部門にいて、もう自分がもの作れるとは思ってないです。ただ会社に入って社内のロボコンみたいなのは、ずっとやりたいなって思ってました。思ってはいましたが、やる方法が分からずできなかったんです。
ITから人事部に移った時に、すごい会社って縦割りだなって感じました。同じスズキっていう会社なのに、全然違う会社を複数束ねてるようで、二輪と四輪で似たようなことを別の方向でやろうとしていたりするようなこともあって、「一緒にできないの?」っていう思いが、すごいずっとあった。だから部門横断的に何かやるようなイベントがあれば、こう繋がってくれるんじゃないかと思って。そこに、「これちょうどいいや」でもう乗っかっただけ。
小串さんが、「魔改造やりたいね」って言う、2日前ぐらいに私テレビで『魔改造の夜』を見てるんですよ。見たからすぐにイメージが沸いて参加しようと。「これだったら、なんかきっかけになるかな。自己研鑽の制度のきっかけにもなるかな」と。
人事部で感じていた、課題感みたいなものがあったんですね。
後方支援チームのリーダーとして活躍された山本さんはいかがでしょうか?
山本:元々リーダーになるとは全く考えてなかったんですが、私は小串さんの「『魔改造の夜』に出たい」って話を聞いた時に、これは大変なことだと感じたんです。
「ものづくりだけでは済まなくて、全社に協力してもらわないと上手くいかないだろうな」と。部門横断でやるしかない話なので。応募するだけでも社内承認から取らないといけないですし、いろんな部門の人が関わることなので、役員も含めていろんな部門の人に顔が効く人が入った方がいいんだろうなっていうのがあって、「よっしゃ、私の出番だな」と、「いっちょやったるか」と手を挙げた感じですね。
コンプライアンスの推進や株主総会の運営関係の仕事をやっていて、いろんな部門、特に総務部、財務部とのつながりがあるので、私は役に立てるだろうと思いました。その時は、『魔改造の夜』は見たことが無かったんです。あ、これは内緒にしといて下さい。
稲毛さんは、山本さんに誘われたとか?
山本:お金関係のことが分かる人が必要だと思ったので、小串さんと野中さんと3人で財務課長の所に行って、「ちょっと誰か若い人出して下さいませんか」って言ったんです。そうしたら、たまたま株主総会の係員として来て下さってた稲毛さんに、白羽の矢が立ったんですよね。
稲毛:単に私に頼みやすかったからだと思います。最初は、「なんかお金の相談あるんだ」って課長から聞いて、「みんなでキックオフやるから、行ってきて」って言われて行ったら、部長とか課長とか偉い人ばっかりいて、「なんかとんでもないとこに来た」と、そんな感じでしたね。
「お金払う方法とか聞きたいのかな?」とか思って、「そんなの伝票切りゃいいだけじゃん」て、そんな軽い気持ちでいたんですよね。で、キックオフ行ったらなんか「テレビ出ます」とか言われて、話が違うじゃん!となりました。
ほぼ詳細を分からないまま、巻き込まれたんですね。
野中:そうやって頼みに行った我々は、ちゃんと説明できてなかったんだね。
皆:(笑)
山本:一応したつもりだったんですけど……
狂ったメール
キックオフ後に、山本さんが全社員向けにエンジニア募集のメールを送りました。面白いメールでしたね。
メールアドレス所有の全社員向けエンジニア募集メールより一部を抜粋(原文ママ)
「スズキも乗るしかない…このビックウェーブに…しかし、いきなり応募したところで、
本当にちゃんと社内で魔改造マシンできるのかなぁ…人や設備はそろえられる?
主催者のお題をクリアできるだけの技術、アイディアがスズキにあるの?」
江口:そうなんです、先週末の打ち上げの二次会の時に話が出たんです、山本さんが一番最初に皆に打ったメール、狂ってるって。
小串:あれテンションおかしかったんですよ。
江口:「乗るしかない、このビッグウェーブに」とか全社員向けに送るメールとは思えなくて。
山本:いやあれ、下書き見せたけど誰も止めなかったですよ。皆が知ってる有名なネットミームとして使ったのですが……
江口:「あの変なメールに対して応募するっていう勇気があるやつは変だ」っていう話が出たんですよ。
山本:え!?でもなんだろ、もっと固い方が良かった?
