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企業情報 > サステナビリティ > 【E】環境への取り組み / 気候変動
  スズキ環境ビジョン2050 マイルストーン2030
気候変動 製品CO2 2050年までに、Well to Wheelで新車四輪車が排出するCO2「2010年度比90%削減」を目指す。 2030年までに、Well to Wheelで新車四輪車が排出するCO2「2010年度比40%削減」を目指す。
事業活動CO2 2050年までに、事業活動から生じるCO2を販売台数あたり原単位で「2016年度比80%削減」を目指す。 2030年までに、事業活動から生じるCO2を販売台数あたり原単位で「2016年度比45%削減」を目指す。

基本的な考え方

昨今、地球温暖化が要因とされる異常気象が頻発しています。こうした気候変動の影響を抑えるために、世界の平均気温上昇を産業革命以前から2℃未満に抑えることを目的に、今世紀後半に温室効果ガス排出の実質ゼロを目指す「パリ協定」が採択されました。スズキは以前から、「小・少・軽・短・美」の理念に沿って、CO2排出の少ない製品を少ないCO2排出で作り続けてきましたが、いわゆる1.5℃目標の達成に向けて、より一層のCO2削減に努めなければならないという課題意識のもと、スズキは、気候科学と整合した削減目標を掲げ、取り組みを推進していきます。

カーボンニュートラル達成目標

日本欧州────2050年

インド────2070年

スズキは、各国政府が掲げる達成目標時期に基づき、日本・欧州で2050年、インドでは2070年のカーボンニュートラルの達成を目指します。
これからもお客様の選択肢を広げ、地域のニーズに合った製品・サービスをお届けするとの考え方を軸に、地域ごとのカーボンニュートラル目標達成に取り組みます。

TCFD提言に基づく開示

ガバナンス

気候関連のリスクと機会に関する組織体制

スズキは、グループ全体の環境管理を目的として、取締役会直下に経営・業務執行会議である「カーボンニュートラル推進会議」「環境委員会」と、「コーポレートガバナンス委員会」を設置しています。
取締役会は「カーボンニュートラル推進会議」「環境委員会」及び「コーポレートガバナンス委員会」に対して指示・監督を行うとともに、両会議体からの報告を受け最終的な意思決定を行います。
「カーボンニュートラル推進会議」は気候変動(カーボンニュートラル)にテーマを絞り、より機動的に会議運営ができるように毎月1回、脱炭素に向けた集中審議を行っています。「環境委員会」は、カーボンニュートラル以外の環境問題、すなわち大気保全、水資源、資源循環などをテーマに年2回開催しています。
「コーポレートガバナンス委員会」は、コンプライアンスの徹底やリスク管理等に関する事項を検討し、関係部門と連携しながら組織横断的な課題への対策や施策を推進しています。
三つの会議体のテーマを明確に分けることで会議の実効性を高め、脱炭素に向けた意思決定を一層加速させています。

  • ※従来は環境委員会の下に設置した小員会で気候変動に関する審議を行っていましたが、2023年4月より「カーボンニュートラル推進会議」に改編し、経営・業務執行会議のひとつとして発展させました。

■ TCFD提言に基づく開示・ガバナンス

(2024年4月現在)

戦略

TCFD提言への対応

2020年4月に「TCFD」の趣旨に賛同・署名しました。ステークホルダーに分かりやすい情報開示を進めるとともに、気候変動に対する強靭性をより強化するため、シナリオ分析の高度化や開示情報の充実化に努めていきます。

  • ※気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD):Task Force on Climate-related Financial Disclosuresの略。2015年に金融市場の安定化を図る国際的組織である金融安定理事会(FSB)が設立。

気候関連リスクと機会、シナリオ分析

当社は、持続可能な事業活動を進めるために事業リスクや機会の特定を進めています。特に、気候変動の影響は根源的に不確実であるため、将来を幅広に捉えた上でリスク・機会の影響度を評価し、適切に対応することが重要であると認識しています。
この認識のもと、気候変動の物理影響が顕著になる「4℃シナリオ」と、パリ協定の実現に向けて気候変動対策が加速する「1.5℃/2℃シナリオ」の2つのシナリオを想定し、リスクと機会の影響の差異を評価しました。シナリオの想定にあたっては、IEA※1やIPCC※2等の科学知見に基づく、外部シナリオを参照しました。

  • ※1 IEA:International Energy Agencyの略。国際エネルギー機関。
  • ※2 IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Changeの略。気候変動に関する政府間パネル。

スズキの気候関連リスクと機会

気候変動の緩和策として、排出ガスやCO2・燃費規制などさまざまな法規制の強化が進められる中、これらの規制を遵守するための開発費用の負担増加は当社の業績に大きな影響を与える可能性があります。一方で、当社が得意とする「小さなクルマ」は、生産に必要な材料やエネルギーが少なく、また使用時のCO2排出量も抑えることができます。こうした当社独自の強みを活かし、リスクに適切に対処していくことで機会の創出につなげていくことができると考えます。
また昨年度から、すでに開示している気候変動に伴うシナリオ分析をベースとした財務インパクト分析に着手しました。気温上昇による台風や洪水、高潮など自然災害リスクの影響度をグローバルベースで評価し、リスクの低減や回避、事業継続につなげることを目的とした取り組みです。まずは国内およびインドの自社拠点に加えて国内1次取引先様の影響度評価を実施しました。
気候変動によるリスクの低減や回避、将来の機会獲得や競争力強化に向けて、今後も引き続き十分な検討を重ね、事業戦略への反映を進めていきます。

