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TCFDに基づく気候関連財務情報開示

TCFD提言に基づく開示

ガバナンス

気候関連のリスクと機会に関する組織体制

スズキは、グループ全体の環境管理を目的として、取締役会直下に経営・業務執行会議である「カーボンニュートラル推進会議」「環境推進会議」および「コーポレートガバナンス委員会」を設置しています。
取締役会は「カーボンニュートラル推進会議」「環境推進会議」および「コーポレートガバナンス委員会」に対して監督を行うとともに、これら会議体からの報告を受け最終的な意思決定を行います。
「カーボンニュートラル推進会議」は気候変動(カーボンニュートラル)にテーマを絞り、脱炭素に向けた集中審議を行っています。
「環境推進会議」は、カーボンニュートラル以外の環境問題、すなわち資源の有効利用や生物多様性の保全などをテーマに審議を行っています。
「コーポレートガバナンス委員会」は、コンプライアンスの徹底やリスク管理などに関する事項を検討し、関係部門と連携しながら組織横断的な課題への対策や施策を推進しています。
三つの会議体のテーマを明確に分けることで会議の実効性を高め、脱炭素に向けた意思決定を一層加速させています。

TCFD提言に基づく開示・ガバナンス

(2026年3月現在)

戦略

TCFD 提言への対応

2020年4月に「TCFD※」の趣旨に賛同・署名しました。ステークホルダーにわかりやすい情報開示を進めるとともに、気候変動に対する強靭性を高めるため、シナリオ分析の高度化や開示情報の充実化に努めていきます。

※気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD):Task Force on Climate-related Financial Disclosuresの略。2015年に金融市場の安定化を図る国際的組織である金融安定理事会(FSB)が設立。

TCFD

気候関連リスクと機会、シナリオ分析

当社は、持続可能な事業活動を進めるために事業リスクや機会の特定を進めています。特に、気候変動の影響は根源的に不確実であるため、将来の変化を幅広く捉えたうえでリスク・機会の影響度を評価し、適切に対応することが重要であると認識しています。
この認識のもと、気候変動の物理影響が顕著になる「4℃シナリオ」と、パリ協定の実現に向けて気候変動対策が加速する「1.5℃/2℃シナリオ」の2つのシナリオを想定し、リスクと機会の影響を評価しました。リスクの種類として、政策規制などの「移行リスク」と自然災害などの「物理リスク」の2つの観点からリスクと影響を考察しています。シナリオの想定にあたっては、IEA※1やIPCC※2などの科学的知見に基づく外部シナリオを参照しました。

  • ※1 IEA:International Energy Agencyの略。国際エネルギー機関。
  • ※2 IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Changeの略。気候変動に関する政府間パネル。

スズキの気候関連リスクと機会

気候変動の緩和策として、排出ガスやCO2・燃費規制などさまざまな法規制の強化が進められる中、これらの規制を遵守するための開発費用の負担増加は当社の業績に大きな影響を与える可能性があります。一方で、当社が得意とする「小さなクルマ」は、生産に必要な材料やエネルギーが少なく、また使用時のCO2排出量も抑えることができます。こうした当社独自の強みを活かし、リスクに適切に対処していくことで機会の創出につなげていくことができると考えます。
また2023年度から、すでに開示している気候変動に伴うシナリオ分析をベースとした財務インパクト分析に着手しています。気温上昇による台風や洪水、高潮など自然災害リスクの影響度をグローバルベースで評価し、リスクの低減や回避、事業継続につなげることを目的とした取り組みです。先行して、国内およびインドの自社拠点に加えて国内1次お取引先様の影響度評価を実施しています。
気候変動によるリスクの低減や回避、将来の機会獲得や競争力強化に向けて、今後も引き続き十分な検討を重ね、事業戦略への反映を進めていきます。

当社の気候関連リスクの一覧とシナリオ別の影響差異

移行リスク - 1.5℃/2℃シナリオで拡大が想定される主なリスク -

分類 リスク 当社事業への影響
政策規制
技術
①自動車のCO2・燃費規制の強化 罰金発生や販売機会の逸失など
②炭素税などの導入・強化 操業コストの増加など
評判 ③消費者の嗜好、投資家行動の変化 企業価値の低下など

物理リスク - 4℃シナリオで拡大が想定される主なリスク -

分類 リスク 当社事業への影響
慢性 ④平均気温の上昇 エネルギーコストの増加など
⑤水資源リスクの変化 サプライチェーンの停滞や生産コストの増加など
急性 ⑥自然災害の頻発・激甚化 事業拠点の被災、事業活動の停止など

