整備アーカイブです。平成17年式 ワゴンR MH22S 距離57000km位 データは2021/07/22 17:08 です。このデータを見ると前回のハスラー整備と重なってます( ̄▽ ̄;) 暑い日はエアコン診断がラッシュします・・・。お客様も我慢が出来ないんでしょうね。わかります。
このお客様は当初お電話での問い合わせでした記憶がございます。車を見てみないと何とも言えないので、車が治るかわかりませんが、ご来店いただけますか?との提案にご了承されての整備です。
来店したら、MH22Sじゃん。でも、このワゴンRはデザインが優秀で(カクカク)、今でも大事に乗っているお客様もいらっしゃいますが、それでも大分減ってきました。問診すると、走っていると、そのうちエアコンが効かなくなる。あったかい風しか出てこなくなる。との事。早速マニーホールドゲージを取り付けて確認したら、S ほぼ0Mpa D 0.8Mpaだったので、取り合えず、今年から導入のエアコンリフレッシュを施工させていただきました。エアコンリフレッシュは、エアコン内部のガスを綺麗にし、グラム単位で新車充填と同じ状態に戻す、素晴らしい施工です。施工後は、エアコン温度も10℃、異音が出ていたコンプレッサーも静かになり、お客様も涼しくなったことを確認して納車となりました・・・。
が、しばらくしてフロントから無線が・・・「さくさん、さっきのお客様から電話です。」
どうしたんだろう・・・いや~な感じが・・・(-_-;)
「はいもしもし。先ほどはありがとうございました。(ヤバいと思ったら、こちらから先に聞く)エアコンダメですか?ダメ。。。_| ̄|○わかりました。再来店いただけますか?」
代車を用意して、お待ちします。丁寧にお詫びして、問診を開始します。
最初は良かったんだけど、上り坂に入ったら、エアコンの風がぬるくなってきて、その後ぬるいままになった。との事。
再診断です。エアコンをつけたまま、アイドリングで小一時間点検しますが、症状が出ません。むしろ、リフレッシュした直後なので、バンバンエアコン効きます。「ホントかなあ?調子全然いいけど・・・」時間もある程度たったし、ちょっと試乗へ行こうと発進しようとしたら、風がぬるくなってきました。「おおっ、これか!!クラッチは・・・入ってない。リフレッシュしたからメカニカルトラブルではないな?エレクトロニックトラブルだな?(先入観ダメダメ)
」早速アクチュエーターに仕事をしているか?クラッチの入力点検をします。「おっ12Ⅴキテル。」「じゃあクラッチ不良だな。」「念のため、クラッチの抵抗測定・・・6Ω?断線でもない?ショート?」他車の同年式のクラッチ抵抗を測定すると、5Ωとほぼ同じ値を示しています。年式を考えると部品交換して対応、もしくはリビルドを使って整備かな?でもリフレッシュしてもらったし、予め、お客様にはコンプレッサーがダメだった場合もあるとの説明をしたうえでの整備だし・・・。でもお客様もあんまり整備料金がかかるようなら、と言っていても、実際にある程度の所までしないとその整備料金は確定しないし・・・。整備士あるある発生ですw。

シックネスゲージの登場です。しばらく使ってなかったので、探しました(;^ω^)
ふとコンプレッサーをおもむろに眺めていたら、電磁コイルとクラッチの隙間が何だか多いような気がしてきました。そしてその周りが錆で真っ赤になっていることに気が付きました。「もしかして・・・」基本に戻って、クラッチ隙間を測定します。そうしたら0.75mmありました。これじゃあ、磁力が弱くなるなあ・・・

( ゚Д゚)アッ!!発進しようとするとエンジン回転が落ちるな。上り坂だと負荷がかかって消費電力が落ちるな・・・。これ、治るかもしれない・・・。と思ってエアコンコンプレッサークラッチを分解し、中のシムを調整しようと外した所・・・2枚しか入ってない!!マジか?!ふつうは何枚かの薄いシムで調整するのに1mm×2枚って・・・。ジ・エンドm(__)m

手で磨くかシムを・・・(ザ・昭和整備)ふと、工場を眺めていると、破損したコンプレッサをお客様展示用にストックしていたガラクタに目が・・・

お宝発見!!!クラッチを分解すると、調整シムが出てキタ――(゚∀゚)――!!。クラッチ隙間を0.35mmにしたいから、1-0.35=0.65mmのシムが・・・キタ――(゚∀゚)――!!(織田裕二w)

早速オイルストーンでクラッチプレートを∞動きで慣らして、クラッチを仮組し、隙間が目標値になっているか?クラッチプレートが歪んでOFF時に干渉しないか?確認し、本締めして再テストしました。

シムは磁性化して、相手側に付いている場合もあるので、念のためチェックします。

ネジロック剤も念のため塗布して、締め付けました。
今度は栃尾のあの長~い上り坂でもチェックし、バンバンエアコンが効くことも確認し、短時間で納車となりました。
結局はメカニカルトラブルだったんですけど(;^ω^)、このご時世、整備補償も年式も考えると交換すれば、こちらの(整備側の)リスクは減りますが、リスクを負わなければ、成功もない。その見極めは、本質をしっかりとらえる事が大事で、基本を忘れていたことがお恥ずかしいです。(;^ω^)
この修理の一か月後、お客様へはお電話でアポイントし、調子も大丈夫との事♪。良かった~(´▽`) ホッこの最高に暑かった夏のピーク時を、あの整備で乗り越えることが出来たので、しばらくはこれで大丈夫と思いました。
これが正しい整備だとは申しませんが、何とかしなければならない場合もある。といっても、本当は、交換が簡単で安心できるんですけどね(o^―^o)ニコ
それでは皆様、ご安全に♪