■ 当社の気候関連リスクの一覧とシナリオ別の影響差異

主なリスク項目(想定される影響の例)※下線は特に重要度の高いリスク 影響の差異
4℃上昇 1.5℃/2℃
移行
リスク
政策規制
技術
①自動車のCO2・燃費規制の強化(罰金発生や販売機会の逸失 等)
現状
拡大
②炭素税等の導入・強化(操業コストの増加 等)
現状
拡大
評判 ③消費者の嗜好、投資家行動の変化(企業価値の低下 等)
現状
拡大
物理
リスク
慢性 ④平均気温の上昇(エネルギーコストの増加 等)
拡大
現状
⑤水資源リスクの変化(サプライチェーンの停滞や生産コストの増加 等)
拡大
現状
急性 ⑥自然災害の頻発・激甚化(事業拠点の被災、事業活動の停止 等)
拡大
現状

■ 特に重要なリスク項目の詳細と創出機会、当社の対応状況

  リスク 機会 スズキの対応状況

自動車のCO2・燃費規制の強化
  • カーボンニュートラル技術(電動化等)・コストの対応遅れによる市場シェア消失
  • カーボンニュートラル技術の開発投資の増加
  • カーボンニュートラル技術の生産設備投資(電池等)の増加
  • 規制未達による罰金発生や販売機会の逸失
  • ライフサイクルでCO2排出が少ない「小さなクルマ」による競争力の維持・強化、企業価値の向上
  • お求めやすい電動車及びカーボンニュートラル燃料対応車の開発による販売機会の獲得
  • インドや新興国で電動化及びカーボンニュートラル燃料対応を牽引することによる、サステナブルな経済発展への貢献
  • 電動化技術を集中的に開発、ハイブリッドシステムの搭載拡大、軽自動車EV・小型車EVの開発の推進
  • インドの電動化の推進(電動車市場投入、電池工場投資等)
  • トヨタとの提携の深化
  • インドでバイオガス実証事業を開始
    バイオガス生産プラントの設置についてNDDB、BanasDairy社、スズキ(SRDI)の3者で合意
    2025年より順次4つのバイオガス生産プラントを設置予定

炭素税等の導入・強化
  • カーボンニュートラル技術を実装した生産設備投資の増加
  • 炭素税や排出枠取引、国境炭素調整措置等による操業コストの増加
  • 「小・少・軽・短・美」の特長を活かした省エネ技術をグループ・お取引先様へ展開
  • インドや新興国で再生可能エネルギー利用等を牽引することによる、サステナブルな経済発展への貢献
  • 施行中のCO2削減施策の推進
  • カーボンニュートラルなエネルギー創出
  • インドで再生可能エネルギー由来電力を調達
  • 本社および静岡県内工場等に再生可能エネルギー由来のCO2フリー電気「静岡Greenでんき」を導入(静岡県内のスズキ拠点はすべてCO2フリー電気を使用し、電力使用によるCO2排出量はゼロ)

自然災害の頻発・激甚化
  • 事業拠点の被災による事業活動の停止
  • 取引先の被災による部品調達途絶
  • 被災時の電動車をライフラインとして活用することによる需要増加
  • 気候変動に伴うシナリオ分析をベースとした財務インパクト分析に着手
    まずは日本およびインドの自社拠点、国内1次取引様を対象として影響度評価を実施(気温上昇による台風や洪水、高潮など自然災害リスクの影響度をグローバルベースで評価し、リスクの低減や回避、事業継続につなげる)
    影響度評価の結果、リスクが高い拠点については固定資産に対する定量評価を実施
  • 想定浸水深に応じた水災対策の見直し
    影響度評価によって算出した想定浸水深に応じて、移転計画やBCPの見直し、止水板の設置等の対策に着手

リスク管理

リスク管理体制

気候関連のみならず、各部門で発生または認識した課題の審議、ならびに潜在リスクの洗い出し、把握をコーポレートガバナンス委員会で実施しています。環境関連リスクについては、テーマに応じてカーボンニュートラル推進会議や環境委員会で集中検討し、各部門への指示や管理を行っています。

各会議体の扱うテーマ

  • コーポレートガバナンス委員会:
    各部門で発生または認識したリスクを把握し、審議のうえ各部門へ指示を出し解決につなげる。
  • カーボンニュートラル推進会議:
    環境関連リスクのうち、気候変動(カーボンニュートラル)に関するリスクと機会を審議し、解決ならびに推進を行う。
  • 環境委員会:
    水資源や生物多様性等、気候変動以外の環境関連のリスクと機会を審議し、解決ならびに推進を行う。

気候関連想定リスク

気候関連リスクにおいては、気候変動影響を「4℃シナリオ」「1.5℃/2℃シナリオ」の2つのシナリオを想定し、リスクと影響を評価しています。リスクの種類として、政策規制等の「移行リスク」と自然災害等の「物理リスク」の2つの観点からリスクと影響を考察しています。

リスクの種類 想定される影響例
移行リスク 政策規制技術 自動車のCO2・燃料規制の強化による罰金発生や販売機会の逸失 等
炭素税等の導入・強化による操業コストの増加 等
評判 消費者の嗜好、投資家行動の変化による企業価値の低下 等
物理リスク 慢性 平均気温の上昇によるエネルギーコストの上昇 等
水資源リスクの変化によるサプライチェーンの停滞や生産コストの増加 等
急性 自然災害の頻発、激甚化による事業拠点の被災、事業活動の停止 等

指標と目標

基本的な考え方

昨今、地球温暖化が要因とされる異常気象が頻発しています。こうした気候変動の影響を抑えるために、世界の平均気温上昇を産業革命以前から2℃未満に抑えることを目的に、今世紀後半に温室効果ガス排出の実質ゼロを目指す「パリ協定」が採択されました。
スズキは以前から、「小・少・軽・短・美」の理念に沿って、製造時、使用時ともにCO2排出の少ない製品を作り続けてきましたが、いわゆる1.5℃目標の達成に向けて、より一層のCO2削減に努めなければならないという課題意識のもと、気候科学と整合した削減目標を掲げ、取り組みを推進していきます。
また、新興国は気候変動対策だけでなく経済成長との両立を求めています。新興国とともに成長を目指すスズキは、新興国の人々の暮らしを豊かにしつつ、気候変動対策を推進していきます。
スズキでは気候関連の目標と指標を複数設定し、推進ならびに進捗管理しています。
指標にはCO2排出量のほか、気候変動と関連するエネルギー、大気保全、水資源保全等についても設定しています。
指標はターゲットに応じて大きく3つ設定しており、それぞれ目標達成を目指しています。

