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大気保全

  スズキ環境ビジョン2050 マイルストーン2030
大気保全 2050年までに、事業活動や製品から排出される大気汚染物質を最小化する。 2030年までに、
  • -事業活動における化石燃料の使用を削減し、再生可能エネルギーの利用を拡大する。
  • -クリーンな製品の開発を推進し、各国・地域の大気改善に貢献する。
  • -生産や製品から生じる揮発性有機化合物(VOC)を削減する。

基本的な考え方

スズキでは、各国の状況に応じた低排出ガス車の導入など大気保全の取り組みを進めてきました。インドや東南アジアなど新興国を主要市場とするスズキだからこそ、もっと貢献していきたいと考えます。例えば、スズキは、再生可能エネルギー由来の電力を、自分たちで発電する・調達するという活動を推進していくことで、地球全体でのCO2排出量の削減はもちろんのこと、スズキが活動する地域での大気環境の保全に貢献していきます。また、製品に関しては、ライフサイクルの視点をもって、販売国・地域のエネルギー・インフラ状況に適したパワートレインを投入していくほか、生産工程などから生じる揮発性有機化合物(VOC)についても削減を進めていきます。

製品使用に対する取り組み

LCA(ライフサイクルアセスメント)※1手法を用いた製品の大気汚染物質排出量の算出

スズキでは、CO2以外にも大気汚染物質に関するLCA算定を行っています。
現行「ソリオ」(マイルドハイブリッド搭載車)は、ライフサイクルを通じ、NOx、SOxおよびPMを前モデルより削減することができました。
スズキでは引き続き、CO2以外の物質についても低減のための取り組みを推進していきます。

※1 Life Cycle Assessment 。製品が、原材料の製造から廃棄されるまでの各段階において、環境に与える影響の可能性を算出して全体を評価する手法です。相対的な環境改善効果を確認するため、評価結果は指数で示しています。

「ソリオ」の実施結果
前モデルの「ソリオ」(マイルドハイブリッド搭載車)のNOxを100%とした場合の比率

A:前モデル(マイルドハイブリッド搭載車) (2020年12月発売)
B:現行モデル(マイルドハイブリッド搭載車) (2025年1月発売)

設計・開発における取り組み

排出ガス低減における取り組み

( 四輪車)排出ガスの低減

マルチパスウェイの取り組みとして、環境負荷の低減や触媒に使用する貴金属の削減に貢献するエンジンの燃焼技術の改善と排出ガスの浄化性能向上に注力しています。

2024年に発売した新型「スイフト」には、新開発したZ12Eエンジンを搭載しました。Z12Eはエンジン本体の改良で世界トップレベルの高速燃焼を実現。これに高効率の触媒とGPF(すす捕集フィルタ)を組み合わせることで、出力性能を維持しつつクリーンな排出ガス性能を達成しています。

(二輪車)排出ガスの低減
DR-Z4S

新型「DR-Z4S」

排出ガス低減技術向上を推進し、欧州EURO5規制および平成32年(令和2年)国内排出ガス規制に対応しています。

新型「DR-Z4S」「DR-Z4SM」では、吸気ポート・燃焼室形状・デュアルスパーク・カムプロフィール・二段触媒などを最適化し、最新の排出ガス規制に適合しています。

(船外機)排出ガスの低減 

スズキの4ストローク船外機は、米国カリフォルニア州大気資源局(CARB)の2008年排出ガス規制値および米国環境保護庁(EPA)の2次規制値、ならびに(一社)日本マリン事業協会の2011年マリンエンジン排出ガス自主規制値(2次規制値)をクリアしています。