江口:いやいや、あれで良かったです。
樫山:あれで良かったです。
小串:あれで良かった。結果的に良いから良いんです。
エンジニアじゃないですが……
そんなメールにエンジニアじゃないけど応募したのが、八木さんと徳弘さんですね。
徳弘:私は農学部出身で、ものづくりのエンジニアでは無いんですが、元々『魔改造の夜』が好きで、「あれの企画段階から中でこうものが全部できていく過程を見れたらめちゃくちゃ面白いだろうな」って思ってて。事務方みたいな役割の方々がいらっしゃるのが分かっていませんでした。でまあ、「なるほど。『乗るしかない、このビッグウェーブに』」って思って応募しました。
皆:(笑)
小串:文言が良かった(笑)
徳弘:でもエンジニア募集ってはっきり書いてあったので、かなり迷って、自分のできることって、タイム記録するとか……まあ編み物を使える機会があったら……、あと海外の参加する方いらっしゃったら通訳ぐらいかなと思って。そしたら、課の先輩が、「俺が若かったら絶対出るよ」とか言って、すごい後押しして下さって。「出てみるか」って決めました。
皆:(笑)
八木:私は転職で入社して2か月ぐらい経った頃に募集のメールが来て応募しました。私は日本から輸出する完成車、四輪二輪マリンの製品や、海外拠点に送る生産部品の原産地証明書を出す部署にいます。部品の構成を調べる時には、図面も見たりするんですが、見ても分からないことがあって。「もしかして、これに参加したらエンジニアの方と知り合えて、分からないことを気軽に聞けるかも。本業に役立つし、会社のことをよく知るチャンスだ」と思いました。
入社した経緯は、夫がスズキの車に乗っていて、スズキが好きだったこともあるんです。私が「スズキで仕事したい」と言った時に、「いいじゃない、自分が働きたい位だから、ぜひ行きなよ」って言ってくれてスズキに入社しました。
入社する前から番組を見ていたんですが、入社後にも番組を夫と一緒に録画で見てたんです。そしたら「スズキもこれ出ればいいのにね」って、夫が言ったんですよね。そしたら先ほどの募集メールが入ってきて、「このタイミングに縁があるのかもしれない」と思って応募しました。私はそんなにそのメール変だと思わなかったんですよ。
山本:変だと思わなかった?
八木:まったく変だと思わなくて。
徳弘:私は変だと思いました。
山本:ひどいです。
皆:(笑)
八木:本当に、変だと思わなくて。
山本:あのメール、色々な人から反響をいただきましたね。「驚いた」って。
初日の挫折
仲村さんは当初エンジニアで応募したんですね。
仲村:はい。最初はエンジニアとして応募しました。事前準備としての活動をやるためのチーム分けをして、話したんですけど、なんかもう皆が何を話しているのか分からない。日本語に聞こえなくて。
皆:(笑)
仲村:みんなの話が理解できなくて、私、言葉を発したのは最初の自己紹介の自分の名前言ったぐらい。で、「これなんか自分にできることなさそうだな」と思って。それで「ちょっと今回は辞退させていただきます」って山本さんに言ったんですよ。そうしたら、「じゃあ後方支援の方を手伝ってもらえませんか?」って、お声がけしていただきました。
きっかけはサウナ
仲村さんの応募のきっかけは何だったんですか?
仲村:私サウナが好きでよく行くんですけど、ちょうどサウナのテレビで『魔改造の夜』がやってたんですよ。
皆:(笑)
仲村:サウナってテレビが面白くないときついんですよ。でも『魔改造の夜』を見た時は「この番組面白い!」と思って、もうサウナから出たくない位まで面白いって思って。そのあと別日に行ったら、またやってたんですよ。「こんなに有名な企業が沢山出てるのになんでスズキ出ないんだろう」ってずっと思ってて。そしたらその何週間後かに募集メールが来て、もう本当に何も考えずに私はもうノリというか。「うわ、見たやつ、面白いやつ、出るんだ!行くか!」みたいな勢いで応募しました。
皆:(笑)
仲村:普段の業務では、鋳造工程の金型を設計してます。CAD使って。
山本:CADを使える技術者ってことで、辞退はちょっともったいないかなと思うんです。「後方支援で入ってもらって、CAD使う人足りないよって話になったら、仲村さんにも手伝ってもらえるかな」っていう気持ちもあって。後方支援の方でも、絶対人足りなくなることは目に見えてたので、ぜひお願いできたらと。最初、後方支援に入ってもらえばって言ったのは江口さんでしたっけ?