  • 長期:スズキ環境ビジョン2050
  • 中期:マイルストーン2030
    2030年度に向けた成長戦略
  • 短期:スズキ環境計画2025

指標と目標の詳細はこちらをご参照ください。

製品使用に対する取り組み

バリューチェーン全体が排出する温室効果ガスの開示

スズキは、原材料・部品の購買や製品の製造・販売を通した事業活動に伴い排出される温室効果ガスの低減に向け、温室効果ガス排出量の把握・開示が必要であると考え、事業活動に伴い排出される温室効果ガスだけではなく、バリューチェーン※1全体の温室効果ガス排出量を把握する取り組みを2013年度より行っています。
2023年度にバリューチェーン全体が排出した温室効果ガス排出量10,871万t-CO2のうち10,775万t-CO2がスコープ3(その他の活動に伴う間接排出)※1に相当し、中でも「カテゴリー11スズキが販売した製品の使用」※2による排出量が8,558万t-CO2とバリューチェーン全体の78.7%を占めています。
このことからスズキは、バリューチェーン全体の温室効果ガス排出量を低減させるには製品の使用に伴う排出量を低減させることが重要であると考え、引き続き燃費向上を重視した製品の開発・改良に取り組んでいきます。

  • ※1 バリューチェーン:事業のすべての活動が最終的な価値にどのように貢献するかを、体系化する手法。算定基準である「GHGプロトコル※3」に従って算定されるスコープ1、スコープ2及びスコープ3から構成される。バリューチェーンに含まれる事業活動は、部品や原材料の調達、製造、出荷、販売、お客様サービスや、これらの活動を支えるための管理業務、技術開発業務など。当社では、環境省・経済産業省グリーン・バリューチェーンプラットフォーム※4に2014年度より参加し、算定の取り組みを紹介している。
  • ※2 カテゴリー11の排出量は、当該年度に販売したスズキ製品が将来廃棄されるまでの使用に伴う排出量。
  • ※3 GHGプロトコル:米国の環境シンクタンクWRI(世界資源研究所)と、持続可能な発展を目指す企業連合体であるWBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)を主体とした、GHG(温室効果ガス)の算定・報告基準を開発するための方法。
  • ※4 グリーン・バリューチェーンプラットフォーム:環境省・経済産業省が地球温暖化について国内外の動向・算定方法等さまざまな情報を発信する、バリューチェーンの排出量に関する情報プラットフォーム。
    ホームページhttps://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/index.html

■ 2023年度の温室効果ガス排出量の内訳

バリューチェーン全体が排出した温室効果ガス排出量10,871万t-CO2
【算定範囲】スズキ株式会社、及び国内製造・非製造子会社66社、海外製造・非製造子会社32社
【算定期間】2023年4月〜2024年3月

■ 当社対応のスコープ1・2及びスコープ3各カテゴリーの区分

  • ※ カテゴリー8(リース資産(上流))はスコープ1、2に含めているため除外。カテゴリー10(販売した製品の加工)、カテゴリー13(リース資産(下流))、カテゴリー14(フランチャイズ)、カテゴリー15(投資)は算定対象外につき除外。

バリューチェーン全体が排出する温室効果ガスの開示
スコープ1・2・3

チェック は第三者保証を受けた項目
(単位:万t-CO2

  2021年度 2022年度 2023年度  
バリューチェーン全体(スコープ1・2・3の合計) 9,207 10,370 10,871  
企業活動による直接排出(スコープ1※1 40 42 41  
国内 15 15 15 チェック
海外 25 27 26  
エネルギー起源の間接排出(スコープ2※1 71 72 54  
国内 26 28 11 チェック
海外 45 45 43  
企業活動による排出(スコープ1・2の合計) 111 114 95  
製品の使用による排出(スコープ3_カテゴリー11)※2 7,532 8,270 8,558 チェック
その他の排出(スコープ3_カテゴリー11以外) 1,564 1,986 2,217  
その他の間接排出(スコープ3の合計) 9,096 10,256 10,775  

【2023年度排出量の算定条件・報告規準】

※1《スコープ1・2》
  • 算定範囲
    • -国内:スズキ株式会社、及び国内製造・非製造子会社66社
    • -海外:海外製造・非製造子会社32社
  • 対象ガス:温室効果ガス(二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、ハイドロフルオロカーボン類、パーフルオロカーボン類、六フッ化硫黄、三フッ化窒素の7つのガス)
  • 算定方法:スコープ2は、GHGプロトコルのマーケット基準にて算定。
  • 排出係数
    • -電力:国内は電気事業者別の調整後排出係数(令和4年度実績)、海外はIEA Emissions Factors 2023の2021年値
    • -燃料:国内は算定・報告・公表制度における排出係数(Ver5.0)、海外はIPCCガイドライン2006。なお、都市ガスの単位発熱量は供給会社の公表値。
※2《スコープ3_カテゴリー11》
  • 算定範囲:スズキ株式会社グループ
  • 算定対象製品:四輪車、二輪車、船外機、電動車いす他の自社製品を対象
  • 算定方法概要
    • -当該年度に販売した製品の想定される生涯走行距離に、機種別の排出原単位を乗じて算出。
    • -年間走行距離、使用年数については、主にIEA SMP Model等の公表情報を基に設定。
    • -機種別の排出原単位は、原則として各国規制に基づく認証値を採用し、WTW(Well to Wheel)に換算したものを設定。

スズキグループのエネルギー消費量

(単位:GWh)

  2021年度 2022年度 2023年度
グローバル合計 3,265 3,455 3,475
国内 1,327 1,360 1,377
海外 1,938 2,095 2,098

