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人財の多様性

スズキでは、性別、年齢、国籍、人権、宗教、障がいの有無などのみならず、従業員一人ひとりの個性や意思を尊重し、一人ひとりが仕事と生活の調和を図りながら、多様な働き方を通じて、能力発揮・能力向上で最大限に活躍できる環境整備と風土醸成に取り組んでいます。

女性活躍推進

これまで以上に女性が活躍できる会社となるよう、2020年からは、2025年度の女性役職者数を2015年度の3倍にする計画を掲げ、管理職ならびにその候補者を含む女性役職者数の増加に取り組んだ結果、2024年度の女性役職者は2015年度比で4.2倍の223名まで増加し、計画を達成しました。

一方で、女性管理職数は2024年度末時点で31名(女性比率2.18%)となっています。将来的には女性管理職比率を女性従業員比率と同じにするため、まずは2030年度までに女性管理職比率を5.0%とすることを目標とし、両立支援にとどまらず、キャリア形成支援に取り組んでいきます。また、自動車産業の女性比率が低いことも課題と捉え、生産工場をはじめとする社内のすべての職場が、性別、年齢、国籍、人種、宗教、障がいの有無などを問わず、すべての人にとって働きやすいものとなるよう、生産技術の革新、各種設備の更新による根本的な作業環境の改善など、働きやすさの実現にも取り組んでいきます。

女性活躍推進法に基づく行動計画

1.計画期間

2025年4月1日~2030年3月31日までの5年間

2.課題

  • 管理職に占める女性の割合が低い
  • 男性は女性に比べワークライフバランスが実現できていない

3.目標

(1)管理職に占める女性労働者の割合を5%以上とする
(2)男性の育児求職または育児目的休暇の取得率を100%とする

4.取組内容

(1)自分らしいキャリア形成を実現できるよう、以下の観点で取り組みを実施する。

  • 「選択肢」と選ぶための「視野・情報」の提供
  • 居場所・取り組みのフィールドとしての「コミュニティ」形成
  • 個の活躍を後押する「会社風土」の醸成

2025年4月~

  • 女性同士の社内ネットワークづくり、座談会の開催など
  • 男女問わず活躍する従業員の紹介
  • 管理職向けアンコンシャスバイアス研修の実施
  • 女性向けキャリア研修の実施
  • 不妊治療との両立支援施策の検討・整備

(2)2023年度男性育休取得率63%、平均取得日数99日と男性育児参画の風土は醸成されてきているが、より一層「男性の育児参画が当たり前」になるよう、以下の取り組みを実施する。

2025年4月~

  • 男性育児サークルの開催
  • 育児休職者交流会の開催(継続)
  • 周知活動の見直し・改善
  • 全従業員向け研修の実施
  • 管理職向けアンコンシャスバイアス研修の実施
  • より申請しやすいシステム改修の検討・実施

両立支援

従業員が多様な働き方を選択できる制度をつくることで、意欲と能力を持った従業員が継続して働ける環境を整えています。また、職場全体でワークライフバランスへの意識を高め、「働きやすい職場」づくりを推進していきます。

短時間勤務制度(育児・介護)

小学生以下の子どもを養育する従業員もしくは家族の介護を必要とする従業員に対し、本人の申し出により1日の所定労働時間を6時間または7時間に短縮する制度を導入しており、2024年度は394名が利用しました。

休暇・休職制度(育児・介護)

育児・介護に専念するための休職制度は、男女を問わず多くの従業員が利用しています。2024年度は372名がこの制度を利用しました。2022年4月からは、男性が育児参加しやすい風土とするために、従来の配偶者の出産時に2日間取得できる「配偶者出産休暇」に加え、子の出生から8週間以内に5日間取得できる「出生時育児休暇」を新設しました。2024年度の男性の育児休職取得者は267名(取得率65.7%)と着実に風土醸成が進んでいます。

在宅勤務制度

従業員が時間や場所にとらわれずに効率よく主体的に働くことができるよう、在宅勤務制度を導入しています。また、在宅勤務制度を活用することで、育児・介護と仕事の両立を図り、仕事と家庭を両立して働くことができる体制を整えています。

ライフサポート休暇

付与後2年間の有効期限を過ぎた有給休暇日数は最大40日までストックすることができ、傷病、親や子どもの介護、不妊治療、骨髄提供において利用できるライフサポート休暇制度を導入しています。