江口:技術屋として参加できなくてもいっぱい仕事あるから、「せっかくだから参加してもらった方がいいんじゃないか」って言いましたね。
上司の反応
参加を希望した時や活動途中の上司の方はどんな反応でしたか?
仲村:「楽しい?」って聞かれました。「楽しいです」って答えました。「体無理しないようにね」って、やさしく。
山本:私は、伺い書で社内承認もらうっていう話が出た時に、まず上司に相談しましたね。「企画書はあるけど伺い書の形式にはなっていないから、まず伺い書を作らないといけない。結構工数もかかりそうなんですけど、やっていいですか?」って上司に言ったら、「やればいいじゃない」、みたいな感じでした。
さっきも森島さんがおっしゃってましたけど、「今回の部門横断プロジェクトって、私が普段やってるコンプライアンスの推進業務と同じで全社でやることだし、私が入ることによって、私たちのコンプライアンスの推進業務だったりとか、ちょっとやりやすくなるんじゃないかなと思うんですよね~」みたいなこと言って上司の承認をもらいましたね。
その後も、結構遅くまでやったりとかしてたので、上司が心配してチャットくれたりとかしました。「大丈夫ですか?」って。「山本さんが持ってる業務で他の人に回せるものがあったら引き取るから、言ってね。」みたいに言ってもらったりしてました。
魔改造テスト
『魔改造の夜』に参加するにあたり、社内イベントとして事前テストを実施した。
第1回はミニ四駆を使った障害物競争、第2回は過去の番組と同じお題に挑戦した。
魔改造テスト1回目で印象に残っていることとかありますか?
徳弘:印象……山本さんの司会ですかね?
皆:(笑)
山本:最後の最後やんそれ。(※補足 魔改造テストの御披露目・競技会は山本さんが司会を担当)
樫山:いやでも本番(御披露目と競技会)が全てだからね。あそこがやっぱり集大成だから。ミニ四駆の障害物競走はルールをこねくり回して「ややこしくしちゃったな」と思ってたけど、むしろ上手くいって良かった。
なんとか4チーム走って、それぞれの個性が出つつ、差が出て勝ち負けが決まったと。で、「みんな完走して速いね」っていう所から、「…うん、面白いけどなんか上手くいかなかったね」という所まで、それぞれ出たなっていう。まあ、ここはすごく上手くいったなと。やっぱり無事終わったことが一番印象深かったですけどね。あれでなんとなく「行けるかも」って手応えがつかめた。
江口:みんな一応、マシンが各チームでちゃんと走れて、しかも勝負として見てて面白かった。
小串:盛り上がりましたよね。
江口:あれは今回、魔改造のテストとしてやったけど、別に転用したいなと思う位のイベントでした。
樫山:結構そういう話もありましたね。『魔改造の夜』とは別に、「またやりたい」って言ってた人が多い。
森島:「定期的なものにしたいね」っていうのは、確かに声が多かったですね。人事の採用担当が「新入社員研修でやりたいんだよ」って話はしてました。ルールは変えるとしても、ミニ四駆使ってだったら多分新入社員でもできるから。
江口:テスト2回目の方が本番に近い環境を設定したつもりだったんですけど、なんかある意味1回目の方が手探りっていうか、答えが分かんない状態だったんですよ。実は本番環境に結構近い形ができたのは1回目の方かもしれない。
樫山:エンジニアは1回目と2回目は別のメンバーでしたけど、後方支援チームは同じメンバーでした。なので、2回目は1回目でできた形を使って、皆さん買い物の段取りとかいろんな段取りができてきて、それを使って本番に向けて整えたらっていうことでしたね。
江口:足りない部品とかも買いましたしね。
森島:社長も見に来てくれましたし。
樫山:2回とも強引に、山本さんが社長を連れてきましたね。
皆:(笑)
山本:まあでも確かに私は役員に一番この中で顔を憶えられている人間だと思います。名前までは認識されるか分かんないですけど。
形が出来ていく後方支援チーム
魔改造テストは、どんなことが大変でしたか?
