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企業情報 > サステナビリティ > 【E】環境への取り組み / 気候変動
  スズキ環境ビジョン2050 マイルストーン2030



製品CO2 2050年までに、Well to Wheelで新車四輪車が排出するCO2「2010年度比90%削減」を目指す。 2030年までに、Well to Wheelで新車四輪車が排出するCO2「2010年度比40%削減」を目指す。
事業活動CO2 2050年までに、事業活動から生じるCO2を販売台数あたり原単位で「2016年度比80%削減」を目指す。 2030年までに、事業活動から生じるCO2を販売台数あたり原単位で「2016年度比45%削減」を目指す。

基本的な考え方

昨今、地球温暖化が要因とされる異常気象が頻発しています。こうした気候変動の影響を抑えるために、世界の平均気温上昇を産業革命以前から2℃未満に抑えることを目的に、今世紀後半に温室効果ガス排出の実質ゼロを目指す「パリ協定」が採択されました。スズキは以前から、「小・少・軽・短・美」の理念に沿って、CO2排出の少ない製品を少ないCO2排出で作り続けてきましたが、いわゆる1.5℃目標の達成に向けて、より一層のCO2削減に努めなければならないという課題意識のもと、スズキは、気候科学と整合した削減目標を掲げ、取り組みを推進していきます。

カーボンニュートラル達成目標

日本欧州────2050年

インド────2070年

スズキは、各国政府が掲げる達成目標時期に基づき、日本・欧州で2050年、インドでは2070年のカーボンニュートラルの達成を目指します。
これからもお客様の選択肢を広げ、地域のニーズに合った製品・サービスをお届けするとの考え方を軸に、地域ごとのカーボンニュートラル目標達成に取り組みます。

TCFD提言に基づく開示

ガバナンス

気候関連のリスクと機会に関する組織体制

スズキは、グループ全体の環境管理を目的として、取締役会直下に「カーボンニュートラル推進会議」および「環境委員会」を設置しています。
取締役会は「カーボンニュートラル推進会議」および「環境委員会」に対して指示・監督を行うとともに、両会議体からの報告を受け最終的な意思決定を行います。
「カーボンニュートラル推進会議」は気候変動(カーボンニュートラル)にテーマを絞り、より機動的に会議運営ができるように毎月1回、脱炭素に向けた集中審議を行っています。
「環境委員会」は、カーボンニュートラル以外の環境問題、すなわち大気保全、水資源、資源循環などをテーマに年2回開催しています。
二つの会議体のテーマを明確に分けることで会議の実効性を高め、脱炭素に向けた意思決定を一層加速させています。

  • ※従来は環境委員会の下に設置した小員会で気候変動に関する審議を行っていましたが、2023年4月より「カーボンニュートラル推進会議」に改編し、経営・業務執行会議のひとつとして発展させました。

■気候関連のリスクと機会に関する組織体制

戦略

TCFD提言への対応

2020年4月に「TCFD」の趣旨に賛同・署名しました。ステークホルダーに分かりやすい情報開示を進めるとともに、気候変動に対する強靭性をより強化するため、シナリオ分析の高度化や開示情報の充実化に努めていきます。

TCFD

※気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD):Task Force on Climate-related Financial Disclosuresの略。2015年に金融市場の安定化を図る国際的組織である金融安定理事会(FSB)が設立。

気候関連リスクと機会、シナリオ分析

当社は、持続可能な事業活動を進めるために事業リスクや機会の特定を進めています。特に、気候変動の影響は根源的に不確実であるため、将来を幅広に捉えた上でリスク・機会の影響度を評価し、適切に対応することが重要であると認識しています。
この認識のもと、気候変動の物理影響が顕著になる「4℃シナリオ」と、パリ協定の実現に向けて気候変動対策が加速する「1.5℃/2℃シナリオ」の2つのシナリオを想定し、リスクと機会の影響の差異を評価しました。シナリオの想定にあたっては、IEA※1やIPCC※2等の科学知見に基づく、外部シナリオを参照しました。

  • ※1 IEA:International Energy Agencyの略。国際エネルギー機関。
  • ※2 IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Changeの略。気候変動に関する政府間パネル。

スズキの気候関連リスクと機会

気候変動の緩和策として、排出ガスやCO2・燃費規制などさまざまな法規制の強化が進められる中、これらの規制を遵守するための開発費用の負担増加は当社の業績に大きな影響を与える可能性があります。一方で、当社が得意とする「小さなクルマ」は、生産に必要な材料やエネルギーが少なく、また使用時のCO2排出量も抑えることができます。こうした当社独自の強みを活かし、リスクに適切に対処していくことで機会の創出につなげていくことができると考えます。
また今年度から、すでに開示している気候変動に伴うシナリオ分析をベースとした財務インパクト分析に着手しました。気温上昇による台風や洪水、高潮など自然災害リスクの影響度をグローバルベースで評価し、リスクの低減や回避、事業継続につなげることを目的とした取り組みです。まずは国内およびインドの自社拠点に加えて国内1次取引先様の影響度評価を実施しました。
気候変動によるリスクの低減や回避、将来の機会獲得や競争力強化に向けて、今後も引き続き十分な検討を重ね、事業戦略への反映を進めていきます。

当社の気候関連リスクの一覧とシナリオ別の影響差異

特に重要なリスク項目の詳細と創出機会、当社の対応状況

  リスク 機会 スズキの対応状況

自動車のCO2
燃費規制の強化
  • カーボンニュートラル技術(電動化等)・コストの対応遅れによる市場シェア消失
  • カーボンニュートラル技術の開発投資の増加
  • カーボンニュートラル技術の生産設備投資(電池等)の増加
  • 規制未達による罰金発生や販売機会の逸失
  • ライフサイクルでCO2排出が少ない「小さなクルマ」による競争力の維持・強化、企業価値の向上
  • お求めやすい電動車及びカーボンニュートラル燃料対応車の開発による販売機会の獲得
  • インドや新興国で電動化及びカーボンニュートラル燃料対応を牽引することによる、サステナブルな経済発展への貢献
  • 電動化技術を集中的に開発、ハイブリッドシステムの搭載拡大、軽自動車EV・小型車EVの開発の推進
  • インドの電動化の推進(電動車市場投入、電池工場投資等)
  • トヨタとの提携の深化
  • インドでバイオガス実証事業を開始

炭素税等の導入・強化
  • カーボンニュートラル技術を実装した生産設備投資の増加
  • 炭素税や排出枠取引、国境炭素調整措置等による操業コストの増加
  • 「小・少・軽・短・美」の特長を活かした省エネ技術をグループ・お取引先様へ展開
  • インドや新興国で再生可能エネルギー利用等を牽引することによる、サステナブルな経済発展への貢献
  • 施行中のCO2削減施策の推進
  • カーボンニュートラルなエネルギー創出
  • インドで再生可能エネルギー由来電力を調達
  • 本社および静岡県内工場等に再生可能エネルギー由来のCO2フリー電気「静岡Greenでんき」を導入(静岡県内のスズキ拠点はすべてCO2フリー電気を使用し、電力使用によるCO2排出量はゼロ)

