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コンプライアンス

基本的な考え方

スズキグループが持続的に成長・発展するためには、社会から信頼され、その活動が支持され理解を得られなければならず、そのためには、法令や社内規程を守るだけでなく、社会規範も遵守し、高い倫理観に基づいて活動することが不可欠と認識しています。

スズキでは、創業以来受け継がれてきた伝統や精神を母体として、1962年にスズキグループ全体で価値観を共有することを目的に、スズキが「どのような会社でありたいか」という企業理念を表した「社是」を制定しました。

また2016年には、社是の精神に則り、スズキグループで働く人々が健全かつ効率的、精力的に職務に専念することを可能にするためのルールとして「スズキグループ行動指針」(以下、「行動指針」)を策定しています。この行動指針は、スズキグループの全従業員が常に携行できるよう冊子化し、日本語版のほかに、国内の外国人従業員向けに英語版・ポルトガル語版を作成して配布しています。また、海外の子会社においても、それぞれの母国語で書かれたものが従業員に配布されています。

さらに2020年には、行動指針に基づいて、コンプライアンスの視点からスズキグループで働く人々が実践しなければならないことや、やってはいけないことを具体的にまとめた「コンプライアンス・ハンドブック」を発行しました。2024年には改定を行い、第2版を国内の全従業員に配布しています。こちらも日本語版のほか、英語版・ポルトガル語版を作成して、日々の業務において随時確認・振り返りができるようにしています。

コンプライアンス体制

スズキでは、取締役会のもとにコーポレートガバナンス委員会を設置し、コンプライアンスの徹底や従業員のコンプライアンス意識の啓発、個別の法令遵守のための注意喚起を全社に向けて行っています。なお、同委員会は、2023年3月の取締役会決議を経て、2023年4月より社長を委員長、副社長、専務役員および常務役員の一部を副委員長、その他の執行役員および本部長を委員とし、オブザーバーとして常勤監査役が出席する体制に改め、コンプライアンスを含むリスク管理全般を統括する運用を開始しています。

また、2024年6月取締役会決議を経て、同委員会の在り方および付議事項を整理・明確化し、経営層への適時報告や審議の実効性を向上させる見直しを行いました。コンプライアンス事案が生じた場合は、都度審議して必要な措置を講じ、その内容は適宜取締役および監査役に報告しています。

コンプライアンスに関する取り組み

内部通報制度(スズキグループ・リスクマネジメント・ホットライン)

スズキは、コンプライアンス違反の未然防止や早期是正を図るために、内部通報制度に基づく通報窓口(スズキグループ・リスクマネジメント・ホットライン。社内窓口2ヵ所、社外窓口(法律事務所)1ヵ所。)を設け、国内海外問わずスズキグループの全役員・従業員(派遣社員、期間社員などのほか、退職者も含む)や、お取引先様、請負事業者など社外の関係者からの通報を受け付けています。通報窓口では、通報者の匿名性や通報内容の秘匿性を確保するためのルールを設け、利用者が不利益な取り扱いを受けることなく法令違反や社内ルール違反、汚職などの企業倫理に関する問題、ハラスメント行為など、コンプライアンス上の問題やその可能性を通報できる体制を整えています。

また、内部通報制度の認知や利用に関するアンケートを実施して、従業員の声を改善につなげる取り組みも行っています。

過去5年間(2020~2024年度)の内部通報実績は以下のとおりです。

■内部通報件数の推移

内部通報件数※の推移

※コンプライアンス上の問題を含まない相談や問い合わせを除いた件数です。

■通報処理の流れ

通報処理の流れ

コンプライアンスに関する教育

スズキグループ各社ではコンプライアンスに係る教育・研修を実施しています。主に階層別の集合教育の中で、新入社員から管理監督者まで、各層別に適した教育メニューを選定したうえで、計画的・継続的に実施しています。

