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人権の尊重

スズキにおける取り組み

スズキグループ行動指針に定めている「人権の尊重」は、すべての企業活動の基本であると考え、その徹底を図っています。2022年12月にはスズキグループの人権尊重についての基本方針を新たに定めました。すべてのステークホルダーの皆様とともに、人権尊重の取り組みを進めていきます。

スズキグループの人権尊重についての基本方針

(基本的な考え方)

スズキ株式会社(以下、スズキ)は「お客様の立場になって価値ある製品を作ろう」を社是の第一に掲げ、お客様に喜ばれる真の価値ある製品作りに努めています(1962年制定)。
社是の精神に則り、スズキグループ(スズキ及びその連結子会社)で働くすべての役員及び従業員が健全かつ効率的、精力的に職務に専念することを可能にするためのルールとして「スズキグループ行動指針」を策定しています(2016年策定)。行動指針では「人権の尊重」を重要な指針のひとつと定め、各国・各地域の法令を踏まえ、人権に関するさまざまな国際規範を理解し、基本的人権を尊重することを明確に定めています。
スズキグループは人権侵害につながるあらゆる行為に加担する意思はありません。人権の尊重はグローバルに展開するすべての企業活動の基本であると考え、その徹底を図っていきます。

1.ガバナンス

(1)人権に関する法令や国際規範の尊重

スズキグループは、「世界人権宣言」(UDHR)、国際人権規約(「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」(ICESCR)、「市民的及び政治的権利に関する国際規約」(ICCPR)」)及び「労働における基本的原則及び権利に関する宣言」(ILO中核的労働基準)など、国際的な人権規律に規定された人権(結社の自由・団体交渉権の承認、強制労働の禁止、児童労働の禁止、差別の排除など)を尊重します。「ビジネスと人権に関する指導原則」(UNGPs)、OECD多国籍企業行動指針、我が国の「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」等を参照し人権尊重の実践に取り組みます。
また、スズキグループが事業展開する世界各国の、現地の人権関連法令を遵守します。人権についての国際規範と各国・各地域の法令の間に差異がある場合は、より高い基準を尊重することに努めます。

(2)適用範囲

当方針は、スズキグループのすべての役員及び従業員(派遣従業員を含む)に適用されます。スズキグループの各社は、当方針が自社の役員及び従業員により遵守されるよう周知徹底を図ります。
また、取引先や販売店を含む事業に関連するすべてのビジネスパートナーにも当方針にご理解をいただき、人権尊重の取り組みを期待するとともに、積極的な働きかけを行い、協力して取り組みを進めていきます。

(3)スズキのマネジメント体制

業務執行取締役及び関係する部門責任者(執行役員・本部長)が出席する経営会議において、人権を含むサステナビリティに関する課題や方針、対策について議論しています。特に重要な課題については取締役会において議論されます。経営と一体となった実効性のある活動を目指します。
「人権の尊重」は当社のマテリアリティ(重要課題)特定の検討において議論され、「事業基盤の強化のための課題」のひとつとして特定し、2021年10月の取締役会で確認しています。

2.人権リスクへの対応(人権デュー・ディリジェンス)

(1)人権リスクの特定

事業に関わる潜在的もしくは実際の人権リスクを特定し、リスクを防止または軽減するための体制を構築します。とりわけ、スズキグループが積極的に事業を展開する新興国において強制労働や児童労働などの人権リスクが相対的に高いことを認識して、これを行います。

(2)是正と救済

人権に対する負の影響を引き起こし、または関与したことが明らかになった場合は、適切な手段を通じて、その是正に取り組みます。
その一環で、影響を受けた関係者が利用できる相談窓口を整備します。

(3)教育

スズキグループで働くすべての役員及び従業員が当方針を理解し、実践できるよう、人権尊重に関する教育・啓発を適切に行います。

(4)対話・協議

人権への影響について、関連する社内外ステークホルダーとの対話・協議を継続的に行っていきます。
また、人権を専門とした第三者機関に相談し、取り組みの実効性を担保します。

