取締役会の監督の下、業務執行取締役及び関係する部門責任者(執行役員・本部長)が出席する経営会議において、人的資本に関する課題や方針、対策について議論しています。特に重要な課題については取締役会においても議論されます。経営と一体となった実効性のある活動を目指します。
社長に対して人事部門が定期的に状況報告を実施し、経営トップと近い距離で活動を行っています。
社是と行動理念「小・少・軽・短・美」、「現場・現物・現実」、「中小企業型経営」に則り、人財育成方針及び社内環境整備方針に基づき、社員の能力発揮、価値創造を後押しします。社員一人ひとりが自身の能力を最大限に発揮することで、2030年度に向けた成長戦略の達成及び持続的成長を実現します。人と社会に必要とされる存在となるべく、“生活に密着したインフラ企業”を目指していきます。
スズキグループの全社員が理解し実践すべき社是では、①企業の社会的使命を果たすことへの努力目標(製品づくり)、②自分が所属する会社という組織に対する努力目標(会社づくり)、③自分自身に対する努力目標(人間づくり)の三つの努力目標を掲げています。社是の精神とそれを実践するための行動理念に基づき、「人財開発は会社の一丁目一番地」との思いで、社長自らが先頭に立って人財開発に関する諸改革をリードし、2022年10月には組織体制を人事総務本部から人材開発本部へと改編し、社是や行動理念を体現できるスズキらしい人財づくりに注力しています。そして、自動車の100年に一度の大変革と言われるCASE対応や、社会的使命であるカーボンニュートラル社会の実現等、従来の自動車メーカーのままでは到底対処できない大きな変化を乗り越えるために、既存の業務や考え方にとらわれず、新しいことに果敢に挑戦する人財、新たな発想を生み出す多様な経験・価値観を持つ人財、高度な専門性を持つ人財、グローバルに活躍できる人財など、多様な人財を採用、育成することに努めています。
社是にあるとおり、高い目標への挑戦と自身の努力を促す風土醸成により、一人ひとり個性の異なる人財が共通の目標に向かって能力を発揮し、より付加価値の高い成果を創出し、働き甲斐・やりがいを感じながら活き活きと働き続けることができる会社づくりに取り組んでいます。直近では、これまで以上に社員の声を吸い上げ、労使で丁寧な対話を重ね、抜本的な人事制度改革、大胆な業務改廃・働き方変革、労働諸条件の改善など、人事総務諸施策の改革を進めて、社員一人ひとりがスズキで働いて良かったと思える会社にしていきます。
2024年4月から人事制度を全面的に刷新しました。多様な社員一人ひとりが社是と行動理念を実践できるように、個の成長を促します。一人ひとりが自らの職務を遂行するために必要な能力、すなわち職務遂行能力を伸ばすことで、個の稼ぐ力が向上し、会社の持続的な成長につながります。同時に人と社会に必要とされる存在となるべく、“生活に密着したインフラ企業”を目指し、社会貢献に寄与していきます。一人ひとりがやる気をもって「挑戦と行動」をし、そこで発揮された能力と、その結果向上した能力について上司と部下で対話を重ねながら、評価・フィードバックを行います。これによりモチベーションを向上させ、さらなる「挑戦と行動」につなげていきます。この人財育成サイクルを繰り返すことで個の成長を促します。原理原則を理解し、職務遂行に求められる知識とスキルを自ら学び、上司や先輩社員からノウハウを受け継ぎ、自ら現場を経験することで職務遂行能力を向上させることに取り組んでいきます。
職務系統の見直しと、職務遂行に必要な役割・能力・行動要件を明確化した「職能資格制度」を導入しました。各職務系統と職能資格に求められる職務遂行能力を明確にし、上司と部下の双方が共通理解にたって職務に取り組めるようにしたことで、効果的に職務遂行能力を高めていきます。
これまで業績と能力は一緒に評価していましたが、それぞれ分けて評価し、業績考課は賞与に、能力考課は昇給・昇格に反映するようにしました。また、半期毎に掲げた目標に対する達成度を評価する「目標チャレンジ制度」に加えて、各職能資格に定義した評価項目に基づき、1年間の能力発揮や向上を評価する「職能育成制度」を導入しました。これにより、各職務系統・職能資格に求められる能力を正しく評価できるようになり、さらなる『挑戦と行動』を促します。
各職能資格に応じて『挑戦と行動』を促し、個の能力発揮・向上を適切に賃金へ反映するように、賃金体系と賃金等級を見直しました。年次に応じた成長年数と連動させ、個の成長とキャリアの進展を公正かつ透明に評価し、処遇しています。また、勤務年数に応じて昇給するのではなく、各職能に必要となる研修を実施し、求められている役割や能力に応じて昇給することで、さらなる個の成長を促します。
通勤手段によらず自宅から勤務地までの距離区分に応じて支給していましたが、受給者の納得性が高まるよう、社員それぞれの通勤手段・通勤経路・出勤日数等に応じて通勤に掛かった実費相当額を支給することにしました。
子どもが15歳到達後の3月までを支給対象としていましたが、仕事と子育てを両立できる環境の向上、および、定着率、モチベーション、パフォーマンスの向上につながるよう、18歳到達後の3月までに支給対象を拡大するとともに、出生、入学(小学校および中学校)といったライフイベントに対する祝金を新設しました。