山本:私は、とにかく参加者からの問い合わせが多くて大変でしたね。「みんな、私が魔改造テスト関係のことだけやってると思ってるのかな」というぐらい、色々問い合わせが来て。
まあ、人事関係のことは全部森島さんにぶん投げてましたけど、魔改造テスト1回目が一番悩ましかったですね。他の後方支援チームの皆さんにも、タイムキーパーとか誘導係とかやってもらって。「そんなの普段の仕事でやんねえよ」って感じですよね、当たり前だけど。でも私はね、ああいうのは総会でやってるんですよ。
総会会場のここに何人配置して、関係者はこういう動きをするから、係の人は何時から何時まで「こういうふうに案内して下さい」とかね。稲毛さんも係員として株主様の案内とかして下さったんですけど。なんでまあ、本番の段取りとかは、自分としてはすでに経験がある業務の応用という感じでしたね。
それで、魔改造テスト1回目が終わりまして、2回目は私も含めてみんな動きがこなれてきたかなって。
徳弘:1回目は自分も入ってすぐだったので、何が起こってて、何をするべきか全然分からなくて、様子見であんまり何もできない感じで。やっと2回目でどう動けばいいか、分かってきた気がします。いきなり『魔改造の夜』本番だったら何もできなかった。
山本:私も魔改造テストの時は、皆さんに「これをお願いします」っていうのは、あんまり上手くできてなかったかな。まあ、その時は私、別に後方支援チームのリーダーでもなんでもなかったので、私が仕事を振るという話でもなかったんですけど、でも私が仕事をめっちゃ持ってて、「なんとかしないと走れないな」っていうのは思った覚えがありますね。
役割分担は上手く行きましたか?
小串:森島さんはCAD端末準備したり、駐車場の手配したりしてくれた。本社以外の工場から来るメンバーもいたからね。
山本:私は全然駐車場手配とか、何も考えに及んでなかったんです。いろんな部門の方が後方支援チームに入ってくれて、「すごい良かったな」と思うのは、自分が全然考えが及んでない所をしっかりカバーしてくれた所ですね。
その「素晴らしい!分かってるね~!」っていうのが、何回もあって。気持ちよく仕事ができて、チームとしての達成感というか信頼感というか、「このチームで本当に良かったな」っていう気持ちで仕事ができましたね。皆さんもそう思って下さっていれば嬉しいんですけど。
江口:自分の見えてる範囲外の所に、専門家が多いですよね。多分。
小串:そうですね。バラバラの部門から集まって、非常に目が行き届くような状態っていうことだと思います。
やりにくかったことはありました?
江口:山本さんすっげえ仕事抱えてるっぽいんだけど、どうなっているのか実は分かんないし。うーん、手伝えることなのかどうかすら分かんないので、「なんかいっぱいありそうなんだけどなー、手伝えそうだけどなー」ぐらいで止まってた時がありましたね。
あの他の、ええと後方支援メンバー以外の小塩さんとかからもね、「手伝えるよー」という声はあって。
小塩:「もっと投げてくれてもいいよ」って感じだったんだけど。難しいですよね。丸投げできる仕事だと良いんだけど。
山本:もう投げて忘れられる仕事だったらいいんですけど。ちょっとだけやってもらうっちゅうわけにも、なかなかいかないんで。
樫山:任せても「どうすればいいですか?」みたいな話になると、よけいややこしいし。
小串:どれぐらいでできるかも分からないですし。
江口:稲毛さんと森島さんは、もうお任せすれば、あとはなんとかしてくれるっていうのが。知らないにしても、任せるしかないっていうのがありますけど、逆に山本さんができちゃう仕事は他の人に振りにくかったかもしれない。もうちょっと誰が何できるのか分かってるともうちょっと振れたのかもなと。
小串:小塩さんも途中から後方支援チームのことをやってくれて。
小塩:社内向けホームページ作成や動画編集をやりましたね。
リーダーとメンバーとの関係
テストを通して、メンバーに仕事を振れるようになったということですか?