(5)情報開示

人権の取り組みに関する情報を定期的に開示し、透明性の確保に努めるとともに、説明責任を果たします。

当方針は2022年12月の取締役会で承認されています。当方針は状況に応じて、適宜見直しを行っていきます。

2022年12月
代表取締役社長
鈴木俊宏

(人権に関する優先課題)

1.差別・ハラスメントの禁止

性別、年齢、国籍、人種、民族、言語、宗教、信条、社会的出自、性的指向、性自認、健康状態、障がい等、業務と関係のない属性・状態を理由とした差別を行いません。
パワーハラスメント、セクシャルハラスメント、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント等、精神的か肉体的かを問わず、あらゆる形態のハラスメントを行いません。すべての従業員が安心して働ける職場づくりに努めます。

2.強制労働の禁止

暴力、脅迫、債務等による強制労働や、人身取引を含むいかなる形態の現代奴隷も認めません。
移民労働者・外国人労働者が、搾取や強制労働を受ける立場に陥りやすいと認識し、スズキグループのみならず、取引先を含む事業に関連するビジネスパートナーやその他の関係者とも協力しながらこのリスクに対処します。第三者機関と協力し実態の把握に努めるとともに、スズキグループおよび取引先、販売店等においても、移民労働者・外国人労働者が適正な労働条件で雇用されるように働きかけます。

3.児童労働の禁止

企業活動および取引関係において、法定の最低就業年齢に満たない者を雇用しません。若年労働者を危険有害労働に従事させません。
また、鉱物採掘に関して、児童労働をはじめとした人権侵害の懸念があることを認識し、人権リスクの特定を進め、リスクが特定された場合は、適切な措置を講じるよう努めます。

4.従業員との対話・協議

国際的なガイドラインや各国・地域の法令に基づいて、従業員の結社の自由と団体交渉権を尊重し、従業員との誠実な対話・協議を行います。これらの権利を行使する従業員の代表や団体に対する、いかなる脅迫や報復措置も行いません。

TOPICS人権とビジネスのシンポジウムに社長が参加

2023年2月2日、一般社団法人グローバル人財サポート浜松が主催するシンポジウム「日本企業における人権デューデリジェンス」が浜松市で開催され、鈴木俊宏社長が参加しました。
当日は国際労働機関(ILO)の駐日代表である高﨑真一氏が基調講演を行い、その後のトークセッションでは高﨑代表と鈴木社長が登壇し、「人権とビジネス」に関するさまざまな意見を交わしました。鈴木社長は人権問題への取り組みは「身銭を切ってでも守らなければならない」との姿勢を示し、「すべての取引先様を見える化するのは1社では難しい」と課題を述べました。高﨑代表からは「多くの人や企業、団体などが関わり、議論しながら作り上げていくことが必要」と説明がありました。
引き続き、取引先様をはじめ外部の専門家の知見や協力も得ながら、協働して人権の取り組みを進めていきます。

従業員相談窓口

職場内でのハラスメントを含む人事上の問題や安全衛生・メンタルヘルスに関する相談に特化した相談窓口として、「人事・総務 相談窓口」を開設しています。さらに、これらの相談窓口に加え、食堂や事務棟等に「改善提案箱」を設置し、より一層、相談・提案が行いやすい風通しの良い職場づくりを目指しています。また、精神科医・臨床心理士による『心の相談室』を開設しているほか、外部カウンセリングサービス(EAP)も導入しています。

TOPICSKUROFUNEとスズキ、外国人従業員の生活満足度向上に向けた協業を開始
-KUROFUNE の在日外国人向け生活支援アプリ「KUROFUNE LIFE SUPPORT」を活用-
-多様な人材が能力を活かして活躍できる環境整備を促進–