※下線は特に重要度の高いリスク

特に重要なリスク項目の詳細と創出機会、当社の対応状況
  リスク 機会 スズキの対応状況
① 自動車のCO2・燃費規制の強化
  • カーボンニュートラル技術(電動化など)・コストの対応遅れによる市場シェア消失
  • カーボンニュートラル技術の開発投資の増加
  • カーボンニュートラル技術の生産設備投資(電池など)の増加
  • 規制未達による罰金発生や販売機会の逸失
  • ライフサイクルでCO2排出が少ない「小さなクルマ」による競争力の維持・強化、企業価値の向上
  • お求めやすい電動車およびカーボンニュートラル燃料対応車の開発による販売機会の獲得
  • インドや新興国で電動化およびカーボンニュートラル燃料対応を牽引することによる、サステナブルな経済発展への貢献
  • 電動化技術を集中的に開発、ハイブリッドシステムの搭載拡大、軽自動車EV・小型車EVの開発の推進
  • インドの電動化の推進(電動車市場投入、電池工場投資など)インドにてBEV「eビターラ」の販売を開始
  • トヨタとの提携の深化
  • インドや新興国でバイオガス実証事業を開始
    バイオガス生産プラントの設置についてNational Dairy Development Board、Banas Dairy社、スズキ(SRDI)の3者で合意
    バイオガス生産プラントを計9基設置する計画(2025年より2基稼働開始)パキスタンにおいても、バイオガス生産プラントの建設に着手(2025年4月)
②炭素税などの導入・強化
  • カーボンニュートラル技術を実装した生産設備投資の増加
  • 炭素税や排出枠取引、国境炭素調整措置などによる操業コストの増加
  • 「小・少・軽・短・美」の特長を活かした省エネ技術をグループ・お取引先様へ展開
  • インドや新興国で再生可能エネルギー利用などを牽引することによる、サステナブルな経済発展への貢献
  • 実行中のCO2削減施策の推進
  • カーボンニュートラルなエネルギー創出
  • インドで再生可能エネルギー由来電力を調達
  • 本社および静岡県内工場などに再生可能エネルギー由来のCO2フリー電気「静岡Greenでんき」を導入(静岡県内のスズキ拠点はすべてCO2フリー電気を使用し、電力使用によるCO2排出量はゼロ)
⑥自然災害の頻発・激甚化
  • 事業拠点の被災による事業活動の停止
  • お取引先様の被災による部品調達途絶
  • 被災時に電動車をライフラインとして活用することによる需要増加
  • 気候変動に伴うシナリオ分析をベースとした財務インパクト分析に着手
    まずは日本およびインドの自社拠点、国内1次お取引先様を対象として影響度評価を実施(気温上昇による台風や洪水、高潮など自然災害リスクの影響度をグローバルベースで評価し、リスクの低減や回避、事業継続につなげる)
    影響度評価の結果、リスクが高い拠点については固定資産に対する定量評価を実施
  • 想定浸水深に応じた水災対策の見直し
    影響度評価によって算出した想定浸水深に応じて、移転計画やBCPの見直し、止水板の設置などの対策に着手
    災害対策本部訓練の企画、運営、業務復旧対策の行動基準の改訂に着手

リスク管理

リスク管理体制

気候関連のみならず、各部門で発生または認識した課題の審議、ならびに潜在リスクの洗い出し、把握をコーポレートガバナンス委員会で実施しています。環境関連リスクについては、テーマに応じてカーボンニュートラル推進会議や環境推進会議で集中検討し、各部門への指示や管理を行っています。

各会議体の扱うテーマ

  • コーポレートガバナンス委員会:
    各部門で発生または認識したリスクを把握し、審議のうえ各部門へ指示を出し解決につなげる。
  • カーボンニュートラル推進会議:
    環境関連リスクのうち、気候変動(カーボンニュートラル)に関するリスクと機会を審議し、解決ならびに推進を行う。
  • 環境推進会議:
    水資源や生物多様性など、気候変動以外の環境関連のリスクと機会を審議し、解決ならびに推進を行う。

指標と目標

基本的な考え方

近年、地球温暖化に伴う異常気象の激甚化・頻発化が、世界各地で深刻な影響を及ぼしています。こうした中、世界ではパリ協定のもと、気温上昇を1.5℃に抑える努力と、温室効果ガス排出実質ゼロの実現に向けた取り組みが加速しています。
スズキは、「小・少・軽・短・美」の理念に基づき、環境負荷の少ない製品を効率的に提供するとともに、生産におけるエネルギー使用の効率化・低炭素化を進めてきました。さらに、「エネルギー極少化」を技術戦略として掲げ、製品のライフサイクル全体で必要なエネルギーを最小化することで、CO2排出の削減に取り組んでいます。
今後は、軽量化や高効率技術、電動化、カーボンニュートラル燃料への対応、再生可能エネルギーの活用拡大などを通じて取り組みをさらに進化させ、気候科学と整合した目標のもと、1.5℃目標の達成に貢献していきます。
スズキでは気候関連の目標と指標を複数設定し、推進ならびに進捗管理しています。
指標にはCO2排出量のほか、気候変動に関連するその他環境課題についても設定しています。
指標はターゲットに応じて大きく2つ設定しており、それぞれ目標達成を目指しています。

  • 長期:スズキ環境ビジョン2050
  • 短中期:スズキ環境計画2030、中期経営計画

指標と目標の詳細はこちらをご参照ください。

財務戦略

研究開発・設備投資

今後は、収益性・効率性を改善させ投資資金を最大限確保し、積極的に成長投資を実行していきます。また、企業価値を最大化できるように、外部状況に応じて柔軟に経営資源を適材適所に配分していきます。成長投資は主にインドの需要拡大に応える生産能力増強とエネルギー極少化に向けた技術開発に取り組みます。
具体的には、成長投資として、2030年度までに、設備投資に2兆円、研究開発費に2兆円、合わせて4兆円を計画しており、設備投資のうちインド関連で1兆2,000億円、研究開発費のうちエネルギー極少化に向けたもので1兆3,500億円を計画しています。

2025年度~2030年度の資源投入