山本:本当そう思います。特に本番の時はもう私が持ってるやつ全部、プレゼン資料作成とか、出張者の宿の手配とか、お金関係も、もうその塊ごとで「全部お願いします!」っていう感じで投げるようにして、あんまりこう、細かくマイクロマネジメントみたいなのをしないようにと思っていて。で、まあ、それでお願いして、ちょっと戸惑われたりとかしたこともあったかもしれないなっていう。
江口:エンジニアの方も一緒でした。メンバーとリーダーそれぞれがレベル感が分かんない、エンジニアはリーダーがどこまでできるのか分かんないし、リーダーもエンジニアがどこまでできるか分かんないっていうのが大変だったんです。後方支援チームも一緒ですね。はじめは、任せちゃっていい仕事なのかどうかがよく分かんないと。
山本:そう。1回目と2回目のテストで見えてきたので、安心してお任せしてたっていう所が大きいかなと思いますね。
本番では後方支援チームのメンバーも、家電かおもちゃのチームに入っていましたが、エンジニアとの関りで印象に残っていることはありますか?
仲村:(期限がせまって提出が必要な)マシン名が最後まで決まんなくて。でも最後までマシンの改造が大変だろうから、「急いでください」って言いづらいし…みたいなのがちょっと大変でした。
江口:マシン名とパワポとロゴを、後方支援チームのメンバーにコントロールしてもらってましたよね。
樫山:作ってる人は、どうしても作る方に集中しちゃうからね。
小串:思い入れがあるのと、出した後にNGが返ってきたりとか、そういうのがあって、ちょっと大変でしたね。
徳弘:おもちゃの方はやりとりしてる相手が江口さんだったので、すごい話しやすかったと思います。Teamsで流れてるやり取りの中で、自分でできそうなエクセルのフォーマットを作るとか、そういう別にエンジニアがやんなくても良さそうだなって所は引き受けるようには気を付けてました。
八木さん、エンジニアとパイプが欲しいということでしたが、活動中に色々と質問してましたよね?
八木:そうです。本業で分からなくて教えてもらいたい事があって、「これどういう意味ですか?」って魔改造チームのTeamsに投稿したら、本当にすぐにみんなから回答がきて、「ああ、すごい助かった」って思いました。
江口:顔を知ってる人がいれば聞きやすいですからね。
八木:そうですね。参加するまでは、特に設計など技術系の部署の方とは全く接点が無かったので、聞けなかったんです。
小串:逆にエンジニア側も、後方支援チームの方と知り合えて、何かあれば聞けるから非常に助かると思います。1回目のテストの時って、エンジニアと事務局側にちょっと距離があるなみたいな感じがあったんですが、ちょっとずつ説明して、近づいて行って、最終的には後方支援チームって名前になるんですけど、その辺もだんだんこう、お互いが分かるようにっていう。全体が一つに、ワンチームになれたのが良かったと思いますね。
江口:後方支援チームのことを気遣うエンジニアも結構いました。エンジニアは作ることで満足感得られるんだけど、後方支援やってる人たちって、ちょっと満足感が最後得られないんじゃないかっていう心配があって、どこかで恩返しをしないといけないって。
山本:そうなんですね。
江口:他の機会、例えば会社の祭りとかデモする時に、水鉄砲打つ時のボタン押しがかりをやってもらうとか。
皆:(笑)
江口:もうちょっと日の当たるところに。『魔改造の夜』は、やっぱりエンジニア中心なんで。とはいえ、今、話聞く限り、ある程度ウィンウィンになってるんだったら、まあいいことだなと。
森島:もう自分では出られなかったから、代打で行ってもらった感じなんですよ。問題ないですね。
縮図
業務が活かせたこと、業務に活かせることはありましたか?