KUROFUNE株式会社(本社:愛知県名古屋市、代表取締役:倉片稜、以下「KUROFUNE」)とスズキ株式会社(以下、スズキ)は、KUROFUNEが展開する在日外国人向けの生活支援アプリ「KUROFUNE LIFE SUPPORT」を活用して、スズキの外国人従業員の生活満足度向上に向けた取り組みを2023年7月から開始しました。
KUROFUNEは、企業で働く外国人労働者の不安や悩みを把握し、具体的、かつ継続的に支援することを目的に、生活支援アプリ「KUROFUNE LIFE SUPPORT」を展開しています。今回の協業を通じて、スズキのインド人従業員の日本での生活のニーズをヒアリングして、新しいサービスの開発につなげていきます。
スズキは、従業員が心身ともに充実した状態で意欲と能力を発揮し、活き活きと働けるような環境づくりが大切であると考えています。また、多様な人材が活躍することで競争力が向上すると認識しています。現在、日本の技術部門を中心に外国人従業員が活躍しており、インド工科大学などからの直接採用も今後増やす計画です。2023年1月に発表した成長戦略においても、インドR&Dセンターのような海外グループ企業や海外スタートアップなどとも連携し、研究開発体制を強化する方針を発表しました。
従業員の生活のニーズを把握し、さらに働きやすい環境を整えていきたいと考えています。

サプライチェーンにおける取り組み

各国・地域の法令の遵守(日本では「下請代金支払遅延等防止法(下請法)」の遵守、「自動車産業適正取引ガイドライン」の調達五原則に則った取引の実施など)、人権の尊重、環境保全に取り組んでいます。また、同様にお取引先様に対しても、「スズキお取引先様CSRガイドライン」を策定し、法令の遵守、人権の尊重、環境保全への取り組みを実践するよう求めています。

人権尊重についての追加の取り組み

2021年より人権尊重についての取り組みの強化に乗り出し、人権デュー・ディリジェンスの一環として、2022年には以下の取り組みを実施しました。

スズキグループの人権方針の制定

外部専門家からのアドバイスも得て2022年12月に取締役会での決議を経て「スズキグループの人権尊重についての基本方針」を制定しました。スズキのホームページにも掲載して、関係者に広く周知を図っています。

お取引先様との人権尊重に関する合意形成

スズキグループ各社(海外子会社を含む)がお取引先様と締結している購買基本契約に人権尊重に関する合意事項を追加するため、お取引先様との契約締結手続きを進めています。

外国人労働者調査

日本においては外国人技能実習生の受け入れに際して、また受け入れ後の労働環境及び生活環境面で人権侵害のリスクがあることを認識しており、2022年には人権NGOから支援を受けながら、国内のお取引先様に対して外国人労働者問題をテーマとしたセミナーを開催するとともに、外国人労働者の採用状況等についてのアンケート調査を実施しました。その結果、全体の約3分の1のお取引先様で外国人技能実習生を受け入れていることが分かり、その詳細な状況を確認するため、同NGOと合同でお取引先様への訪問調査を開始しました。

外国人技能実習生への聞き取り調査

責任ある鉱物調達の取り組み

スズキの製品に使用されている特定の鉱物(スズ、タンタル、タングステン、金、コバルト、マイカ)が紛争地域等において武装勢力の資金源になっていないかを確認するため、国際的な枠組みであるRMI(Responsible Minerals Initiative)が提供する調査票を用いてサプライチェーンを遡り、製錬所を特定しています。二輪車、四輪車及び船外機の全製品について調査を行っています。経済協力開発機構(OECD)が定めた「紛争地域及び高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデュー・ディリジェンス・ガイダンス」を参照し、児童労働等の人権侵害が疑われる鉱物の使用回避を目指します。

製品を通じた人権の保護

国内で販売しているすべての乗用車の純正アクセサリーとして、安全性の高い新基準UN-R129に適合した「i-Sizeチャイルドシート」を設定しています
スズキは「子どもの権利とビジネス原則」に賛同し、提供する製品・サービスの安全性の確保を通じて、子供が安全に移動する権利を守ることに努めています。

  • ※UN-R129:「国連の車両・装置等の形式認定相互承認協定」に基づく改良型幼児拘束装置に関する規則。WITH シリーズを除く。2023年10月時点。

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