自然災害の頻発・激甚化
  • 事業拠点の被災による事業活動の停止
  • 取引先の被災による部品調達途絶
  • 被災時の電動車をライフラインとして活用することによる需要増加
  • 気候変動に伴うシナリオ分析をベースとした財務インパクト分析に着手
    まずは日本およびインドの自社拠点、国内1次取引様を対象として影響度評価を実施(気温上昇による台風や洪水、高潮など自然災害リスクの影響度をグローバルベースで評価し、リスクの低減や回避、事業継続につなげる)

リスク管理

リスク管理体制

気候関連のみならず、各部門で発生または認識した課題の審議、ならびに潜在リスクの洗い出し、把握をコーポレートガバナンス委員会で実施しています。環境関連リスクについては、テーマに応じてカーボンニュートラル推進会議や環境委員会で集中検討し、各部門への指示や管理を行っています。

各会議体の扱うテーマ

  • コーポレートガバナンス委員会:
    各部門で発生または認識したリスクを把握し、審議のうえ各部門へ指示を出し解決につなげる。
  • カーボンニュートラル推進会議:
    環境関連リスクのうち、気候変動(カーボンニュートラル)に関するリスクと機会を審議し、解決ならびに推進を行う。
  • 環境委員会:
    水資源や生物多様性等、気候変動以外の環境関連のリスクと機会を審議し、解決ならびに推進を行う。

気候関連想定リスク

気候関連リスクにおいては、気候変動影響を「4℃シナリオ」「1.5℃/2℃シナリオ」の2つのシナリオを想定し、リスクと影響を評価しています。リスクの種類として、政策規制等の「移行リスク」と自然災害等の「物理リスク」の2つの観点からリスクと影響を考察しています。

リスクの種類 想定される影響例
移行リスク 政策規制技術 自動車のCO2・燃料規制の強化による罰金発生や販売機会の逸失等
炭素税等の導入・強化による操業コストの増加等
評判 消費者の嗜好、投資家行動の変化による企業価値の低下等
物理リスク 慢性 平均気温の上昇によるエネルギーコストの上昇等
水資源リスクの変化によるサプライチェーンの停滞や生産コストの増加等
急性 自然災害の頻発、激甚化による事業拠点の被災、事業活動の停止等

指標と目標

基本的な考え方

昨今、地球温暖化が要因とされる異常気象が頻発しています。こうした気候変動の影響を抑えるために、世界の平均気温上昇を産業革命以前から2℃未満に抑えることを目的に、今世紀後半に温室効果ガス排出の実質ゼロを目指す「パリ協定」が採択されました。
スズキは以前から、「小・少・軽・短・美」の理念に沿って、製造時、使用時ともにCO2排出の少ない製品を作り続けてきましたが、いわゆる1.5℃目標の達成に向けて、より一層のCO2削減に努めなければならないという課題意識のもと、気候科学と整合した削減目標を掲げ、取り組みを推進していきます。
また、新興国は気候変動対策だけでなく経済成長との両立を求めています。新興国とともに成長を目指すスズキは、新興国の人々の暮らしを豊かにしつつ、気候変動対策を推進していきます。
スズキでは気候関連の目標と指標を複数設定し、推進ならびに進捗管理しています。
指標にはCO2排出量のほか、気候変動と関連するエネルギー、大気保全、水資源保全等についても設定しています。
指標はターゲットに応じて大きく3つ設定しており、それぞれ目標達成を目指しています。

  • 長期:スズキ環境ビジョン2050
  • 中期:マイルストーン2030
    2030年度に向けた成長戦略
  • 短期:スズキ環境計画2025
    指標と目標の詳細はこちらをご参照ください。

製品使用に対する取り組み

バリューチェーン全体が排出する温室効果ガスの開示

スズキは、原材料・部品の購買や製品の製造・販売を通した事業活動に伴い排出される温室効果ガスの低減に向け、温室効果ガス排出量の把握・開示が必要であると考え、事業活動に伴い排出される温室効果ガスだけではなく、バリューチェーン※1全体の温室効果ガス排出量を把握する取り組みを2013年度より行っています。
2022年度にバリューチェーン全体が排出した温室効果ガス排出量10,370万t-CO2のうち10,256万t-CO2がスコープ3(その他の活動に伴う間接排出)※1に相当し、中でも「カテゴリー11スズキが販売した製品の使用」※2による排出量が8,270万t-CO2とバリューチェーン全体の79.7%を占めています。
このことからスズキは、バリューチェーン全体の温室効果ガス排出量を低減させるには製品の使用に伴う排出量を低減させることが重要であると考え、引き続き燃費向上を重視した製品の開発・改良に取り組んでいきます。

  • ※1 バリューチェーン:事業のすべての活動が最終的な価値にどのように貢献するかを、体系化する手法。算定基準である「GHGプロトコル※3」に従って算定されるスコープ1、スコープ2及びスコープ3から構成される。バリューチェーンに含まれる事業活動は、部品や原材料の調達、製造、出荷、販売、お客様サービスや、これらの活動を支えるための管理業務、技術開発業務など。当社では、環境省・経済産業省グリーン・バリューチェーンプラットフォーム※4に2014年度より参加し、算定の取り組みを紹介している。
  • ※2 カテゴリー11の排出量は、当該年度に販売したスズキ製品が将来廃棄されるまでの使用に伴う排出量。
  • ※3 GHGプロトコル:米国の環境シンクタンクWRI(世界資源研究所)と、持続可能な発展を目指す企業連合体であるWBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)を主体とした、GHG(温室効果ガス)の算定・報告基準を開発するための方法。
  • ※4 グリーン・バリューチェーンプラットフォーム:環境省・経済産業省が地球温暖化について国内外の動向・算定方法等さまざまな情報を発信する、バリューチェーンの排出量に関する情報プラットフォーム。
    ホームページhttps://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/index.html

2022年度の温室効果ガス排出量の内訳

バリューチェーン全体が排出した温室効果ガス排出量10,370万t-CO2
【算定範囲】スズキ株式会社、及び国内製造・非製造子会社66社、海外製造・非製造子会社32社
【算定期間】2022年4月~2023年3月

当社対応のスコープ1・2及びスコープ3各カテゴリーの区分

  • ※カテゴリー8(リース資産(上流))はスコープ1、2に含めているため除外。カテゴリー10(販売した製品の加工)、カテゴリー13(リース資産(下流))、カテゴリー14(フランチャイズ)、カテゴリー15(投資)は算定対象外につき除外。