山本:どんな仕事でも一緒だと思うんですよ。エンジニアだけがいて成立するビジネスじゃない。車作って売ってその後のアフターフォローまでやって、そのためには会社全体の物とか場所とか、人やお金の調整とかも必要。会社のあらゆる業務がエンジニアだけじゃなくて、いわゆる管理部門の人たちの手も関わってくるっていう。それをこの魔改造のプロジェクトでも同じようにやりたかったったので、できるだけいろんな部門の皆さんに入っていただいて、それぞれの分野のプロフェッショナルとして仕事をお願いしていたっていう感じなんですよ。それが「チームスズキでやる」ということだと、私は思うんですよね。実際、チームスズキでできたのがすごく良かったと私は思ってます。
徳弘:私の場合は、業務に活かせることは、直接的には無いんですよ。普段の仕事は海外中小拠点へのシステム導入支援で、全然違う業務しているので。ただ今お話聞いてて思ったのが、会社をギュってまとめてこう、縮図にしたみたいだなと思って。大きい単位だと、周りでどういうことが起こってるか分かんないですけど、この単位だと自分でやってなくても情報が流れて来たりして入ってくるじゃないですか。全体がこの規模で見渡せたっていうのは、すごく今後活きてくるだろうなって思います。
山本:なかなか約2万人で仕事してますよって言われても、実感ないと思うんですよね。でも今回の取り組みみたいに、ギュって全体が見渡せるような所で、自分の手が直接関わっているところを間近で見れたことで、「同じように自分の普段の仕事もどこかで活きていて、別の人の仕事につながってるんや」っていうのを、分かった上で仕事ができるようになる。それが「後工程のこととか、前工程の人のことを考えましょう」っていうことにつながってくると思います。
八木:自分の部署の仕事だと、本当に一部しか見えないんですけど、今回のプロジェクトで会社全体が見えるようになったっていうのが収穫だと思います。
山本:なんか視野が大きくなった気がしますね。
樫山:「自分の知らないところで知らない人がやってくれている、自分が知らない仕事のおかげで、自分の仕事や会社全体の仕事がうまく回っているんだ」って、実感を持って言えるのが良いよね。
小串:うん、色々見えて来て、こういう仕事のやり方するんだとか、もう全体的になんか鳥の目みたいな感じで見えて。これまではね、蟻の目みたい。下から見てる感じでした。
江口:ボクシングをプロでやってる人って、スポンサーのお金集めてくる人とか、いろんな人がチームで動いているんだけど、そのお金出す人も一緒にボクシングやってる気持ちなんだよ。「自分は得意だから、このチームの中ではお金を集める役をやってる」っていうだけで、「金出してやってるぞ」ではない。まあ、でもなんかそういう感じかな?エンジニアの仕事もあるし、エンジニアじゃない仕事もあるけど、ワニのマシンを作るっていう全体の中でこの仕事をしてるっていう時に別にそこになんかこう上下関係は無いですよ。
小串:よく考えると、今回はお金集める所からやってるね。
樫山:僕の場合は、床に敷くベニヤをカンカン打ったり、的になる台を作ったり。あれはマシン作りと同じだと思ってやってました。
江口:マシン以外の部分も作る必要あるんですよね。結局そのマシンだけ作ってもテストはできないんで、それも含めてのチームとして仕事ができたかなって。
良かったことじゃなくて悪かったというか、通常業務が遅れてやばかったとかあります?
山本:ちょうど魔改造テストをやっているときは海外出張が2回も入っていて、めちゃくちゃ忙しかったですね。通常業務の遅れを取り戻すために休日出勤したりとか。昨日も休日出勤でしたよ。
江口:僕も出張で第2回目テストの時、ほとんどいなかったですね。まあ、通常業務の方が優先になっちゃうので、まあ仕方ないんだけど。とはいえ、走り切れてよかったなと思ってます。
徳弘:八木さん、宅配便で届く荷物を何回も取りに行ってたじゃないですか。大変じゃなかったですか?
八木:「ちょっと荷物取りに行きます」って言って、正門まで受け取りに行ってたんですけど、途中からもう毎日届くようになっちゃって、電話かかってくる度に事務所を抜け出していました。当時はまだ魔改造の資材や工具とは言えなくて、周りの人に怪しまれてたかもしれないです。
樫山:情報公開が制限されていたので、実際に言えるようになるまで結構みんな辛かったんじゃないのかと思いますよ。
変わりつつある会社
スズキってどんな会社だと思いますか?この活動を通して変わった、イメージが変わったなとかありますか?
森島:魔改造っていう前例が一個できたので、こういうことやっていいんだっていうのがちょっと芽生えてきて、まだ詳しくは言えないですけど、ちょっと動きがあるので。2つぐらい動いてます。
皆:おー!
