整備ブログになります。平成21年式 スイフト ZC71S 距離178000km ご用命は、①走行中、55キロ位から「ウォンウォン」音がする②エンジンから「カラカラ」音がするとの事。走りだしに音がする。段々大きくなってきて不安・・・ということです。
早速お客様と同乗確認して、音の再現性を確認します。同時に2種類以上の音はとても難しい整備ですが、音色と感覚で聞き分けることが出来ました。早速リフトアップして簡易診断します。
①の原因はすぐに判りました。フロントアッパーマウントが大分ヘタっていますが、右後ろのタイヤがガタガタです。ブレーキ踏んで消えることを確認出来たので、ハブベアリング不良と判定しました。
②のエンジンですが、走行しなくてもスロットルをレーシングするとすぐに症状が確認出来ました。エンジンではなく、ミッションからです。サウンドスコープにてミッションの真ん中辺から音が聞こえます。「ウイー」です。CVTの金属ベルトのような音がします。ミッション内部の状態を確認しようとしますが、レベルゲージが無いタイプなので、点検出来ません。ジ、エンド。
・・・お客様に現状を立ち合いで確認いたします。お話をお伺いするとこの車、買ってまだ一年経つか経たないかとの事。「ウウィー」のような音は一週間位から鳴り出し、だんだん大きくなってきたので不安になって当社へ問合せしたとの事。一応、リフトアップして確認したら、右のデフサイドから赤いフルードの漏れが確認出来ました。

ミッションの横から赤いオイルが出てます。ちょうどシャフトが刺さるところ・・・。
また、CVTオイルパンがヒット痕ありです。油圧が不足していて、ストレナーの吸い込み音じゃ?!

う~ん、ヒットしている~。いやな予感が・・・
過去の経験からATオイルパンストレナー詰まりによる唸り音とフラッシュバックします・・・。ダメージはやってみないと分からないが、もしかしたら改善出来るかもしれない・・・。しかし、リスクはある。お客様と相談の上、作業することになりました。色々あって今はこちらの車に乗らざるを得ないようなので、全力で作業し、可能な限りリカバリーを試みます。
さて、ハブベアリング交換をサクッと終わらせて、いよいよデフサイドシール交換とオイルパン交換、ストレナー交換・・・と行きたいところですが・・・このミッション、ストレナーの部品設定がございません!!どうなっているの???メーカーさん!!ですので、可能な限り洗浄清掃にて対応します。
さあって、すんなり外れない劇場の幕開けですw。まず、ロアアームボールジョイントが取れません。が、これは想定内。工具と経験にて外しました。続いて、ドライブシャフトのスプラインがこれまた外れません。が、これも想定内。、スピンドルを傷めないように、上手に外します。

そして、ドライブシャフトとインターミデイトシャフトを分離します・・・が、これが外れない!!インボードジョイントの形状も引っかかりにくく、色々試しましたが、エキゾーストパイプが邪魔をしていて中々上手く外れません。仕方なく、エキゾーストパイプを外そうとしますが、年式と距離が・・・。フランジボルトが!!回らなくなりました(;^_^Aそして、フランジの溶接しているナットが剝がれてしまいました(;^ω^)

このパイプの奥に、ドライブシャフトが・・・
あ~あ、やっちゃった。色々な方法があるのですが、酸素は近くにO2センサーがあるので、出来れば使いたくない・・・。ボルトを切ることも出来るのですが、少しでも破損は少なくして費用を抑えたい・・・ということで、剥がれたナットをリューターで削って割りました。

上手くいきました~。そして、障害物がなくなったところで、エイヤッて硬かったスプライン篏合が外れました!!よっしゃ。後はインターミデイトシャフトを外してオイル漏れを起こしているデフミッドシールに辿り着きました。あのワークスのトラウマが蘇ります。(どうか、ベアリングが生きていますように・・・)シールプーラーにて外しましたが、大丈夫でした。
長期になるのでまずはここまでで・・・。つづく。
それでは皆様、ご安全に♪