算定範囲:スズキ株式会社、及び国内製造・非製造子会社66社、海外製造・非製造子会社32社
(拠点内で発電した再生可能エネルギーの消費分を含む)

LCA(ライフサイクルアセスメント)手法を用いた製品のCO2排出量の算出

スズキは、製品の環境への影響を把握するため、走行段階だけではなく原材料の製造から廃車処理までのライフサイクル全体を対象に、具体的な数値で評価することのできるLCA※1の手法を採用しています。このLCAの結果※2を製品開発※3や事業活動に活かすことによって、環境負荷の低減を推進しています。

  • ※1 Life Cycle Assessment 。製品が、原材料の製造から廃棄されるまでの各段階において、環境に与える影響の可能性を算出して全体を評価する手法です。
  • ※2 相対的な環境改善効果を確認するため、評価結果は指数で示しています。
  • ※3 自動車のCO2排出量は走行段階が多くを占めています。スズキでは、走行段階のCO2排出量を削減する研究開発を進めています。例えば新型スペーシアでは、従来型より約9%CO2を削減しています。

■ スズキのLCA評価段階

■ スズキ車のライフサイクル段階別CO2排出量割合

  • ※自動車の生涯走行距離11万km(13年)を、各モードで走行した場合の結果です。
  • ※走行段階では、タイヤやエンジンオイル、バッテリーなどの交換部品の製造を考慮しています。

■ 車種ごとのCO2排出量比率

  • ※自動車の生涯走行距離11万km(13年)をJC08モード、WLTCモードで走行した場合の結果です。
  • ※“ H”はハイブリッド車、“MH”はマイルドハイブリッド車を表しています。

設計・開発における取り組み

次世代車両における取り組み
電気自動車の開発

カーボンニュートラルの実現に向け、世界各国の状況やお客様の使い方に合わせた電気自動車の開発を進めています。2023年10月に日本国内で開催された「Japan Mobility Show2023」において、世界戦略電気自動車第一弾のコンセプトモデル「eVX」に加え、世界初公開の軽ワゴンEV「eWX」、商用軽バンEVの「e EVERY CONCEPT」を公開しました。多様な電気自動車の開発を進め、世界中のお客様に「ワクワクのアンサー」をお届けしていきます。

eVX:スズキのBEV世界戦略車第一弾

eWX:毎日の生活に寄り添う軽ワゴンEV

e EVERY CONCEPT:毎日の“はたらく”に寄り添う商用軽バンEV

二輪車における取り組み

交換式バッテリーを用いた原付二種の電動スクーターe-BURGMANの実証実験を2023年4月から6月まで東京で、2023年7月から9月まで及び2024年1月から3月まで浜松で、2023年10月から12月まで大阪で実施しました。この実証実験を通じて、通勤・通学や買物など生活や仕事の足として利用される二輪車に必要なデータを収集し、今後の電動二輪車開発につなげていきます。

電動スクーターe-BURGMAN

水素エンジンバーグマン

水素は保存・運搬ができることに加え、燃焼してもCO2を排出せず、唯一発生する窒素酸化物も希薄燃焼することで、ほぼ発生が抑えられるなどメリットも多いことから、内燃機関用燃料として、近年とくに注目されています。
スズキは、大型スクーターをベースに水素タンクを搭載し、水素をエンジンの燃料とした試験車両を開発して、二輪車における水素燃料の可能性を検討しています。

船外機における取り組み

湖沼や河川で多く使われる小型船外機を皮切りに2030年までには4モデルを展開し、バッテリーEV比率5%を計画します。
海洋で使われる大型船外機については、カーボンニュートラル燃料での対応を検討しています。

研究開発・設備投資

カーボンニュートラルや先進安全技術の開発のため、2030年度までに研究開発に2兆円、設備投資に2.5兆円、合わせて4.5兆円規模の投資を計画しています。4.5兆円のうち、電動化関連投資に2兆円、そのうち5,000億円を電池関連に投資する計画です。
研究開発への投資は、電動化、バイオガスなどのカーボンニュートラル領域や自動運転などに2兆円、また、バッテリーEV工場の建設や再生可能エネルギー設備などの設備投資に2.5兆円を計画しています。

■ 2023年度~2030年度の資源投入

製品における取り組み

四輪車

グローバル新車平均CO2排出量※1

  • スズキは気候変動の要因とされるCO2排出量削減のため、新たに「スズキ環境計画2025」において四輪製品を対象とした“グローバル新車平均CO2排出量30%削減(2010年度実績比)”の目標を策定し、引き続き環境保全に取り組んでいます。
  • 2023年度の実績は2010年度実績比で27.7%の削減となりました。
  • 「スズキ環境計画2025」推進にて、より一層の電動化技術の開発と普及を進め、「環境ビジョン2050」達成にてCO2排出量削減に貢献することを目指します。
  • ※1:グローバル新車平均CO2排出量は各国で定められた測定方法で計測したCO2排出量(燃費値)に基づき社内規程の方法にて計算しています。
    グローバル新車
    スズキ販売の全世界新車を対象
    CO2排出量
    Well to Wheel を考慮

■ グローバル新車平均CO2排出量の削減率推移

主要市場における平均CO2削減状況

■ 日本の平均CO2削減状況※2(乗用車)

  • ※2:10.15 モード及びWLTC モードのCO2排出量をJC08モードに換算

■ インドの平均CO2削減状況

■ 欧州の平均CO2削減状況

【日本】
2023年度は燃費を向上させた新型「スイフト」、新型「スペーシア」、エブリイのCVT仕様の投入により、2022年度に対して6%低減しました。
【インド】
2023年度は燃費を向上させたフロンクスのCNG仕様、新型「スイフト」及びインビクトのCVT仕様の投入により、2022年度に対して2%低減しました。
【欧州】
2023年は販売構成の変化により、2022年に対して2%増加しました。

主な燃費向上技術

燃費向上技術 概要 主な2023年度販売車
ハイブリッドシステム ハイブリッドシステム コンパクトなシステムで、モーターアシストやEV走行を実現し、低燃費と力強い走りを両立したシステム。
https://www.suzuki.co.jp/car/technology/hybrid/