森島:言い方は失礼ですけど、ちょっとくすぶってた人たちが「俺もなんか声出していいんだ」って。
小串:スズキってなんか自分の会社が好きっていうか、自分の会社の車が好きだったりとかすごいファンいますよね。
森島:なんかね、「みんな、やたらスズキ好きやな」って、マシンの名前決めるだけでも「なんとかしてスズキの名前入れてやろう。分かんないように盛り込ませてやろう」っていうのをすごい感じました。みんな、なんでこんなに好きなんだろう?スズキのこと。
樫山:でも、もともとみんな好きとか、そういう情熱があって、それが可視化されたっていう話なのかもしれませんけどね。変わったというよりも出てきた。地が出た。
森島:出せるっていうか、出していいんだと。
山本:私は、普段の業務の性質からなのか、あんまり邪険にされることってない印象で、「社内はいい人ばっかりだな」と思ってました。改めてこの取り組みで、いろんな部門と話をしましたけど、もう「やっぱりみんないい人達だ」って思いましたね。
「言えばちゃんと聞いてくれる会社だな」って思いました。「これはスズキにとっていいことがある取り組みだ」って、すごく積極的に協力して下さるし、労を惜しまないっていうのが本当にいいなって思いました。まあ確かにおっしゃる通り、みんな結構自分の会社好きだと思うし、自分の仕事になにかしら誇りを持って下さってるんじゃないかなと思いますね。
他のみなさんはどうですか?
徳弘:特にそもそものイメージがそんなにない。確立されてないです。
樫山:かえってこれがスタンダード、これが会社だと思ってくれてるっていうことじゃない?俺達みたいに汚れてない。
小串:なんか心のブレーキ踏んじゃうんですよね。
樫山:最近入った方は、押さえつけられていないようですね。山本さんも、そんなに汚れてないですね。
山本:私も汚れてなかった。2019年入社なんで。
樫山:俺とか小串さんが一番汚れてる。
小串:汚れてるってのは、ちょっと言い方が違うとは思うけど(笑)、殻は破った感じがしますよ。
山本:2回目の完検不正を受けて、国土交通省から「『言っても変わらない』と従業員に思わせる不健全な組織風土があった」みたいな指摘があって。それを「何とかせなあかん」と、社長を含む経営層・役員が「報連相を大切にしよう」とかそういったメッセージを発するようになった後に入ってるんで。私たちは。
まとめ
最後に一言お願いします。
八木:入社して2か月で応募したので、全然会社のことも分かってなかったんですけど。何かできることがあるだろうと思って、応募したらできることがあって。それでお役に立てたのが嬉しかったです。この前の打ち上げの時に「後方支援の方々がいろんなことをやってくれたから、自分たちは思い切り改造できたんで、本当にありがとうございます」って同じテーブルの方が言って下さって、すごく嬉しかったんです。それはここにいる後方支援メンバー皆さんへの言葉だと思っています。とても楽しかったです。ありがとうございました。
徳弘:当時入社2年目で社会人経験も全然ないし、チャレンジできる場所って、なかなか無いんですよ。今、自分の通常業務で関わっているプロジェクトもすごく大きいですし、自分から出て行くこともできないし。でも、「そういうことしてみたいんだけどな」って、モヤモヤしていたものをここですごく発散できたっていうっていうか、「自由にさせていただけたな」って思っています。とてもあの楽しかったし、またこういう機会あったら参加してみたいなってすごく思います。ありがとうございました。
仲村:私は正直言うと、普段の仕事が、「やるぞ!」っていう感じではできてなかったんです。でもこの活動に参加して、山本さんがザ・キャリアウーマンみたいな、もうなんかすごいかっこいい人だなと思って。普段の仕事に行くモチベーションが、この活動に参加してから上がりました。ありがとうございました。
稲毛:私は自分から「やりたい」って入ったわけじゃなくて、山本さんが「お金の相談がある」ってことで来て、参加しました。今思うと、そもそも「お金の相談に行きたい」って言ってたのは、多分、予算の話とかを相談したかったんだろうなと思うんですが、そうすると課が違う、たぶん勘違いされて自分の課に来たと思ってるんですけど、でもそのおかげでこうやって自分も混ぜてもらって、まぁまぁ色々大変な時もあったんですけど、「なんか文化祭みたいで楽しいな」って思っちゃいます。そのちょっとした山本さんの勘違いとか、そういう縁があって、混ぜてもらってすごい良かったなと思ってます。