2024年プラチナくるみん認定を取得

次世代育成支援対策推進法に基づき、「子育てサポート企業」として「プラチナくるみん」の認定を受けました。「プラチナくるみん」は、「くるみん」認定企業のうち、子育てなどの両立支援制度導入や利用が進み、高い水準の取り組みを継続して行うなど、一定の基準を満たした場合に受けることができる認定です。スズキは2022年に「くるみん」認定を取得し、男性育児休職の取得促進や女性の就業継続・活躍の推進を行っていることが評価された結果、「プラチナくるみん」認定の取得となりました。

プラチナくるみん

パパママ情報交換会

パパママ情報交換会は、育児休職中の従業員とその配偶者を対象にしており、育児休職からの復帰経験を持つ従業員からの経験談や、従業員同士の交流を通して、不安なくスムーズに職場に復帰できること、復帰後も気軽に相談できる体制を築くこと、共働きの子育てについて夫婦で理解を深めることを目的に開催しています。

産婦人科・小児科オンライン相談サービス

妊娠、不妊、出産、子育て、女性の健康について「いつでもどこでも」「スマホからオンラインで」「専門家に」気軽に悩みを相談できるサービスを導入しています。日本にいる従業員・家族に限らず、駐在員や帯同家族の悩みが解消され、より一層安心して働ける環境となることを目指しています。

地域の保育園との提携

いくつかの企業主導型保育園様と共同利用契約を締結しており、空きがあれば、優先的に利用できます。今後も、企業主導型保育園様との提携を進め、従業員の働きやすさと地域での発展をともに実現していきます。

LGBTQ

スズキでは就業規則において、性的指向・性自認に関する嫌がらせ・差別的言動を禁止するとともに、全従業員に配布している「コンプライアンス・ハンドブック」でアウティングを取り上げて理解促進を図るなど、従業員が「性の多様性」を理解し、受容する風土の醸成に取り組んでいます。また、ユニフォームの男女統一化や「誰でもトイレ」の増設も実施しました。

障がいのある方の雇用

人事部内に専任担当者、精神保健福祉士を配置し、定期的に個別面談を実施しているほか、職場にも障害者職業生活相談員を置き、障がいを持つ従業員の悩みや問題のケアを行うなど、長く安心して働くことができる環境づくりに取り組んでいます。

2005年2月に設立した特例子会社「スズキ・サポート」は、事業をスタートして20年目を迎えました。障がいのある方(重度の障がいを含む)が指導員と一体となって、スズキ本社内事務所、社員寮、関連施設の清掃業務、社内の文房具管理業務、および農園作業に携わっています。全員が明るく元気に働く姿は、スズキの従業員からも共感と喜びをもって迎えられています。スズキでは、スズキ・サポート設立の理念である社会貢献の一環として、障がいのある方々が働くことのできる喜びや社会参加によって人間的成長を感じることができるよう、今後も障がいのある方の雇用に取り組んでいきます。

株式会社スズキ・サポートの概要

  • 社名 株式会社スズキ・サポート
  • 資本金 1千万円
  • 出資者 スズキ株式会社
  • 所在地 静岡県浜松市中央区高塚町300
  • 設立 2005年2月
  • 事業内容 清掃業務、文房具管理、農産物の生産業務
  • 代表者 福田 尚
  • 従業員 154名(うち障がいのある方96名)

流動性

人財の流動性や人手不足が加速している社会情勢において、スズキで働くことが魅力的であり、かつ個人の成長につながると感じてもらえるような会社づくりや職場環境整備に努めています。

キャリア採用

多様な人財を確保するべく新卒採用に加え、近年はキャリア採用に注力しています。2024年度は276名(前年度比152%(181名))を採用しました。また、社内に蓄積のない新しい分野の知見・経験を持った人財を対象に、既存の人事制度にとらわれない雇用形態を新設し、2023年6月より導入しています。

アルムナイ採用

スズキを退職された方を対象に「アルムナイ採用」に取り組んでいます。在職時の知見を活かし、社外で新たに学び得た知識や経験を持ち合わせ、慣れ親しんだ職環環境であるスズキで再び即戦力として活躍していただくこと、また、転職を経験したことにより、スズキの強み・弱みを再認識し、強みは伸ばし、弱みは改善することでスズキのさらなる成長に貢献していただくことを期待しています。