「ソリオ HYBRID SZ」
マイルドハイブリッドシステム 減速時のエネルギーを利用して発電し、加速時には、その電力を活かしてエンジンをアシストすることで低燃費を実現するシステム。
https://www.suzuki.co.jp/car/technology/mildhybrid/

新型「スイフトHYBRID MZ」
エネチャージ 減速時に発生するエネルギーを利用してオルタネーター(発電機)で発電し、鉛バッテリーとリチウムイオンバッテリーに充電。その電力を電装品に供給することで、低燃費を実現するシステム。
https://www.suzuki.co.jp/car/technology/ene-charge/

「ラパンX」
低燃費エンジン デュアルジェットエンジン 1気筒あたり2つのインジェクターを採用して、混合気の均質化により熱効率を高めて動力性能・環境性能を両立したエンジン。
https://www.suzuki.co.jp/car/technology/dje/

「ブレッツァ ZXI+」
ブースタージェット エンジン 高出力・高トルクを実現した直噴ターボエンジン。
https://www.suzuki.co.jp/car/technology/bje/

「フロンクス Alpha」
蓄冷エアコンシステム(エコクール) 空調ユニット内に内蔵した蓄冷材をエアコン使用時の冷気で凍らせ、アイドリングストップ中の送風時でも冷たい風をキープするシステム。
https://www.suzuki.co.jp/car/technology/eco-cool/


新型「スペーシア HYBRID X」


「ワゴンR スマイル HYBRID Sリミテッド」

アイドリングストップ 所定の車速以下になると自動でエンジンを停止するシステム。
https://www.suzuki.co.jp/car/technology/idling_stop/
HEARTECT(ハーテクト) 主要構造や部品配置を全面刷新し、基本性能の向上と軽量化を実現したプラットフォーム。
https://www.suzuki.co.jp/car/technology/heartect/
TECT 高強度かつ軽量な素材を使用することによって、高い安全性と車重の軽量化を両立し、軽量化によりエンジンの負担を軽減し低燃費な走りに貢献する軽量衝撃吸収ボディー。
https://www.suzuki.co.jp/car/technology/tect/

二輪車

グローバル新車平均CO2排出量

燃焼改善、フリクションロス低減、軽量化等を進め、燃費の向上及びCO2排出量削減に取り組んでいます。
2023年度は14%(2010年度比)の削減を達成しました。

■ グローバル新車平均CO2排出量の削減推移

主な燃費向上技術

燃費向上技術・取り組み 概要 主な2023年度販売車
パワートレイン SEP-αエンジン エンジンは、燃焼効率を上げ、フリクションロスを低減することにより、パワーを落とすことなく低燃費を実現したSEPエンジンをさらに進化させた。
停止時にエンジンを自動で止めるアイドリングストップシステム、及びエンジンを静かに始動させるサイレントスターターシステムを組み込み、優れた環境性能と、静粛な始動性に貢献。

バーグマンストリート125EX
デュアルスパークテクノロジー 高い燃焼効率により、スムーズな出力特性と高い燃費性能、排出ガス低減に貢献する1気筒あたり2本のスパークプラグを持つ機構。
バーグマン400ABS
インジェクションシステム さまざまなコンディションで最適な制御を実現し、パワフルさと高い燃費性能を両立させる6つのセンサー*を搭載したインジェクションシステム。
  • * O2センサー、水温センサー、吸気温センサー、スロットルポジションセンサー、吸気圧センサー、クランクポジションセンサー

GSX-S1000GX
オープンタイプレクチファイア マグネトーが必要最小限の発電を行い、メカニカルロスを低減することで低燃費を実現。
V ストローム1050DE
エコドライブ支援装置 燃費計と燃費の良い運転をひと目で確認することができるエコドライブインジケーターを装備。
バーグマンストリート125EX
LEDヘッドライト
LEDテールランプ
消費電力の削減と長寿命化を目的。
GSX-S1000GX

国内仕様、**海外仕様

船外機

主な燃費向上技術

「DF350AMD」

エンジン技術

  • ① リーンバーン(希薄燃焼)制御システム

  • ② 高圧縮比化
  • ③ オートトリム
  燃費向上技術・取り組み 概要 主な2023年度販売機種
リーンバーン(希薄燃焼)制御システム 高効率な燃焼が得られるよう、エンジン出力に応じて希薄な混合気を自動調整し、燃費向上を実現するシステム。
DF140B
高圧縮比 燃焼室の冷却改善、燃焼室内流入空気温度の低減を行い、圧縮比を上げ、熱効率を向上する取り組み。
DF350AMD
オートトリム エンジン回転数に応じて、トリム角度を維持することにより、より速いトップスピードとより高い燃費性能達成に貢献。
DF300AP

グローバル単位出力あたりCO2排出量

■ グローバル単位出力あたりCO2排出量の削減推移

新型の燃費の向上

2021年12月に販売開始した新型「DF140B」は、リーンバーン(希薄燃焼)制御システム、エンジンの高圧縮比化の採用等により、従来機種と比較して最大10%の燃費向上を実現しました。

燃費の向上率(従来機種を100とした場合)

  • ※グラフは当社測定データによる比較です。条件(気象・海象・搭載艇の種類、人員等)により異なる場合があります。

その他の取り組み

CNG※1車の取り組み

近年、インドでは地球温暖化や都市部の大気汚染が問題視されています。CNG車の燃料である天然ガスの主成分はメタン(CH4)であり、燃焼時に発生する二酸化炭素(CO2)や窒素酸化物(NOx)の排出量が石油や石炭に比べて少ない※2ため、マルチ・スズキ・インディア社ではCNG車の製造・販売を促進しています。

  • ※1 CNG(Compressed Natural Gas):圧縮天然ガス
  • ※2 出典:一般財団法人 日本エネルギー経済研究所「平成26年度石油産業体制等調査研究(昨今の国際情勢等を踏まえた天然ガス利用拡大に関する調査)報告書」、平成27年3月