バリューチェーン全体が排出する温室効果ガスの開示
スコープ1・2・3

✓は第三者保証を受けた項目
(単位:万t-CO2

  2020年度 2021年度 2022年度  
バリューチェーン全体(スコープ1・2・3の合計) 9,018 9,207 10,370  
企業活動による直接排出(スコープ1※1 38 40 42  
国内 15 15 15
海外 23 25 27  
エネルギー起源の間接排出(スコープ2※1 68 71 72  
国内 29 26 28
海外 38 45 45  
企業活動による排出(スコープ1・2の合計) 105 111 114  
製品の使用による排出(スコープ3_カテゴリー11)※2 7,573 7,532 8,270
その他の排出(スコープ3_カテゴリー11以外) 1,339 1,564 1,986  
その他の間接排出(スコープ3の合計) 8,913 9,096 10,256  
  • ※1《スコープ1・2》
    • ●算定範囲
      • -国内:スズキ株式会社、及び国内製造・非製造子会社66社
      • -海外:海外製造・非製造子会社32社
    • ●対象ガス:温室効果ガス(二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、ハイドロフルオロカーボン類、パーフルオロカーボン類、六フッ化硫黄、三フッ化窒素の7つのガス)
    • ●排出係数
      • -電力:国内は電気事業者別の直近の調整後排出係数、海外はIEA Emissions Factors 2022
      • -燃料:国内は算定・報告・公表制度における排出係数、海外はIPCCガイドライン2006。なお、都市ガスの単位発熱量は供給会社の公表値。
  • ※2《スコープ3_カテゴリー11》
    • ●算定範囲:スズキ株式会社グループ
    • ●算定対象製品:四輪車、二輪車、船外機、電動車いす他の自社製品を対象
    • ●算定方法概要
      • -当該年度に販売した製品の想定される生涯走行距離に、機種別の排出原単位を乗じて算出。
      • -年間走行距離、使用年数については、主にIEA SMP Model等の公表情報を基に設定。
      • -機種別の排出原単位は、原則として各国規制に基づく認証値を採用し、WTW(Well to Wheel)に換算したものを設定。

*なお、2021年度以前のデータについては、算定方法の見直しに伴い遡って修正。

スズキグループのエネルギー消費量

(単位:GWh)

  2020年度 2021年度 2022年度
グローバル合計 3,058 3,265 3,455
国内 1,381 1,327 1,360
海外 1,677 1,938 2,095

算定範囲:スズキ株式会社、及び国内製造・非製造子会社66社、海外製造・非製造子会社32社
(拠点内で発電した再生可能エネルギーの消費分を含む)

LCA(ライフサイクルアセスメント)手法を用いた製品のCO2排出量の算出

スズキは、製品の環境への影響を把握するため、走行段階だけではなく原材料の製造から廃車処理までのライフサイクル全体を対象に、具体的な数値で評価することのできるLCA※1の手法を採用しています。このLCAの結果※2を製品開発※3や事業活動に活かすことによって、環境負荷の低減を推進しています。

  • ※1 Life Cycle Assessment。製品が、原材料の製造から廃棄されるまでの各段階において、環境に与える影響の可能性を算出して全体を評価する手法です。
  • ※2 相対的な環境改善効果を確認するため、評価結果は指数で示しています。
  • ※3 自動車のCO2排出量は走行段階が多くを占めています。スズキでは、走行段階のCO2排出量を削減する研究開発を進めています。例えばスイフトでは、ハイブリッド技術の搭載により前モデル比でCO2を約4.3%削減しています。

スズキのLCA評価段階

スズキ車のライフサイクル段階別CO2排出量割合

  • ※2018年10月より燃費測定モードがJC08モードからWLTCモードに切り替わったため、ハスラーについては新モデルのみのグラフで示しています。
  • ※自動車の生涯走行距離11万km(13年)を、各モードで走行した場合の結果です。
  • ※走行段階では、タイヤやエンジンオイル、バッテリーなどの交換部品の製造を考慮しています。

車種ごとのCO2排出量比率(%)

  • ※自動車の生涯走行距離11万km(13年)をJC08モード、WLTCモードで走行した場合の結果です。
  • ※“H”はハイブリッド車、“MH”はマイルドハイブリッド車を表しています。

設計・開発における取り組み

次世代車両における取り組み
電気自動車の開発

カーボンニュートラルの実現に向け、世界各国の状況やお客様の使い方に合わせた電気自動車の開発を進めています。2023年1月にインドで開催された「Auto Expo 2023」にて、2025年までに市販化を計画している世界戦略電気自動車第一弾のコンセプトモデル「eVX」を公開しました。また、2023年5月に開催された「G7広島サミット(主要国首脳会議)」の展示イベントにて、提携企業と共同開発してきたBEVシステムを搭載した商用軽バン電気自動車のプロトタイプを公開しました。

Auto EXPO 2023(インド開催)

2023年5月18日~21日にG7広島サミットで公開した商用軽バン電気自動車

二輪車における取り組み

株式会社Gachacoが運用する交換式バッテリー(ホンダ社モバイルパワーパック、以降MPP)を搭載可能とした実証実験車e-BURGMANを開発し、当電動スクーターを用いた実証実験を2023年4月から6月まで東京都内で実施しました。
実証実験は今後大阪でも実施予定で、これら実証実験を通して収集する、ユーザの使い方、ニーズなどのデータから今後の電動二輪車の開発につなげていきます。

実証実験用電動スクーター「e-BURGMAN」

船外機における取り組み

湖沼や河川で多く使われる小型船外機は、2024年度にバッテリーEVを投入します。2030年度までに5モデルを展開し、バッテリーEV比率5%を計画しています。海洋で使われる大型船外機については、カーボンニュートラル燃料での対応を検討しています。

研究開発・設備投資

カーボンニュートラルや先進安全技術の開発のため、2030年度までに研究開発に2兆円、設備投資に2.5兆円、合わせて4.5兆円規模の投資を計画しています。4.5兆円のうち、電動化関連投資に2兆円、そのうち5,000億円を電池関連に投資する計画です。
研究開発への投資は、電動化、バイオガスなどのカーボンニュートラル領域や自動運転などに2兆円、また、バッテリーEV工場の建設や再生可能エネルギー設備などの設備投資に2.5兆円を計画しています。

2023年度~2030年度の資源投入

Topicsスズキ、カナダInmotive社と電気自動車向け二段変速機の共同開発に合意

スズキ株式会社(以下、スズキ)は、Inmotive Inc.(本社:カナダ オンタリオ州、CEO: Paul Bottero、以下「Inmotive社」)と、電気自動車(EV)向け二段変速機の共同開発契約を締結しました。
Inmotive社は、2010年にカナダトロント市で設立されたスタートアップ企業です。EV向け電動駆動ユニットの性能向上に寄与する独自設計の軽量・小型・高効率な二段変速機“IngearTM”を開発しています。「手頃なゼロエミッションモビリティの世界的な発展を加速させ、気候変動の緩和に重要な役割を果たすこと」をビジョンに掲げています。
このたび、合意したEV向け二段変速機の共同開発は、効率良いモーター駆動による航続距離の延長、電動駆動ユニットの小型化によるコスト抑制、幅広い走行シーンでの走行性能の改善などにつながる可能性があると考えています。
スズキは、さまざまな分野で特徴のある技術を持つ企業との関係を構築し、必要な技術開発を加速させ、これからも手頃で使いやすいモビリティをお客様に提供することを目指していきます。