■2024年度実績

スズキ株式会社 スズキグループ国内代理店・販売会社など
対象研修 受講者数 対象研修 受講者数
新入社員研修 554名 新入社員研修 682名
新任昇格者研修
(主導級/主導1級/主導2級/管督級/幹部級)
848名 入社2年目/5年目/7年目研修 1,340名
新任拠点長研修 124名
新任役職者研修(係長/課長) 385名
レベルアップ研修 16名
代理店責任者研修 12名
工場長研修(基礎編/実務編) 141名
サービス教育担当者研修 24名
店長・工場長研修 587名
合計 1,402名 合計 3,311名

毎日コンプライアンスクイズ(毎コンクイズ)

日常的にコンプライアンスを意識する風土をつくるため、役員・従業員の業務用PC立ち上げ時に毎日1問、コンプライアンス関連のクイズをPCに表示する形式のEラーニングを、2017年6月から毎日実施しています。

完成検査などの不適切事案に関する再発防止策の実施状況

2016年の燃費・排出ガス試験問題および2018年の完成検査問題を風化させないための毎年の取り組みである「リメンバー5.18活動」を、社長をはじめ役員および従業員全員が参加する形で実施しており、コンプライアンス意識とコミュニケーションの向上により不正が起きない職場風土の醸成に努めています。2023年度からは、総点検として「業務と法令の関連」について全社で棚卸し活動を実施し、日々の業務に対して問題がないか振り返り、問題が小さなうちに解決する取り組みを開始しています。

2025年度は、新たに30の海外拠点が活動に参加し、監査対象の海外拠点すべて(35拠点)に活動を拡大しました。本部ごとにテーマを設定し、活動を行い、5月19日に実施した棚卸し活動報告会にはおよそ13,500人が参加しました。報告会では、複数の部門にまたがる問題や全社に共有すべき事例を中心に、自分事として捉え、チームスズキで対策を議論し、全社で学びを共有しました。加えて、不正が起きない職場風土の醸成のための各本部の取り組み紹介も行いました。今後もスズキグループ全体でリメンバー5.18活動を継続していきます。

また、上司や部下、同僚、部門間でのコミュニケーションを円滑にし、問題を報告・連絡・相談しやすい風土をつくるため、社長による職場対話を全本部対象に、職場ごとに実施していきます。(29本部40職場が対象)

リメンバー5.18活動の様子(2025年5月19日実施)

日本国内販売代理店

株式会社スズキ自販広島
ハラスメント研修

販売代理店では「お客様から信頼いただけるスタッフ」を育成するため、業種およびキャリアに応じた教育システムを策定して社員を教育しています。また、人財が活躍する組織づくりやリスク管理のため、ハラスメントやSDGsについても学ぶ機会を設け、受講させています。

税務方針の制定

税務コンプライアンスを徹底し、適正な納税を行うための基本方針として、「スズキグループ税務方針」を制定しました。(2022年12月制定、2024年9月改定)

スズキグループ税務方針

スズキグループは、お客様の立場になって価値ある製品・サービスをお届けすることを社是の第一として事業を行うとともに、納税の重要性を理解し、納税を通じた利益の社会への還元によって納税者としての義務を果たし、社会に貢献することに努めます。

法令遵守

各国の税法や租税条約を遵守すること、かつ、OECD移転価格ガイドラインやBEPS行動計画等の国際的な規範等の精神に則ることにより、公正、公平な納税を行うとともに、不当な租税回避的行為を行いません。

ガバナンス

財務管掌役員が税務の責任者として、スズキ全体を管轄します。スズキグループは、税務リスクに対する適切な管理、報告体制を構築しており、税務申告等は取締役会が報告を受けています。監査役はこれに同席し、内容を確認しています。特に緊急性や重要性の高い税務リスクについては、経営陣が必要に応じて取締役会で審議を行い解決に努めます。また、定期的な社内教育を通じて、社員一人一人の税務コンプライアンスに関する理解と認識を深めていきます。

税務当局との関係

税務当局とは、あらゆる機会を通じて信頼関係の醸成に努めます。また、相互の理解に齟齬がある場合には、速やかにコミュニケーションを図るとともに、税務調査に誠実に対応し、透明性の高い納税に努めます。