リファラル採用

スズキに在籍している従業員から知人・友人を紹介いただく「リファラル採用」に取り組んでいます。事前に従業員がスズキのことを詳しく説明することで、応募者の方はスズキに対する理解が深まり、スズキを良く知った上で入社していただくことで、入社後の定着性向上に寄与すると考えています。

次世代技術開発に向けたデジタル人財の採用

CASEを始めとする次世代技術開発に必要なデジタル人財の確保が喫緊の課題となっています。日本国内のデジタル人財が不足する中、当該分野の人財を多数輩出するインドに着目し、2018年よりインド工科大学ハイデラバード校からの直接採用に取り組んでいます(2025年5月時点 累計27名)。また、スズキが得意とするインド市場において、当社子会社のMaruti Suzuki India Ltd.との人財交流で日印一体となって競争力の向上に取り組んでいます。

コミュニケーション
環境
  • 日本人従業員の英語力と外国人従業員の日本語力の双方を向上させることにより、言語バリアによるコミュニケーション不足を低減。
  • 会社からの通達や各種案内、社内システム、掲示物などにおける英語表示対応を順次拡大。
  • 社内のIT環境の一つとして多言語翻訳ツールを導入しており、読み書きの日常コミュニケーションを支援。
日本語教育
プログラム
  • 外国人従業員へは、会社および社会における日常生活を自立して営む上で最低限必要な日本語能力を獲得する教育の機会と費用を会社が提供。
  • さらに上級の日本語能力を目指す自己啓発も支援。
食と住の環境提供
  • 食の面では、外国人の中で多数を占めるインド人は食文化の違いが大きいため、社員食堂で本格的インド料理を提供。
  • 住の面では、自社寮において生活習慣の違いが大きい外国人の要望に配慮し、洋室仕様の部屋、ベジタリアン専用のキッチン、完全個室のシャワー室などを提供。
外部サービスの
活用
  • 生活や悩みに関する相談を受ける外部事業者と連携し、外国人従業員に対するきめ細かいサービスを提供。

外国籍従業員への対応

外国籍従業員を対象とした社会学習を実施しています。
社会学習は、技能だけでなく日本語や日本の文化・マナーも学ぶことを目的としており、日常生活や職場でのコミュニケーションを円滑にすることにつながっています。

人的資本の可視化

部門ごとの業務を分解し、業務の流れと必要となるスキルを見える化し、従業員一人ひとりが業務遂行に必要となるスキルを関係づけすることで、属人化されている業務が可視化され、自部門の人財配置状況を把握した上で、欠員を見越した補充や育成計画を明確にします。目標チャレンジや職能育成面接時に上司と部下との対話を通して育成計画やキャリアパスと実績を共有し続け、個の成長を促進・評価して、チーム・会社の成長・増強につなげます。将来的には各部門で作成した「タスク分解表(スキルマップ)」を人事データとして人財基盤システムに取り込み、人的資本状況の把握、採用と配置、リスキリング、タレントマネジメントなどに活用していきます。

サクセッションプラン

当社は持続的な企業成長を目指し、次世代リーダー(役員、本部長、部長)のサクセッションプラン策定に取り組んでいます。2024年4月の人事制度改革に伴い役職ごとに求められる能力要素、人物・行動要件を定義し、役職者の役割を明確にしました。また、幹部級・管督級の人財プールを設け、組織のマネジメントを担うポスト長への配置をフレキシブルに行っています。役職昇格は上司からの推薦だけでなく人事部門が考える後任候補者リストを参考に、経営会議にて社長をはじめとする経営幹部が意見を出し合って決定しています。また、管理職を対象とした多面評価を行い、あらゆる側面からリーダーとしての適性を見極め、適切な人財配置および人財育成に取り組んでいきます。

部門人事

現場の困りごとを、現場により近くで正確かつ迅速に対応するため、2023年より四輪技術部門と生産部門に人財開発本部から独立した部門人事を新設しました。また、2025年7月には日本営業部門に部門人事を新設し、職場環境の改善や人財育成を推進しています。部門人事は、現場の声を拾い上げ、従業員個々の困りごとや相談ごとを一緒になって解決したり、部門で解決できない課題は人財開発本部へ届け、職場改善・問題解決をしています。従業員が生き生きと働けるようにモチベーションを高め、定着率向上につなげています。