地球温暖化係数の小さいエアコン冷媒への転換

フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(通称:フロン排出抑制法)に基づき、日本向けに出荷される乗用車用エアコン冷媒は、2023年度以降、地球温暖化係数が小さい冷媒への転換が求められています。
スズキは、今までカーエアコンに使用されてきたHFC-134a冷媒は地球温暖化係数が大きいため、地球温暖化係数が極めて小さいHFO-1234yf冷媒を使用したエアコンを開発し、日本向けに出荷されるすべての乗用車にHFO-1234yf冷媒への転換を2022年度末までに完了しました。

Topicsススズキ、鈴鹿8時間耐久ロードレースにサステナブル燃料で参戦

スズキ株式会社は、7月19日(金)から21日(日)に三重県鈴鹿サーキットで開催される「2024FIM世界耐久選手権“コカ·コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース第45回大会」に、燃料をはじめ、複数のサステナブルアイテムを使用して参戦しました。
今回スズキが使用する燃料は、40%バイオ由来のFIM公認サステナブル燃料です。この燃料は、FIM世界耐久選手権(EWC)の公式燃料ではないため、実験的クラスとして設定される「エクスペリメンタルクラス」での参戦となりました。サステナブル燃料のほか、プロジェクトにご賛同いただいたパートナー企業様のタイヤ、オイル、カウル、ブレーキなどサステナブルな新技術の開発を兼ねた挑戦でした。
参戦チームは、スズキ社内で選抜したメンバーを中心に構成する「チームスズキCNチャレンジ」として、パートナー企業様とともに課題を克服しながらレース完走しました。
今回の参戦は、耐久レースの厳しい条件の中での実走行を通して環境性能技術の開発を加速することを目的としており、参戦で得られる貴重なデータを検証することによってより高い目標を見出し、今後の製品への技術フィードバックを推進していきます。

※ FIM:国際モーターサイクリズム連盟

チームスズキCNチャレンジGSX-R1000R

Topicsスズキ、原付一種の折り畳み電動モペッド「e-PO(イーポ)」の公道走行調査を実施

スズキ株式会社は、パナソニック サイクルテック株式会社と共同開発し、JAPAN MOBILITY SHOW2023に参考出品した原付一種の折り畳み電動モペッド「e-PO(イーポ)」の公道走行調査を2024年6月上旬頃より実施しました。
今回、原付一種の届出を行い、ナンバーを取得したことで「e-PO(イーポ)」の公道走行が可能となりました。公道走行調査はスズキの本社がある静岡県浜松市を中心に行い、実際の路面状況や、交通状況下で走行することで、日常での使い勝手や走行して見えてくる課題など、様々なデータを収集しました。
スズキは、今回の公道走行調査を通して、今後の製品化に向けた電動モペッドの開発につなげていきます。

公道走行調査の概要

調査期間 2024年6月上旬頃より一ヶ月
使用車両 原付一種 折り畳み電動モペッド「e-PO(イーポ)」
車両諸元 全長×全幅×全高 1,531mm×550mm×990mm
定格出力 0.25kW
バッテリー種類 パナソニック製リチウムイオン電池
使用台数 5台

※画像のカラーは実際の走行車両とは異なります

原付一種の折り畳み電動モペッド
「e-PO(イーポ)」

Topicsスズキ、アメリカにてマリン用サステナブル燃料の試験導入を開始
—サステナブル燃料の幅広い普及を目指すプロジェクトに参画—

スズキ株式会社のアメリカ子会社、スズキマリンUSAは、サステナブル燃料をマリンレジャーに広く普及させるプロジェクトに参画します。
このプロジェクトは、アメリカマリン工業会(National Marine Manufacturers Association、以下NMMA)が、マリンレジャーでの脱炭素の取り組みの一環として、サステナブル燃料の導入を推進しているものです。スズキマリンUSAは、船外機の研究開発を行うスズキマリンテクニカルセンターUSA(フロリダ州パナマシティ、以下テクニカルセンター)にて、マリン用のサステナブル燃料、Hyperfuels PurFuels™を試験導入し、CO2削減に貢献します。
Hyperfuels PurFuels™は、使用済み食用油や植物由来の材料などを精製して作られており、エンジンに特殊な調整を行うことなく、既存のガソリンエンジンの船外機すべてで使用することが可能なサステナブル燃料です。今回導入される燃料は、同程度の再生可能原料を使用して合成されたバイオエタノール混合ガソリン(E10)と比較して、CO2排出量を約30%低減することができます。
スズキマリンUSAは、テクニカルセンターにて日々の開発業務でのHyperfuels PurFuels™の試験導入を行い、CO2の排出量削減に貢献します。また、NMMAや地元関係者と協力し、フロリダ州北西部地域のマリーナでサステナブル燃料の普及プロジェクトを推進してまいります。パナマシティの市営マリーナを皮切りに、将来的には州全土へプロジェクトを拡大していきます。
スズキはサステナブル燃料の導入を通じ、アメリカのお客様のマリンライフの充実と、マリン事業におけるカーボンニュートラル達成に貢献します。

事業活動における取り組み

生産における取り組み

CO2排出量の削減

地球温暖化の抑制に向けて温室効果ガス削減のための新たな国際枠組み「パリ協定」が発効され、世界の平均気温上昇を「2℃未満」に抑える目標の達成を目指した温室効果ガス排出量低減の取り組みが、グローバルで各国政府や各企業により進められています。
スズキは温室効果ガス排出量を削減していく上で、工場でのCO2排出量削減をグローバルで進めることが重要であると考え、「スズキ環境計画2025」において、生産活動におけるスズキグローバル生産台数(四輪生産台数)あたりのCO2排出量を2025年度までに2016年度に対し25%削減することを目標として取り組みを進めています。
生産活動における2023年度のCO2総排出量は、スズキグローバル全体では835千t-CO2/年、国内では176千t-CO2/年、海外では660千t-CO2/年となりました。生産台数あたりのCO2排出量は0.256t-CO2/台となりました。
削減の取り組みとして、省エネやムダ取りなどの改善活動に加え、国内外で太陽光発電の拡大を進めています。また、国内全生産拠点において、2023年7月から順次CO2フリー電気を導入しました。
今後ともエネルギーの使用の効率化を一層推進し、原単位削減に取り組んでいきます。