転勤に際して配偶者及び子どもと別居する場合に、3年間を限度として支給していましたが、単身赴任者の負担を軽減して業務に専念できる環境が整うよう、期間の限度を廃止し、会社が必要と認める限り支給を継続することにしました。
単身赴任手当と同じく、負担を軽減して業務に専念できる環境が整うよう、単身赴任者が家族のもとへ帰省するためにかかる費用の実費相当額を新たに支給することにしました。
60歳を迎えた社員の内、希望者には、年齢に関わらず「挑戦と行動」に取り組めるように、正社員と同様の業務で活躍し、60歳時点の給与を維持する制度に見直しました。また全社における人財マッチングと再教育による個の職務能力に最適な配置を実現し、活き活きと働くことができる環境を整備しました。
社員が自己実現できる企業風土の構築に努め、法令遵守と企業倫理を堅持しながら新技術やトレンドを迅速に学び活用する柔軟性を持たせ、清新で協力一致した組織を築き上げることを目指します。
スズキが持続的に成長していくため、「個の成長」と「個の稼ぐ力」の強化を目的に人財育成に取り組んでいます。人財育成を促進するため、上司と部下が一体となり、個人のキャリアパスに沿って、社員一人ひとりが主体的に必要なスキルを必要な時に学べる研修環境を整備しました。
部門戦略に必要なスキル・知識・経験・ノウハウを明確にして、個の職務能力を向上させるための人財育成計画を各部門が立案、その人財育成計画に沿った研修を企画・実施していきます。
若手社員に必要な基礎知識スキルを3年目までに習得する研修体系としました。また全社員が必要な時に学び直しができる仕組みを導入していきます。
役職者を計画的に育成するため、部門の人財育成計画と個人のキャリアパスに沿って、役職就任前に役割に求められるスキルを習得するための研修を実施していきます。
2022年度より、全管理職のマネジメント能力の向上を目的に、管理職マネジメント研修を開始しました。
2024年度に、全管理職の研修が完了します。2025年度以降も、研修内容を見直し、引き続き研修を実施していきます。2024年度より、役員に向けても同様に、求められるスキルを明確にし、体系立てた研修を実施しています。
各研修の実施にあたっては、職場コミュニケーションの活性化を図るために、心理的安全性を土台とした双方向コミュニケーションの重要性について講義を行っていきます。
全社共通スキル研修 (塾主管) |
職務能力研修 (部門別スキルを除く) |
職能資格別に求められる能力要素を、各自の育成計画に基づいて、選択して受講する | オンデマンド型 (研修ライブラリー) |
ビジョン・戦略立案・全社視点・全社最適・人材育成・マネジメント・問題解決・リーダーシップ 等 |
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各部のタスク分解(スキルマップ)に抽出されたスキルの内、全社共通で求められる、職務能力向上のために必要な業務スキルの研修 | ビジネス文書の書き方・計数基礎・マーケティング 等 | |||
ライブ型 (対面、オンライン) |
セルフマネジメント・ウェルビーイング 等 | |||
社外研修 | 部門外部研修参加計画に基づき受講 | |||
部門別スキル研修 (各部門主管) |
技術スキル研修 |
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SES・法規認証・知的財産・スズキ工学講座・NX・技術講演会 等 | |
生産スキル研修 |
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工法・職種別技能・海外工場派遣TAレベルアップ 等 | ||
その他スキル研修 | 各部門主催の基礎研修 | 部門の業務遂行に特化した研修 | ||
自己啓発研修 (塾主管) |
Udemy Business (サブスク) |
リスキル・スキルアップのために、一定期間内で、幅広いジャンル・レベルから講座を選択して受講する | 自分が選択した講座を受講 語学、プログラミング、PCスキル など | |
通信教育 (随時受講可能) |
修得したいスキルとそのレベルが明確な場合にピンポイントで講座を選択し、受講する |
研修名 | 受講時間 | 内容 | 担当級 | 主導級 | 管督級 | 幹部級 | |
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幹部級 管督級 主導級 |
昇進研修 | 昇進時 |
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役職者フォロー研修 | 昇進5年経過毎 |
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担当級 | 担当級フォロー研修 | 入社4年目 | スズキ社員としての意識付けを図り、中堅社員としてのマインドを醸成する | ||||
新入社員研修 | 入社時 | スズキ社員としての意識付けを図る | 社是・歴史・行動理念・協調性 等 |
法令・ 規定主管部門 |
