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人権の尊重

スズキの人権尊重に関する取り組み

スズキは2021年より人権尊重強化に本格的に取り組み、「スズキグループの人権尊重についての基本方針」を制定して全従業員への浸透を図っています。またサプライヤー各社には「スズキお取引先様CSRガイドライン」を通じて人権尊重の取り組みにご協力をお願いしています。

スズキグループの人権尊重についての基本方針の改定

外部専門家の助言を踏まえ、2022年12月に取締役会の決議を経て制定した「スズキグループの人権尊重についての基本方針」(以下、人権方針)はスズキのホームページに掲載し、関係者に広く周知しています。2025年6月には、ステークホルダーの対象範囲を改めて明確化するとともに、重点的に取り組むべき人権課題を整理・明確化して基本方針を更新しました。

推進体制

スズキでは、人権尊重を持続的に推進するため、責任者の任命および全ステークホルダーの人権尊重に取り組む体制の運営準備を開始しています。現在は、国内外の事業所やサプライヤーを対象とした人権デュー・ディリジェンスや啓発活動を推進しています。これらの取り組みは人権リスクの未然防止・軽減となり、今後は設計した体制や計画をコーポレートガバナンス委員会へ報告し、全社横断でリスクへ対応できる体制を整えていきます。

人権方針の社内への浸透

2023年2月に社長メッセージとして社内HPで公表した人権方針をもとに、社内周知、ハラスメント防止研修やEラーニングの実施、相談窓口の運営強化など、バリューチェーン全体で安心して働ける環境づくりに取り組んできました。2025年6月には改めて人権方針の改定を行い、人権尊重の風土醸成を一層推進していきます。

人権尊重における実態の把握

ステークホルダー拡大による人権課題の整理と重点課題

人権方針の改定にあたり、多様なステークホルダーを人権方針の対象に含め、課題を整理したうえで、重点的に取り組むべき人権課題を定めました。

  ステークホルダー
従業員 お取引先様
従業員
お客様 地域社会






差別・
ハラスメント
強制労働・
児童労働
   
労働環境    
労働時間    
賃金    
ステークホルダー
との対話
プライバシー
製品・サービス
とお客様
     
地域社会への影響      

人権デュー・ディリジェンス

スズキは、「あらゆるステークホルダーの人権を尊重する」という全社共通の人権方針を策定し、社長メッセージを通じて社内に周知しています。方針に基づき、国内外のグループ会社やお取引先様を対象にアンケート調査などを実施し、ステークホルダーに関わる潜在的な人権リスクを可視化し、リスクの大きさや緊急度に応じて是正・予防措置を講じることで、理念の着実な浸透と定着を図っています。

お取引先様との取り組み

国内お取引先様への訪問調査

スズキでは、多様化する人財が安心して働ける職場環境の構築に向けた取り組みの一環として、外国人技能実習生が抱えるさまざまな課題やリスクを認識するため、お取引先様における訪問調査を行いました。

  • 2022年、人権NGOと協力のもと「外国人技能実習生の受け入れ環境調査」セミナーを開催し、アンケートで国内お取引先様の約3分の1に技能実習生の在籍を確認。
  • さらなる実態把握のため、NGOと合同で16社を選び、2022年12月~2024年3月に訪問調査を実施。

リスク回避のアクション

  • 選定基準:①技能実習生の在籍数が多い、②スズキとの取引比率が高い を組み合わせて16社をピックアップ
  • 調査内容:経営者インタビュー、職場・寮の実地確認、待遇・福利厚生チェック、技能実習生(6カ国78名)への個別聴取、監理団体へのヒアリング
  • 改善指摘:現場での課題はその場で指摘・改善を促進。送り出し機関に関する課題は監理団体へ要改善を依頼。

私たちは、外国人技能実習生が抱えるさまざまな課題やリスクを認識し、お取引先様における実態調査を実施しました。これは、リスクの適切な把握と管理を目的とするとともに、多様化する人財が安心して働ける職場環境の構築に向けた取り組みの一環です。今後も、すべての従業員が尊重され、安全かつ快適に働ける環境づくりに努めていきます。

技能実習生へのインタビュー実施人数

合計78名(インド22名、インドネシア21名、ベトナム16名、フィリピン8名、ミャンマー6名、中国5名)

【改善アクション】
  • 各受け入れ企業では、調査結果を踏まえた改善点を訪問時にその場で指摘し、速やかな是正を促進
  • 現地送り出し機関に関わる課題は、監理団体へ改善要請を実施

リスク回避の横展開

  • 2024年6月、一次取引先84社を対象に報告会を開催。16社調査で明らかになった課題・対策・好事例を共有し、外国人財受け入れ企業としての標準水準を提示。

お取引先様との人権尊重に関する合意形成

スズキグループでは、国内外の子会社を含むグループ各社が締結している購買基本契約に「人権尊重に関する合意事項」を追加するため、お取引先様との間で覚書を順次締結しています。この覚書には、児童労働や強制労働の禁止、雇用における差別・ハラスメントの排除、適正な労働時間・賃金の確保、労働組合結成の自由、職場の安全衛生環境の整備など、ILO(国際労働機関)の基本条約や国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠した主要項目を盛り込んでいます。今後は調達部門を中心に各社で覚書の締結を完了させ、定期的なモニタリングや報告、必要に応じた是正措置の協議を通じて、サプライチェーン全体での人権デュー・ディリジェンスをさらに強化し、持続的な人権尊重体制を確立していきます。

自社従業員における取り組み

従業員相談窓口

職場内でのハラスメントを含む人事上の問題や安全衛生・メンタルヘルスに関する相談に特化した相談窓口として、「人事・総務 相談窓口」を開設しています。さらに、これらの相談窓口に加え、食堂や事務棟などに「改善提案箱」を設置し、より一層、相談・提案が行いやすい風通しの良い職場づくりを目指しています。

また、精神科医・臨床心理士による「心の相談室」を開設しているほか、外部カウンセリングサービス(EAP)も導入しています。

お客様への取り組み

製品を通じた人権の保護

国内で販売しているすべての乗用車の純正アクセサリーとして、安全性の高い新基準UN-R129に適合した「i-Sizeチャイルドシート」を設定しています

スズキは「子どもの権利とビジネス原則」に賛同し、提供する製品・サービスの安全性の確保を通じて、子どもが安全に移動する権利を守ることに努めています。

※ UN-R129:「国連の車両・装置等の形式認定相互承認協定」に基づく改良型幼児拘束装置に関する規則。WITHシリーズを除く。2024年9月時点。

ステークホルダーとの対話

スズキでは、株主・投資家、お客様、サプライヤー、社員、地域の方々など、さまざまなステークホルダーからの声を大切にしています。定期的にアンケートやミーティングを開いて要望やアイデアについて直接対話し、その内容は社内で共有して事業やサービスの改善に活かしています。こうした双方向のコミュニケーションを通じて、より身近で開かれた企業づくりを目指しています。

スズキグループの人権尊重についての基本方針