■ グローバルCO2排出量実績

【集計対象範囲】
スズキ(磐田工場、湖西工場、大須賀工場、相良工場、浜松工場、国内製造子会社4社、海外製造子会社15社
【CO2換算係数について】
燃料(都市ガスを除く)はIPCC_2006ガイドライン、都市ガスは環境省発行 温室効果ガス排出量算定・報告マニュアルによる
電力は、国内は温対法(電力会社公表値のうち調整後排出係数)、海外はIEA2019版〜2023版による

■ 工場別CO2排出量

CO2排出量(千t-CO2
磐田工場 13.7
湖西工場 54.1
大須賀工場 13.9
相良工場 43.7
浜松工場 3.4

工場の省エネ活動

日常的な活動として、エア漏れ削減や休み時間の消灯、工場非稼働時の電源OFF等の地道な活動も全員参加で取り組み、毎年着実な成果を上げています。
老朽化した生産設備の更新時や、新機種生産のための新規設備導入時には、重力の利用や設備の小型軽量化、LED照明、トップランナー機器(モーター、変圧器)の高効率機器の採用により、従来よりも省エネ化された工場づくりを進めています。
また、スズキのCO2削減の取り組みのひとつとして、大須賀工場や磐田工場ではLPGから都市ガスへの燃料転換のように、供給エネルギーの見直しを実施していて、今後も相良工場への展開も進めていきます。
国内・海外工場のCO2削減量と対策項目別の削減量を右に示します。

■ グローバル対策項目別CO2削減量

【集計対象範囲】
スズキ(磐田工場、湖西工場、大須賀工場、相良工場、浜松工場、海外製造子会社15社

Topics〈地下水及びラジエータを用いた空調への活用〉

スズキグループでは各種省エネ活動を進めています。その内、ラジエータ(熱交換器)を用いた空調機の省エネ取組に関して紹介します。
本省エネ取組みは年中温度の安定している地下水とラジエータを活用した取り組みです。
具体的には地下水及びラジエータを用い、大気より吸気していた吸気温度を下げ、エアハンドリングユニットの吸気温度を低減させ冷暖使用時の省エネに繋げました。エアハンドリングユニットで使用していたLPGの使用量を約0.4Nm3/h削減することができました。
本省エネ取組みは現場から挙がったアイデアを具現化し、これまでに無い着眼点で挑戦している事例になります。引き続き本取組みを含め、さまざまな視点から改善を行い、カーボンニュートラルを推進していきます。

再生可能エネルギーの推進

地球温暖化対策の一環として、再生可能エネルギーの推進を行っています。
従来より国内工場では太陽光発電の設置を進めており、相良工場隣接地(牧之原)、浜松舞阪西太陽光発電所、浜松工場で導入し、2021年には磐田工場、2022年には湖西工場でも太陽光発電を一部開始し、今後も工場への設置を計画しています。
また、湖西工場に2基、研修センターに1基風力発電設備を導入しています。
海外工場ではマルチ・スズキ・インディア社、スズキ・モーター・グジャラート社、スズキ・モーターサイクル・インディア社等で太陽光発電設備を導入し拡大を進めています。
今後も国内外を問わず、再生可能エネルギーの積極的な利用を進めていきます。

■ 再生可能エネルギーCO2削減量

■ 再生可能エネルギー発電量

発電量(MWh)
太陽光発電(牧之原、浜松工場、舞阪、磐田工場、湖西工場) 41,549
太陽光発電(マルチ・スズキ・インディア社、スズキ・モーター・グジャラート社等) 40,487
風力発電(湖西工場、研修センター) 1,616
小水力発電(湖西工場) 61

※発電実績の数値にはFIT売電やオフサイトPPAによる発電量を含む

オフィス活動等における取り組み

データセンターにおける取り組み

解析、演算などIT技術の利用拡大による省エネを推進すると共に、増加するIT機器を効率良く運用する事で、消費エネルギーの低減を図っています。

冷却効率の改善と環境性能の高い設備への転換

2023年7月にサーバー廃熱と吸気側冷気を区画化して分離するコンテイメントを高負荷サーバー室に施工し、空調設備にかかる消費電力を2022年度比で年間114,000kWh削減しました。その他、高効率タイプの空調機へ順次移行などにより、IT機器消費電力と空調電力の比率を2019年度の2:1から、2023年度は3:1にまで抑えました。
また、2024年1月には無停電電源装置を電力損失の少ないものへと更新し、月間8,500kWh(年間10万kWh)の削減を行いました。

オフィスにおける取り組み

2008年度に社員の行動基準を定め、全社員一丸となってオフィスの省エネルギーやCO2排出量削減を推進しています。

社員の行動基準

多方面にわたる行動基準(「内なるコストダウン」活動行動基準)を定め、社員一人ひとりが省エネルギー(CO2削減)を推進しています。

「内なるコストダウン」活動行動基準(抜粋)

  • ① 空調機設定温度(冷房は28℃に、暖房は20℃)の遵守
  • ② 不要照明の消灯徹底
  • ③ 電化製品の省エネの徹底
  • ④ エコドライブの実施
  • ⑤ 帳票の電子化、電子化文書のプリントアウト制限等による印刷の削減 等

省エネ設備の導入

オフィスの省エネ推進のため、2012年度よりLED照明の導入を進めています。現在までに、オフィス照明の約80%までLED化が進んでいます。

その他の取り組み

リモートワーク環境の提供による移動の削減

社内リソースへのリモートアクセスやWeb会議システムなどリモートワークができるIT環境を提供することで、移動によるエネルギー消費量の削減に取り組んでいます。パートナー企業の方々のリモートワークの利用も増加しており、遠隔地から出勤しなくても業務に従事できるような環境を整えています。