Inmotive社概要

会社名 Inmotive Inc.(インモーティブ社)
本社 カナダ オンタリオ州トロント市
代表者(CEO) Paul Bottero
創立 2010年
事業概要 電気自動車向け二段変速機の開発
URL https://www.inmotive.com/

Topicsスズキ、豪州Applied EVと自動運転可能な電動台車の共同開発に合意

スズキ株式会社(以下、スズキ)は、Applied Electric Vehicles Ltd(本社:オーストラリア ビクトリア州、CEO:Julian Broadbent、以下「Applied EV」)と自動運転可能な電動台車の開発に関する覚書を締結しました。
Applied EVは、自動運転向けの電動化やソフトウェアなどの技術に強みを持つオーストラリアのスタートアップ企業です。スズキは2021年9月に基本合意書を締結、2022年に出資し、協業の検討を進めてきました。
今回合意した共同開発において、スズキの四輪駆動車「ジムニー」のラダーフレームをベースに、Applied EVの自動運転車両プラットフォーム「Blanc RobotTM」(ブランクロボット)を、統合制御システム「Digital BackboneTM」(デジタルバックボーン)で制御する電動台車の開発を行います。また、電動台車の生産および普及に向けたビジネスモデルの開発や、ブランド力の向上に取り組みます。

Applied Electric Vehicles Ltd概要

本社 オーストラリア ビクトリア州メルボルン市
本社 モビリティ分野のソフトウェアの開発・提供
代表者(CEO) Julian Broadbent
創立 2015年
URL https://www.appliedev.com/

Applied EVの「Blanc RobotTM」の試作車

Topicsスズキ、電動スクーター「e-BURGMAN」を使用した実証実験を東京都内で実施

スズキ株式会社(以下、スズキ)は、電動二輪車用交換式バッテリーコンソーシアムで標準化(共通仕様)されたバッテリー(以下、「交換式バッテリー」)および株式会社Gachaco(CEO渡辺一成以下、「Gachaco(ガチャコ)」)が提供する交換式バッテリーシェアリングサービスを使用した電動スクーターの実証実験を2023年4月より東京都内で実施しました。
今回の実証実験は、交換式バッテリーを用いた原付二種の電動スクーターに対する評価および改善要望を把握することを目的とし、東京都城南エリア(目黒区、品川区、大田区、港区)のGachaco交換式バッテリーステーションが設置されている地域を中心に行いました。
スズキは、今回の実証実験を通じて、通勤・通学や買物など生活や仕事の足として利用される二輪車に必要なデータを収集し、今後の電動二輪車開発につなげます。

実証実験用電動スクーター「e-BURGMAN」

実証実験の概要(予定内容を含む)

実験期間 2023年4月から6月
実験地域 東京都城南エリア(Gachaco交換式バッテリーステーション周辺地域)
使用拠点 スズキワールド世田谷南(株式会社スズキ二輪直営販売店)
使用車両 実証実験用電動スクーター「e-BURGMAN」(原付二種)
車両諸元
全長×全幅×全高1825mm×765mm×1140mm
シート高 780mm
車両重量 147kg
定格出力 0.98kW
最高出力 4.0kW
最大トルク 18Nm
原動機種類 交流同期電動機
バッテリー種類 リチウムイオン電池
航続距離 44km(60km/h定地走行)※スズキ社内テスト値
使用台数 8台
使用者 株式会社スズキ二輪関係者および、同社を通じて募集する二輪車を使用されるお客様

Topics水素小型モビリティ・エンジン技術研究組合(HySE)の設⽴認可を取得
-脱炭素社会の実現に向け、水素小型エンジンの開発と普及に向けた研究活動を開始-

カワサキモータース株式会社(以下、カワサキモータース)、スズキ株式会社(以下、スズキ)、本田技研工業株式会社(以下、Honda)、ヤマハ発動機株式会社(以下、ヤマハ発動機)の4社は、5月11日、小型モビリティ※1向け水素エンジンの基礎研究を目的とした「水素小型モビリティ・エンジン技術研究組合(HySE:Hydrogen Small mobility & Engine technology)」の設⽴に向け、経済産業省の認可を得ました。
脱炭素社会の実現に向け、モビリティの分野では一つのエネルギーだけではなく、マルチパスウェイでの取り組みが求められています。その中で次世代エネルギーとして注目される水素を使ったエンジンを搭載したモビリティの実用化に向けた研究開発が加速しています。水素には燃焼速度の速さに加え、着⽕領域の広さから燃焼が不安定になりやすいこと、また、小型モビリティでの利用にあたっては燃料搭載スペースが狭いなどといった技術的な課題があります。HySEではこれらの課題解決に向けて、これまでガソリン燃料を用いたエンジンの開発において各社が培った知⾒や技術をもとに、連携して小型モビリティ用水素エンジンの設計指針の確⽴も含めた基礎研究に取り組みます。
HySEは小型モビリティの分野において、協調して取り組みを進め、利用者にとってさまざまな選択肢を提案することで異なるニーズに応えると同時に、脱炭素社会に向けて貢献することを目指します。
なお、HySEには正組合員である⼆輪メーカー4社に加え、特別組合員として、川崎重工業株式会社(以下、川崎重工)とトヨタ⾃動⾞株式会社(以下、トヨタ)が参画します。川崎重工は、技術研究組合CO2フリー水素サプライチェーン推進機構(HySTRA)の主幹事として有するノウハウをもってHySEの運営を推進します。またトヨタは、四輪⾞用大型水素パワーユニットの実験や解析、設計などのノウハウをもって、HySEの研究成果の最大化を推進します。

主な研究開発の内容および役割分担

  • 水素エンジンの研究
    水素エンジンのモデルベース開発の研究(Honda)
    機能・性能・信頼性に関する要素研究(スズキ)
    機能・性能・信頼性に関する実機研究(ヤマハ発動機、カワサキモータース)
  • 水素充填システム検討
    水素充填系統および水素タンクの小型モビリティ向け要求検討(ヤマハ発動機)
  • 燃料供給系統システム検討
    燃料供給システムおよびタンクに付随する機器、タンクからインジェクタ間に配置する機
    器の検討(カワサキモータース)

HySEの概要(予定)

名称 水素小型モビリティ・エンジン技術研究組合
(HySE: Hydrogen Small mobility & Engine technology)
所在地 東京都中央区八重洲2丁目2番1号八重洲セントラルタワー
理事⻑候補 小松 賢⼆(ヤマハ発動機 執⾏役員)
組合員候補 正組合員︓カワサキモータース、スズキ、Honda、ヤマハ発動機
特別組合員︓川崎重工、トヨタ
設⽴時期 2023年6月予定
  • ※1.⼆輪、軽四輪・小型船舶・建設機械・ドローンなど