二重課税の防止

移転価格課税など、国際課税における二重課税のリスクを十分理解し、独立企業間原則に従ったルーリングに基づいて国際取引を行います。また、二重課税が生じた場合には、専門家への相談、各国税務当局との協議、各種救済措置の実施を通じて、二重課税の排除に努めます。

腐敗防止

スズキグループは、独占禁止法などの競争関係法令、その他公正な商取引に関する法令、社会規範が国や地域によって異なる可能性があることを認識しつつ、それらを把握したうえで、スズキグループの社員がそれぞれの国や地域の法令、社会規範を遵守するよう教育を徹底します。贈収賄などあらゆる腐敗の防止に取り組みます。

贈収賄防止の取り組み

スズキグループでは、スズキグループ行動指針において「法令等の遵守(コンプライアンス)」を掲げ、またコンプライアンス・ハンドブックにおいて「わいろ(贈収賄)」と「接待」の項を設け、贈収賄の防止に努めています。

贈収賄禁止の考え方をさらに明確にするため、取締役会決議を経て2024年3月に「スズキグループの贈収賄禁止についての基本指針」を定めました。贈収賄が各国の厳しい制裁や社会的信用の失墜につながることを十分に認識し、本基本指針に基づいて贈収賄など不正な手段に一切関与しないよう行動します。

また、業務で関与するすべての事業者(お取引先様、合弁事業の相手方、コンサルタント、代理人などを含む)に対しても、本基本方針の遵守を求めます。

スズキグループの贈収賄禁止についての基本指針

コンプライアンス・ハンドブック

スズキは「コンプライアンス・ハンドブック」において具体的なNG行為(例:ファシリテーション・ペイメント、企業活動に影響力のある公務員などの接待など)を例示するなどしてその防止に努めています。ハンドブックは外国語版も作成し、グループ会社にも展開しています。

接待に関する社内規程

すべてのお取引先様と公正で節度ある関係を構築・維持するため、お取引先様から受ける接待に関する社内規程を制定し、記録の管理など、全役員・従業員にルールの遵守を要請しています。

反競争的行為防止の取り組み

スズキは、スズキグループ行動指針の中で競争法令などの遵守を謳い、その教育を徹底しています。また、「コンプライアンス・ハンドブック」「競争法ハンドブック」を配布し、具体的なNG行為をわかりやすく例示するなどして従業員の理解の底上げを図っています。

  • カルテル・入札談合規制(競争他社との情報交換、業務提携・OEM、入札談合)
  • 不公正な取引の規制(不当な差別的取り扱い、再販売価格の拘束、取引条件の拘束、抱き合わせ販売、優越的地位の濫用、不当表示)
  • 有事対応(事前相談、政府当局からの立ち入り調査などへの協力)

サプライチェーンにおける法令遵守

サプライチェーンにおける法令遵守・人権尊重・環境の取り組み

スズキでは事業活動のグローバル展開に伴い、お取引先様をはじめとするステークホルダーの多国籍化・多様化が進んでおり、各国の法令・社会規範に従うことはもとより、文化や歴史に配慮して社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)を果たすことへの期待が高まっています。かかる社会的要請を踏まえて、ビジネスパートナーであるお取引先様とともに果たすべき社会的責任の基本的な考え方、実践すべき事柄を「スズキお取引先様CSRガイドライン」としてまとめ、スズキとサプライヤーが一体となったCSR活動を推進しています。
また、当社では2025年9月に「スズキグループの人権尊重についての基本方針」を改定しました。
「人権の尊重」はすべての企業活動の基本であると考え、スズキグループの各社にその周知徹底を図っています。さらに、お取引先様や販売店を含む事業に関連するすべてのビジネスパートナーの皆様にも、当方針にご理解をいただき、人権尊重の取り組みを期待するとともに、積極的な働きかけを行い、協力して取り組みを進めていきます。