パートナー企業リモートワーク利用状況(カッコ内は前年)
月間利用者数:
6,450人(4,779人)
稼働日辺りの平均利用者数:
307人(208人)

※2024年3月の実績に基づく

エコドライブの推進

2007年度より、環境教育時の一項目として、エコドライブ教育を行っていましたが、2009年度より、本社及び各工場・事業所でエコドライブに的を絞ったエコドライブ講習会を随時開催し、2024年3月までに、延べ17,710名が受講しました。

非製造会社・販売会社における取り組み

国内の非製造会社4社、販売会社56社では、「地球温暖化の抑制に向け、節電や省エネ設備の導入などによる省エネ活動を積極的に推進する」を共通の環境目標として、事業活動におけるエネルギー使用量の削減、環境にやさしい店舗の設計等、気候変動に向けた活動に取り組んでいます。

  • ※非製造会社4社:スズキ輸送梱包株式会社、株式会社スズキ納整センター、株式会社スズキビジネス、株式会社スズキエンジニアリング
    販売会社56社:株式会社スズキ自販東京など直営国内販売代理店54社、株式会社スズキ二輪、株式会社スズキマリン

日本国内販売代理店

省エネルギーの推進

日頃より、店舗内の空調・照明・情報機器の効率使用や連絡車・営業車を使用した店舗間やお取引先様への移動でエコドライブを行う等、省エネルギーを意識して積極的に取り組んでいます。

ITを利用した取り組み

お客様との商談や従業員間のコミュニケーションのツールとしてインターネット等のITを利用しています。お客様や従業員の時間の有効活用や移動による負担を軽減するとともに、エネルギー使用量の削減やCO2削減に努めています。

環境にやさしい店舗設計

LED照明機器や高効率空調等省エネ機器の店舗への設置を推進しています。一部の店舗には、屋上の緑化や太陽光発電パネルを設置する等、環境にやさしい店舗づくりに取り組んでいます。

2023年度スズキ国内販売代理店太陽光発電施設設置状況

代理店 拠点名
1. (株)スズキ自販茨城 スズキアリーナ土浦南
2. (株)スズキ自販京葉 スズキアリーナ東金
3. (株)スズキ自販湘南 スズキアリーナふじさわ
4. (株))スズキ自販静岡 U’s STATION静岡
5. (株)スズキ自販浜松 スズキアリーナ佐鳴湖
6. (株)スズキ自販東海 スズキアリーナ豊川
7. (株)スズキ自販中部 スズキアリーナ安城
8. (株)スズキ自販富山 スズキアリーナ双代町
9. (株)スズキ自販関西 スズキアリーナ枚方東
10. (株)スズキ自販徳島 スズキアリーナ板野
11. (株)スズキ自販高知 スズキアリーナ金田
12. (株)スズキ自販山口 U’s STATION山口
13. (株)スズキ自販熊本 スズキアリーナ熊本中央
14. (株)スズキ自販長崎 スズキアリーナ佐世保大塔
15. (株)スズキ自販鹿児島 スズキアリーナ川内
16. スズキアリーナ鹿児島中央

(株)スズキ自販静岡
U’s STATION静岡

(株)スズキ自販東海
スズキアリーナ豊川

サプライチェーン等における取り組み

調達における取り組み

「カーボンニュートラルに向けたサプライチェーンとの取り組み」

2050年カーボンニュートラル(CO2排出量実質ゼロ)を達成するには、製造時に発生するCO2排出量のうち、約9割を占めるサプライチェーンにおけるCO2排出量削減の取り組みが不可欠です。
スズキでは、2021年よりサプライチェーンにおけるカーボンニュートラルに向けた活動を開始し、2022年からは専門部署を設け、CO2排出量の詳細把握の為、お取引先様別の年度別及び部品別のCO2排出量の見える化を行っています。
また、2050年のカーボンニュートラル達成に向けて、お取引先様に2030年におけるCO2排出量削減目標及びロードマップを作成頂き、削減アイテムの実現性の確認など製造現場を訪問し、取り組み改善事例の確認やカーボンニュートラル対応への課題の抽出、困りごとの聴き取りなど「減らす活動」を実施し、CO2排出量の削減に取り組んでいます。
また、2022年度から、カーボンニュートラルへの優れた取り組みを実施して頂いている地場中小企業のお取引先様を対象に、「CN貢献企業」として感謝状を贈呈し、カーボンニュートラル活動の推進を図っています。
カーボンニュートラル達成の為、お取引先様と協力して活動を進めています。

国内輸送における取り組み

国内輸送におけるCO2削減活動(2023年度取組結果)

国内輸送におけるCO2排出量の削減活動として、輸送ルートの見直しによる輸送距離の短縮やモーダルシフト、輸送車両の燃費の向上等の輸送の効率化に努めています。
これまでの輸送効率化の取組の結果、2023年度の売上高あたりの輸送に係るCO2排出量は、2016年度に対して、35.8%の改善となりました。

■ 国内輸送におけるCO2排出量の推移

トラック輸送の一部を鉄道輸送にモーダルシフト

静岡県湖西市の部品工場から九州の輸送拠点への定期便を、トラック輸送から輸送エネルギー使用効率の高い鉄道輸送へモーダルシフトすることで輸送に伴うCO2排出量を削減しました。

輸送拠点の開設と、拠点までの輸送の一部を船舶輸送にモーダルシフト

2022年12月に北海道への部品・用品の輸送拠点となるスズキ部品センター苫小牧の稼働を開始しました。この輸送拠点の新設に伴い、静岡県湖西市の部品工場から北海道へのトラック輸送の約80%を船舶輸送にモーダルシフトすることで、輸送にともなうCO2排出量を削減しました。

レポート目次

ESGインデックス