自動車用電池インド国内生産の取り組み

インドでは環境への対応が重要な課題となっており、お客様がお求めやすい電動車の普及が必要です。スズキは株式会社東芝、株式会社デンソーと3社による自動車用リチウムイオン電池製造会社「TDSリチウムイオンバッテリーグジャラート社(TDSG)」を設立し、グジャラート州のスズキ・モーター・グジャラート社(SMG)の四輪工場に隣接するサプライヤーパークに、インド初となる自動車用リチウムイオン電池セル及びパックの生産工場を建設しました。2021年から生産を開始し、マルチ・スズキ・インディア社をはじめとしたインド国内外のスズキ車両工場に供給しています。
また、同工場ではカーボンニュートラルに対する取り組みの一環として屋上に設置した太陽光パネルにより発電を行い、必要な電力の一部を賄っています。
今後、グジャラート州での電池生産を拡大し、インド国内でのリチウムイオン電池の安定供給を実現、電動車(HEV、EV)の普及を進めることで、インドの環境改善及び持続的な発展に貢献していきます。

※HEVはHybrid Electric Vehicleの略

Topicsスズキ、株式会社パワーエックスと協業について検討を開始
-蓄電池を通じてカーボンニュートラル社会実現への貢献を目指す-

スズキ株式会社(以下、スズキ)は、蓄電池の製造・販売を展開する株式会社パワーエックス(本社:東京都港区、取締役兼代表執行役社長CEO:伊藤正裕、以下「パワーエックス」)と協業の可能性を検討することに合意しました。
日本とインドでは、脱化石燃料と再生可能エネルギー活用によるカーボンニュートラルの実現や、エネルギーの自給率向上といった大きな課題があります。また、今後の電気自動車(EV)普及を促進するために充電ソリューションが必要とされています。
スズキとパワーエックスは、日本とインドにおける蓄電池と超急速EV充電器を活用した事業に関する協業の可能性を検討することに合意、覚書を締結しました。これにより、再生可能エネルギーの利用拡大およびEVの普及を促進し、カーボンニュートラル社会の実現に貢献することを目指していきます。
パワーエックスは、超急速EV充電器用・定置用・家庭用・船舶用蓄電池等の電池製品の製造・販売や、蓄電池を利用したサービスを展開しています。また、日本最大級の蓄電池工場を岡山県に建設しています。
スズキは、製品そのものだけではなく、インフラや使われる仕組みなど、製品を取り巻く環境全体を俯瞰的に捉えて提案していく生活インフラ企業を目指し、具体的な協業内容を検討していきます。

パワーエックス概要

会社名 株式会社パワーエックス(PowerX, Inc.)
URL https://power-x.jp/ja
設立 2021年3月22日
代表者 取締役兼代表執行役社長CEO 伊藤正裕
所在地 東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウン・タワー43階
事業内容 大型蓄電池の製造及び販売、電気運搬船の開発及び製造

製品における取り組み

四輪車

グローバル新車平均CO2排出量※1

  • スズキは気候変動の要因とされるCO2排出量削減のため、新たに「スズキ環境計画2025」において四輪製品を対象とした“グローバル新車平均CO2排出量30%削減(2010年度実績比)”の目標を策定し、引き続き環境保全に取り組んでいます。
  • 2022年度の実績は2010年度実績比で25.8%の削減となりました。
  • 「スズキ環境計画2025」推進にて、より一層の電動化技術の開発と普及を進め、「環境ビジョン2050」達成にてCO2排出量削減に貢献することを目指します。

グローバル新車平均CO2排出量の削減率推移

※1:グローバル新車平均CO2排出量は各国で定められた測定方法で計測したCO2排出量(燃費値)に基づき社内規程の方法にて計算しています。
グローバル新車
スズキ販売の全世界新車を対象
CO2排出量
Well to Wheelを考慮

主要市場における平均CO2削減状況

日本の平均CO2削減状況※2(乗用車)

インドの平均CO2削減状況

欧州の平均CO2削減状況

※2:10.15モード及びWLTCモードのCO2排出量をJC08モードに換算

【日本】
2022年度は「エスクード」、「ソリオ」のハイブリッド仕様によるCO2削減に取り組んだものの、生産調整の影響から昨年と同等の削減率に留まりました。

【インド】
「エルティガ」、「バレーノ」のCNG仕様の追加、「アルト」、「エスプレッソ」、「イーコ」、「プレッツァ」への新型エンジンの搭載が貢献し、2021年度に対して2%低減しました。

【欧州】
ビターラの燃費向上により、2021年に対して2%低減しました。

主な燃費向上技術

燃費向上技術 概要 主な2022年度販売車
ハイブリッドシステム ハイブリッドシステム コンパクトなシステムで、モーターアシストやEV走行を実現し、低燃費と力強い走りを両立したシステム。
https://www.suzuki.co.jp/car/technology/hybrid/
マイルドハイブリッドシステム 減速時のエネルギーを利用して発電し、加速時には、その電力を活かしてエンジンをアシストすることで低燃費を実現するシステム。
https://www.suzuki.co.jp/car/technology/mildhybrid/
エネチャージ 減速時に発生するエネルギーを利用してオルタネーター(発電機)で発電し、鉛バッテリーとリチウムイオンバッテリーに充電。その電力を電装品に供給することで、低燃費を実現するシステム。
https://www.suzuki.co.jp/car/technology/ene-charge/
低燃費エンジン デュアルジェットエンジン 1気筒あたり2つのインジェクターを採用して、混合気の均質化により熱効率を高めて動力性能・環境性能を両立したエンジン。
主なエンジン:K12D型エンジン、R06D型エンジン
https://www.suzuki.co.jp/car/technology/dje/
ブースタージェットエンジン 高出力・高トルクを実現した直噴ターボエンジン。
主なエンジン:K14D型エンジン
https://www.suzuki.co.jp/car/technology/bje/
蓄冷エアコンシステム(エコクール) 空調ユニット内に内蔵した蓄冷材をエアコン使用時の冷気で凍らせ、アイドリングストップ中の送風時でも冷たい風をキープするシステム。
https://www.suzuki.co.jp/car/technology/eco-cool/

アイドリングストップ 所定の車速以下になると自動でエンジンを停止するシステム。
https://www.suzuki.co.jp/car/technology/idling_stop/
HEARTECT(ハーテクト) 主要構造や部品配置を全面刷新し、基本性能の向上と軽量化を実現したプラットフォーム。
https://www.suzuki.co.jp/car/technology/heartect/
TECT 高強度かつ軽量な素材を使用することによって、高い安全性と車重の軽量化を両立し、軽量化によりエンジンの負担を軽減し低燃費な走りに貢献する軽量衝撃吸収ボディー。
https://www.suzuki.co.jp/car/technology/tect/