森島:何かものづくりが、何かしたいっていうのはずっとくすぶってたので、それが発散できて良かった。そういう場を用意していただけて、小串さんに声かけていただいて、本当よかったと思います。あそこであれがなければ、何もなかっただろうな。タイミングがすごく良かった。
江口:みんな見てるのすごいですね。応募する前に番組見てたっていう。
森島:ちょうどいいタイミングでしたね。
森島:若い人には「迷ったらやる。とりあえずやる」と、「『また次でいいや』って思っても次はないぞ」って伝えたいですね。
樫山:自分もくすぶってたとまでは言わないけど、いろいろもやもやしてたのが解消されたというか。まあ一方で、この年になるとあんまり期待されてないんで、好き勝手やらしてもらってるんですが。そういう意味でちょうど良かったなっていう感じがします。
ピュアな皆さんと一緒に私も浄化されましたので、ちょっと頑張っていきたいと思います。本当に純粋に楽しかったです。しんどかったけどね。その「楽しかった」っていうのが一番嬉しいし、一番言いたいことだし、自分としては良かったなと思うんで。ええ、もう本当に逆に皆さんに感謝したいです。ありがとうございました。
江口:みんな異常に仕事ができて、全部丸投げしていいっていうのが、後方支援の仕事をやり始めてびっくりしました。自分が「どうしたらいいんだろうなー」くらいの状態で渡しても、どの人も完全に100%解決して返ってくるんで。それはなんか、このチーム全員がなんかいい組み合わせだからなのか、「これ他の人と組み替えて上手くいの?」と思うぐらい。みんなたまたま来てくれた人なのに、そのたまたま来てくれた人がなんかすごい仕事ができる人たちばかりだったのか、それとも実は僕の知らないだけで仕事のできる人がいっぱいいるのかよく分かんないですけど。
なんか「いつもの仕事だとこうならない、こんなに上手くいかないんだけど」っていうぐらい、もうすごく上手く回って、「すごい、おおっ!」て思いましたね。
小串:私も思いました。
江口:きっと多分僕の知らない所で、みんな上手く回してくれてるってことですよね。きっとね。
小さいチームで、他の人の仕事がある程度見える中でできたのが良かったですね。エンジニアじゃなくても多分、研修としてこういうふうなことをやれば面白いと思います。勉強になったっていうか驚いたっていう感じでした。
小串:今ちょうど、『岩田さん』(ほぼ日刊イトイ新聞・編、ほぼ日ブックス、2019年)っていう任天堂の社長をされていた方の本を読んでたんですけど、プロジェクトが上手くいく時のことが書いてあって。「あるプロジェクトがうまくいくときって、理想的なリーダーがすべて先を読んできれいに作業を割り振って分担して、その通りにやったらできました、という感じのときではないですね。」(※)と。「どういうときに企画がうまくいくかというと、最初の計画では決まってなかったことを、『これ、ぼくがやっておきましょうか?』というような感じで誰かが処理してくれるとき。そういう人がたくさん現れるプロジェクトは、だいたいうまくいくんです。」(※)っていう。 (※いずれも同書59頁)。
今回のプロジェクトってそんな感じかなって思いました。なんかだんだんかみ合ってきて、「やっときましたー」みたいな感じで、みんな自発的に動いて。
江口:仕事を振らなくても自走する感じがあった。
小串:そうそう、ものすごく自走してて。逆に自走しすぎて「俺のやることがこんなんでいいのか?」みたいな。それぐらい自走してました。
上司から勤務時間が多いって言われてる人がいて、「森島さんに話さなきゃ」って思ってたら、「もう説明しといたから」って森島さんから電話があって。テレパシーみたいなことが起こって。そんなことが最後の方多くなって、非常にいいプロジェクトだったなと。だからこの本で読んだように、成功したプロジェクトなんだなって思います。それが私の感想ですね。だから今回のプロジェクトは成功です。
皆:ありがとうございました。
皆でSポーズ 夜会登場シーンのSポーズは、仲村さんが振り付けをしてくれました。