化学物質低減における取り組み

車室内 VOC(Volatile Organic Compounds:揮発性有機化合物※1)の低減

「ジムニー ノマド」 車室内VOC測定の様子

お客様に安心、安全な製品を提供するため、内装部品の材料や接着剤などにVOC発生量の少ないものを使用し、四輪車の車室内VOCの低減に取り組んでいます。海外で生産される車両であっても、国内で販売するすべての新型四輪車について、車室内VOC濃度の日本自動車工業会目標※2を達成しており、2024年度は「フロンクス」や「ジムニー ノマド」などの新型車について達成しました。また、今後は欧州でも新たな規制が施行されるため、遵守できるように対応を進めています。

それに加えて、内装部品からの臭いを低減し、車室内臭気を低減する取り組みも継続して行っており、今後もお客様がさらに快適にご利用いただける車室内環境づくりを進めていきます。

  • ※1:VOCは、シックハウス症候群(頭痛や喉に刺激を感じるなどの症状)の原因の一つとして考えられており、人体への影響が注目されています。
  • ※2:(一般社団法人)日本自動車工業会では、2007年4月以降発売の新型乗用車および、2008年4月以降発売の新型商用車に対して、厚生労働省が定めた指定物質の車室内濃度を、すべて指針値以下とする自主取り組みを進めています。

騒音低減における取り組み

(二輪車)製品事例の紹介

騒音低減の取り組みとして、新型「DR-Z4SM」における実施例を紹介します。

新型「DR-Z4SM」では、最新の騒音規制を満足するために、消音性の高い構造を多く採用するとともに、重量の増加を最小限にとどめるように設計されています。

DR-Z4SM
  • ①エアクリーナは、十分な容量を確保し吸気音の低減を図ると共に、両サイドケース内壁にリブを配置して剛性を高めることで壁面からの放射音の低減を図りました。
  • ②マフラーは、十分な容量を確保、消音効果の高い構造とし、内壁にグラスウールを配置することで減衰性能の向上、壁面からの放射音の低減を図りました。
  • ③クラッチカバーは、CAEを用いて最適化した補強リブを内壁に配置して、剛性を高めることで壁面からの放射音の低減を図りました。
クラッチカバー

事業活動における取り組み

生産における取り組み

排出ガス低減における取り組み

SOx・NOx 排出量の管理

大気汚染を防止するため、ボイラーなどから排出されるSOx(硫黄酸化物)とNOx(窒素酸化物)に対して規制値よりも厳しい自主基準値を定めて維持管理しています。

■SOx排出量

※SOx排出量は1~12月の燃料使用量より算出しています。

【集計対象範囲】
磐田工場、湖西工場、大須賀工場、相良工場、浜松工場

■NOx排出量

【集計対象範囲】
磐田工場、湖西工場、大須賀工場、相良工場、浜松工場

化学物質低減における取り組み

塗装工程におけるVOC の低減

塗装工程で使用するVOC溶剤の排出量削減に取り組んでいます。
スズキ環境計画2025では国内工場塗装工程の塗装面積当たりVOC排出量の2000年度比50%以上削減を目標として掲げています。
2024年度の四輪車体、バンパーおよび二輪車の各塗装を合わせた総排出量は、3,993 t/年となり、VOC原単位排出量は48.9 g/㎡でした。

2025年度は湖西で新塗装工場が稼働を開始します。新塗装工場では相良工場に続き水性塗料を導入しVOC排出量を削減します。さらに、塗装器の洗浄に使う溶剤の回収装置の導入や、溶解力の高い希釈溶剤の使用で塗料希釈に必要となる溶剤量を減らす取り組み、VOC排出量の削減を進め、スズキ環境計画2025の目標を達成する計画です。

■塗装工程におけるVOC 排出量

塗装工程におけるVOC 排出量

【集計対象範囲】
四輪車体、二輪、バンパーの各塗装工程がある国内工場(磐田工場、湖西工場、浜松工場、相良工場)

臭気の低減における取り組み

臭気などは法令を遵守していても地域の皆様に不快感を与えてしまうことがあります。サステナビリティの基本となる法令遵守は最低限の責任であり、地域から信頼される工場を目指して、今後も発生源対策や脱臭の対策を進めていきます。