二輪車

グローバル新車平均CO2排出量

燃焼改善、フリクションロス低減、軽量化等を進め、燃費の向上及びCO2排出量削減に取り組んでいます。
2022年度は13%(2010年度比)の削減を達成しました。

グローバル新車平均CO2排出量の削減推移

主な燃費向上技術

燃費向上技術・取り組み 概要 主な2022年度販売車
パワートレイン SEP-αエンジン エンジンは、燃焼効率を上げ、フリクションロスを低減することにより、パワーを落とすことなく低燃費を実現したSEPエンジンをさらに進化させた。
停止時にエンジンを自動で止めるアイドリングストップシステム、及びエンジンを静かに始動させるサイレントスターターシステムを組み込み、優れた環境性能と、静粛な始動性に貢献。
デュアルスパークテクノロジー 高い燃焼効率により、スムーズな出力特性と高い燃費性能、排出ガス低減に貢献する1気筒あたり2本のスパークプラグを持つ機構。
インジェクションシステム さまざまなコンディションで最適な制御を実現し、パワフルさと高い燃費性能を両立させる6つのセンサー*を搭載したインジェクションシステム。
*O2センサー、水温センサー、吸気温センサー、スロットルポジションセンサー、吸気圧センサー、クランクポジションセンサー
オープンタイプレクチファイア マグネトーが必要最小限の発電を行い、メカニカルロスを低減することで低燃費を実現。
フレームの改良 構成部品の形状及び板厚の適正化。
エコドライブ支援装置 燃費計と燃費の良い運転をひと目で確認することができるエコドライブインジケーターを装備。
LEDヘッドライト
LEDテールランプ
消費電力の削減と長寿命化を目的。

*国内仕様、**海外仕様

船外機

主な燃費向上技術

新型「DF350AMD」

エンジン技術

①リーンバーン(希薄燃焼)制御システム

②高圧縮比化

③オートトリム

  燃費向上技術・取り組み 概要 主な2022年度新販売機種
リーンバーン(希薄燃焼)
制御システム
高効率な燃焼が得られるよう、エンジン出力に応じて希薄な混合気を自動調整し、燃費向上を実現するシステム。
高圧縮比 燃焼室の冷却改善、燃焼室内流入空気温度の低減を行い、圧縮比を上げ、熱効率を向上する取り組み。
オートトリム
エンジン回転数に応じて、トリム角度を自動で調整することにより、より速いトップスピードとより高い燃費性能達成に貢献。

グローバル単位出力あたりCO2排出量

グローバル単位出力あたりCO2排出量の削減推移

新型の燃費の向上

2021年12月に販売開始した新型「DF140B」は、リーンバーン(希薄燃焼)制御システム、エンジンの高圧縮比化の採用等により、従来機種と比較して最大10%の燃費向上を実現しました。

燃費の向上率(従来機種を100とした場合)

  • ※グラフは当社測定データによる比較です。条件(気象・海象・搭載艇の種類、人員等)により異なる場合があります。

その他の取り組み

CNG※1車の取り組み

近年、インドでは地球温暖化や都市部の大気汚染が問題視されています。CNG車の燃料である天然ガスの主成分はメタン(CH4)であり、燃焼時に発生する二酸化炭素(CO2)や窒素酸化物(NOx)の排出量が石油や石炭に比べて少ない※2ため、マルチ・スズキ・インディア社ではCNG車の製造・販売を促進しています。

  • ※1 CNG(Compressed Natural Gas):圧縮天然ガス
  • ※2 出典:一般財団法人日本エネルギー経済研究所「平成26年度石油産業体制等調査研究(昨今の国際情勢等を踏まえた天然ガス利用拡大に関する調査)報告書」、平成27年3月

地球温暖化係数の小さいエアコン冷媒への転換

フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(通称:フロン排出抑制法)に基づき、日本向けに出荷される乗用車用エアコン冷媒は、2023年度以降、地球温暖化係数が小さい冷媒への転換が求められています。
スズキは、今までカーエアコンに使用されてきたHFC-134a冷媒は地球温暖化係数が大きいため、地球温暖化係数が極めて小さいHFO-1234yf冷媒を使用したエアコンを開発し、日本向けに出荷されるすべての乗用車にHFO-1234yf冷媒への転換を2022年度末までに完了しました。

Topicsスズキ、インドでのバイオガス実証事業について3者で合意
-2025年以降4つのバイオガス生産プラントを設置-

スズキ株式会社(以下、スズキ)は、インドのカーボンニュートラルの実現に貢献するバイオガス生産プラントの設置について、スズキ100%出資のSuzuki R&D Center India Private Limitedを通じて、National Dairy Development Board(全国酪農開発機構、以下NDDB)およびアジア最大規模の乳業メーカーであるBanas Dairy社(本社:グジャラート州、以下Banas Dairy)の3者間で合意しました。
2023年9月、インド大使館において、Banas Dairyのチョードリー会長、NDDBのシャア会長兼社長、スズキの鈴木社長により契約締結式が行われました。式典には、日本国駐箚インド共和国大使シビ・ジョージ閣下にご臨席賜り、歓迎と成功祈願のお言葉を頂戴しました。
スズキは2022年12月にNDDBとBanas Dairyの3者で、牛糞が発酵することで発生するバイオガスから自動車用燃料となるメタンを精製する実証事業開始に向けた覚書を締結し、検討を進めてきましたが、今後、グジャラート州バナスカンタ地域において、2025年より順次4つのバイオガス生産プラントを設置していきます。4プラント合計の投資額は23億インドルピー(日本円で約40億円)を予定しています。また、各プラントにはバイオガス充填スタンドを併設し、インドでマルチ・スズキ・インディア社が7割以上のシェアを有するCNG仕様車の燃料として販売します。
鈴木社長は「スズキは、各国・各地域の情勢に適した方法で温室効果ガス削減に取り組んでいます。インドにおいても、削減効果の高いバイオガスに期待が寄せられており、バイオガス生産事業への積極的な取り組みを通じてカーボンニュートラルの実現に貢献していきます。」と述べています。

事業活動における取り組み

生産における取り組み

CO2排出量の削減

地球温暖化の抑制に向けて温室効果ガス削減のための新たな国際枠組み「パリ協定」が発効され、世界の平均気温上昇を「2℃未満」に抑える目標の達成を目指した温室効果ガス排出量低減の取り組みが、グローバルで各国政府や各企業により進められています。
スズキは温室効果ガス排出量を削減していく上で、工場でのCO2排出量削減をグローバルで進めることが重要であると考え、「スズキ環境計画2025」において、生産活動におけるスズキグローバル生産台数(四輪生産台数)あたりのCO2排出量を2025年度までに2016年度に対し25%削減することを目標として取り組みを進めています。
生産活動における2022年度のCO2総排出量は、スズキグローバル全体では1,004千t-CO2/年、国内では321千t-CO2/年、海外では683千t-CO2/ 年となりました。生産台数あたりのCO2排出量は0.313t-CO2/台となりました。
削減の取り組みとして、省エネやムダ取りなどの改善活動に加え、国内外で太陽光発電の拡大やCO2フリー電力の購入を進めています。
今後ともエネルギーの使用の効率化を一層推進し、原単位削減に取り組んでいきます。

グローバルCO2排出量実績

【集計対象範囲】
スズキ(磐田工場、湖西工場、大須賀工場、相良工場、浜松工場、旧高塚工場(2018年7月まで)、旧豊川工場(2018年7月まで))、国内製造子会社4社、海外製造子会社15社

【CO2換算係数について】
燃料(都市ガスを除く)はIPCC_2006ガイドライン、都市ガスは中部ガス公表値による電力は、国内は温対法(電力会社公表値のうち基礎排出係数)、海外はIEA2021版2010~2019各年値による

工場別CO2排出量

  CO2排出量(千t-CO2
磐田工場 28.1
湖西工場 91.4
大須賀工場 35.8
相良工場 78.1
浜松工場 7.4

工場の省エネ活動

日常的な活動として、エア漏れ削減や休み時間の消灯、工場非稼働時の電源OFF等の地道な活動も全員参加で取り組み、毎年着実な成果を上げています。
老朽化した生産設備の更新時や、新機種生産のための新規設備導入時には、重力の利用や設備の小型軽量化、LED照明、トップランナー機器(モーター、変圧器)の高効率機器の採用により、従来よりも省エネ化された工場づくりを進めています。
また、スズキのCO2削減の取り組みのひとつとして、大須賀工場や湖西工場ではLPGから都市ガスへの燃料転換のように、供給エネルギーの見直しを実施していて、今後も磐田工場や相良工場への展開も進めていきます。
国内・海外工場のCO2削減量と対策項目別の削減量を右に示します。

グローバル対策項目別CO2削減量

【集計対象範囲】
スズキ(磐田工場、湖西工場、大須賀工場、相良工場、浜松工場、旧高塚工場(2018年7月まで)、旧豊川工場(2018年7月まで))、海外製造子会社15社

再生可能エネルギーの推進

地球温暖化対策の一環として、再生可能エネルギーの推進を行っています。
従来より国内工場では太陽光発電の設置を進めており、相良工場隣接地(牧之原)、浜松舞阪西太陽光発電所、浜松工場で導入し、2021年には磐田工場、2022年には湖西工場でも太陽光発電を一部開始し、今後も工場への設置を計画しています。
また、湖西工場に2基、研修センターに1基風力発電設備を導入しています。
海外工場ではマルチ・スズキ・インディア社、スズキ・モーター・グジャラート社、スズキ・モーターサイクル・インディア社等で太陽光発電設備を導入し拡大を進めています。
今後も国内外を問わず、再生可能エネルギーの積極的な利用を進めていきます。

再生可能エネルギーCO2削減量

再生可能エネルギー発電量

  発電量(MWh)
太陽光発電(牧之原、浜松工場、舞阪、磐田工場、湖西工場) 40,561
太陽光発電(マルチ・スズキ・インディア社、スズキ・モーター・グジャラート社等) 30,941
風力発電(湖西工場、研修センター) 1,404
小水力発電(湖西工場) 68

Topicsスズキ、本社および国内工場等に再生可能エネルギー由来のCO2フリー電気を導入

スズキ株式会社(以下、スズキ)は、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みとして、静岡県内にある本社及び工場等で使用する電力について、再生可能エネルギー由来のCO2フリー電気「静岡Greenでんき」を7月から順次導入しました。
これにより、静岡県内のスズキの拠点はすべてCO2フリー電気を使用するため、電力使用によるCO2排出量はゼロとなります。
また、スズキグループ企業(下表参照)においてもCO2フリー電気を導入しました。スズキは、政府が掲げる達成目標時期に基づき、2050年のカーボンニュートラルの達成を目指しています。
CO2フリー電気導入後も、引き続き電気、ガス等、事業活動で使用するエネルギー使用量の削減を精力的に進めるとともに、再生可能エネルギーへの転換を推進し、カーボンニュートラルを進めていきます。
今後も、国内の他拠点や、海外拠点を含めたグループ全体でカーボンニュートラルに取り組み、持続可能な社会の実現とともに、持続的な企業価値の拡大を追求していきます。

※水力発電や太陽光発電等に由来する環境価値を活用することで、実質的に再生可能エネルギー100%とした電気。
静岡県内に立地する水力発電所等の再生可能エネルギー由来の環境価値や地産価値を活用し、静岡県産のCO2排出量ゼロの電気として供給する中部電力ミライズ株式会社のサービスです。

CO2フリー電気 主な導入施設

スズキ 本社、湖西工場、磐田工場、相良工場、大須賀工場、浜松工場(二輪工場、二輪技術センター)、部品工場、金型工場、マリン技術センター、竜洋コース、相良コース
スズキグループ企業 株式会社スズキ部品製造 浜松工場、株式会社スニック 湖西工場、竜洋パイプ工場、磐田パイプ課、相良工場、株式会社スズキ納整センター 湖西・相良

CO2フリー電気 活用イメージ

オフィス活動等における取り組み

データセンターにおける取り組み

年々増加していくデータセンターの消費電力量を低減するため、省エネ設備の導入を推進しています。

省エネ設備への転換と冷却効率の改善

サーバー室内の空調機を2017年より計画的に順次インバーター式など高効率モデルへと移行し、2022年に全空調設備の更新が完了しました。これにより、更新前2017年比で2022年は年間96万kWh削減しました(空調設備消費電力40%強の削減)。
2023年にはサーバー廃熱と空調冷気を物理的に隔離するコンテイメントを新たに施工、また、既設の無停電電源装置を電力損失の小さいものへと更新し、合わせて年間22万kWhの削減を見込んでいます。

オフィスにおける取り組み

2008年度に社員の行動基準を定め、全社員一丸となってオフィスの省エネルギーやCO2排出量削減を推進しています。

社員の行動基準

多方面にわたる行動基準(「内なるコストダウン」活動行動基準)を定め、社員一人ひとりが省エネルギー(CO2削減)を推進しています。

「内なるコストダウン」活動 行動基準(抜粋)

  • ①空調機設定温度(冷房は28℃に、暖房は20℃)の遵守
  • ②不要照明の消灯徹底
  • ③電化製品の省エネの徹底
  • ④エコドライブの実施
  • ⑤帳票の電子化、電子化文書のプリントアウト制限等による印刷の削減等

省エネ設備の導入

オフィスの省エネ推進のため、2012年度よりLED照明の導入を進めています。現在までに、オフィス照明の約80%までLED化が進んでいます。

その他の取り組み

ITを用いた移動の削減

TV会議システム、Web会議システム、リモートワーク環境を積極的に利用し、移動によるエネルギー消費量の削減に取り組んでいます。
パートナー企業用のリモートワーク環境を拡充し、パートナー企業の方々がスズキへ出勤しなくても業務に従事できるようにすることでPCやエアコンなどによるエネルギー消費を削減しました。
移動人数の削減:月間利用人数4,779人、稼働日1日あたり平均人数208人

※2023年3月の実績に基づく

エコドライブの推進

2007年度より、環境教育時の一項目として、エコドライブ教育を行っていましたが、2009年度より、本社及び各工場・事業所でエコドライブに的を絞ったエコドライブ講習会を随時開催し、2023年3月までに、延べ15,122名が受講しました。

非製造会社・販売会社における取り組み

国内の非製造会社4社、販売会社56社では、「地球温暖化の抑制に向け、節電や省エネ設備の導入などによる省エネ活動を積極的に推進する」を共通の環境目標として、事業活動における省エネに取り組んでいます。また、直営国内販売代理店54社で環境管理システムを導入。PDCAサイクルによる省エネ、節水、廃棄物削減や環境法令遵守に向けた取り組みを行っています。

目標

地球温暖化の抑制に向け、節電や省エネ設備の導入などによる省エネ活動を積極的に推進する

  • ※非製造会社4社:スズキ輸送梱包株式会社、株式会社スズキ納整センター、株式会社スズキビジネス、株式会社スズキエンジニアリング
    販売会社56社:株式会社スズキ自販東京など直営国内販売代理店54社、株式会社スズキ二輪、株式会社スズキマリン

日本国内販売代理店

省エネルギーの推進

日頃より、店舗内の空調・照明・情報機器の効率使用や連絡車・営業車を使用した店舗間やお取引先様への移動でエコドライブを行う等、省エネルギーを意識して積極的に取り組んでいます。

Cool bizの推進
株式会社スズキ自販沖縄

電気使用量の可視化
株式会社スズキ自販沖縄

ITを利用した取り組み

お客様との商談や従業員間のコミュニケーションのツールとしてインターネット等のITを利用しています。お客様や従業員の時間の有効活用や移動による負担を軽減するとともに、エネルギー使用量の削減やCO2削減に努めています。

Web営業所の設置
株式会社スズキ自販東海

オンライン商談
株式会社スズキ自販鹿児島

環境にやさしい店舗設計

LED照明機器や高効率空調等省エネ機器の店舗への設置を推進しています。一部の店舗には、屋上の緑化や太陽光発電パネルを設置する等、環境にやさしい店舗づくりに取り組んでいます。

太陽光発電施設の設置
株式会社スズキ自販島根

屋上緑化
株式会社スズキ自販滋賀

サプライチェーン等における取り組み

調達における取り組み

カーボンニュートラルに向けたサプライチェーンとの取り組み

2050年カーボンニュートラル(CO2排出量実質ゼロ)を達成するには、製造時に発生するCO2排出量のうち、約9割を占めるサプライチェーンにおけるCO2排出量削減の取り組みが不可欠です。
スズキでは、2021年よりサプライチェーンにおけるカーボンニュートラルに向けた活動を開始し、2022年からは専門部署を設け、CO2排出量の詳細把握のため、お取引先様別の年度別算出及び部品別算出を実施しています。
また、2050年のカーボンニュートラル達成に向けて、お取引先様に2030年におけるCO2排出量削減目標及びロードマップを作成いただき、削減アイテムの実現性の確認など「減らす活動」を開始しました。製造現場を訪問し、取り組み改善事例の現場確認、スズキの目標・改善事例の紹介、課題の抽出、困りごとの聴き取りなど、お取引先様と協力して活動を進めています。

お取引先様との環境保全の取り組み推進

お取引先様における水リスク情報の把握(国内)

スズキは、購買金額の多い国内のお取引先様に対し、毎年水リスクに関する情報を調査しています。当調査により、お取引先様の水消費量の推移、水リスクの評価状況などを把握しています。2022年度の調査では自社の洪水・渇水などの物理的リスクを評価しているお取引先様は85%、水使用にかかる規制や自社の評判等の規制・評判リスクを評価しているお取引先様は78%でした。今後もこの取り組みを継続的に実施するとともに、順次海外のお取引先様にも拡大していきます。

国内輸送における取り組み

国内輸送におけるCO2排出量の削減活動として、輸送距離の短縮、輸送の効率化、モーダルシフト、輸送車両の燃費の向上等に努めています。
2022年度のCO2排出量は、2016年度に対し4%減、前年に対して9%増となる37,694t-CO2となりました。
また、売上高あたりのCO2排出量は、2016年度に対して、28%の改善となりました。

国内輸送におけるCO2排出量の推移

トラック輸送の一部を鉄道輸送にモーダルシフト

工場から遠い輸送拠点への貨物輸送の定期便の一部を、トラック輸送から輸送エネルギー効率が高い鉄道輸送へモーダルシフトすることでCO2排出量を削減しました。

トラック輸送の一部を船舶輸送にモーダルシフト

2022年12月にスズキ部品センター苫小牧を新設し稼働を開始しました。従来の北海道への部品・用品の輸送を見直し、輸送を集約するため新たな輸送拠点を開設することで、部品工場(静岡県湖西市)から苫小牧への輸送距離の約8割を海上輸送へモーダルシフトし、CO2排出量を約73%削減しました。

Topicsスズキ、モーダルシフトを推進し、CO2排出量を削減

スズキ株式会社(以下、スズキ)は、部品・用品の輸送におけるCO2排出量を削減するため、鉄道輸送用31ft(フィート)コンテナを新たに導入しました。コンテナはスズキが所有し、スズキ部品センター福岡向けの輸送に利用します。
従来、スズキ部品センター福岡への部品・用品の輸送は大型トラックや鉄道輸送用12ftコンテナで輸送していました。
大型トラック輸送は鉄道輸送と比べてCO2排出量が多いこと、鉄道輸送用12ftコンテナは大型トラックに比べて積載量が少ないなど課題がありました。
このたび鉄道輸送用31ftコンテナを導入することで、鉄道輸送を定常化するとともに積載量を確保し、大型トラック輸送と比較してCO2排出量を約80%削減できます。
また、スズキは2022年12月にスズキ部品センター苫小牧を新設し稼働開始しました。
従来の北海道への部品・用品の輸送を見直し、部品工場(静岡県湖西市)から苫小牧への輸送距離の約8割を海上輸送とすることで、CO2排出量を約73%削減しています。
スズキ部品センターは、スズキ四輪車の純正部品・用品の供給を行うスズキが管理・運営する広域部品センターです。
広域部品センターは、現在日本全国6ヵ所にあり、そこから各都道府県の代理店・販売店へ素早く部品・用品を供給しています。部品・用品の即納性を強化することで顧客満足度の向上を図るとともに、代理店・販売店でのサービス業務の効率化を図っています。
スズキは、2050年でのカーボンニュートラル実現を目指し、モーダルシフトを推進することで、CO2排出量を削減していきます。

<ご参考>部品輸送におけるその他の取り組み

KD梱包用資材の改善

海外向け自動車用シート輸送固定材において、従来のスチール材から段ボールに変更することで、製造時におけるCO2排出量を約91%削減しました。
この取り組みは、「2022日本パッケージングコンテスト」における最高位「経済産業大臣賞」を受賞しています。また、世界包装機構(WPO:World Packaging Organisation)主催の「ワールドスターコンテスト2022」において、「ワールドスター賞」を受賞しました。

鉄道輸送用31ft コンテナ

レポート目次

ESGインデックス