法令遵守等教育 (各法令・規程等の主管部門が教育) |
部門が指名した者 | 企業の社会的責任上、会社が受講を義務づけた研修 | コンプライアンス・著作権法・製造物責任法・競争法・独禁法・下請法・道路運送車両法 等 |
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ISO関連教育、安全衛生特別教育、危険物取扱者教育、 等 |
単独従業員数(2024年3月31日時点) | 16,955人 |
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研修受講人数(延べ) | 115,500人 |
従業員一人当たり研修関連費用※ | 37,900円 |
スズキ本来の「困難に立ち向かい自ら切り開く起業家精神」に立ち返り視野・知見を拡げ、社員一人ひとりが社外へのアンテナを高めることを目的に、若手人財をスタートアップ企業等へ派遣しています。現在国内では、「空飛ぶクルマ」を四輪・二輪・マリンに次ぐ新たなモビリティ事業の一つとして育成することを目指して協業中の、株式会社SkyDriveへ派遣しています。海外では、デジタル化が急速に進んでいるインド工科大学ハイデラバード校で、2022年よりSIC(スズキ・イノベーション・センター)が始動しました。SICに社内各本部の若手社員を派遣し、人々の日常にある課題解決を目指し、インド工科大学ハイデラバード校の学生と一緒にアイデアを出し合い、ITプロダクトの開発、社会貢献に繋げるイノベーション創出活動を行っています。また、2024年には子会社「Next Bharat Ventures IFSC Private Limited」およびファンドを設立しました。同社に若手社員を派遣し、インドの人々とモビリティ分野を越えたつながりを築き、インドの更なる発展に貢献することを目指してまいります。
2017年9月より、失敗を恐れず挑戦する「ベンチャー精神」に触れ、問題解決手法「デザイン思考」を学ぶことを目的にシリコンバレーへの社員派遣を開始しました。スズキの社是である「お客様のために」の精神を体現している現地スタートアップ企業から学ぶべく、役員から若手までの男女様々な社員を、これまでに17回、延べ171名をシリコンバレーへ派遣してきました。コロナ感染症拡大中もオンラインや国内派遣によりさらに9 回、延べ123 名に対し研修を実施し、役員から若手までの男女様々な社員が研修に参加し、現地の研修で学んだデザイン思考や、失敗を恐れず挑戦するマインドセットを日々の業務や人財育成に活かしています。
デジタル教育は全社員、DX推進人財、経営層及び管理職の3層に分けて教育を実施しています。
全社員を対象に、DXリテラシー教育を実施し、業務効率化と付加価値の創出、各部門におけるデジタルツールの積極的な活用を促進することを目指しております。
DX推進人財には、DX推進スキル教育を実施し、より高度なデータ分析スキルの習得、デジタルツールの導入と社内展開を進めております。これにより、DX推進人財が社内でのデジタル化をリードする体制を整えております。
経営層及び管理職には、DXマネジメント教育を実施し、デジタル技術を活用した競争優位性の確保と変革を目指しております。
分類 | 内容 | 全社員 | DX推進人材 | 経営層/データ分析 管理職 | |||
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データ分析人材 | プロセス改善人材 | セキュリティ対策人材 | ソフトウェア開発人材 | ||||
DXリテラシー教育 | Microsoft365基礎習得 | ○ | |||||
情報セキュリティ教育 | ○ | ||||||
データを活用する概念の教育 | ○ | ||||||
業務デジタル化ツールの活用 | クラウドストレージ活用 | ○ | |||||
RPAツールの活用 | ○ | ||||||
ローコード開発ツールの活用 | ○ | ||||||
BIツールの活用 | ○ | ||||||
生成AIの活用 | ○ | ||||||
ノウハウの社内共有 | 生成AI、データ活用等 | ○ | |||||
DX推進スキル教育 | データの分析力を高める教育 | ○ | |||||
BIツールを用いたデータ分析の推進 | ○ | ||||||
デジタル化ツールによるプロセス改善の推進 | RPAツールを用いたプロセス改善の推進 | ○ | |||||
ローコード開発ツールを用いたプロセス改善の推進 | ○ | ||||||
セキュリティ専門育成教育 | 各部門の情報セキュリティ担当者教育 | ○ | |||||
セキュリティ中核人材の育成教育(外部機関への派遣) | ○ | ||||||
ソフトウェア人材育成 | 内製開発人材の育成 | ○ | |||||
グローバル人材の育成 (マルチスズキとの技術者交換、インド工科大学との共同研究) |
○ | ||||||
DXマネジメント教育 | ITトップベンダーを講師に招いた研修 | ○ | |||||
社内外講師によるDX研修 | ○ | ||||||
データ活用マネジメント教育 | データ分析による課題解決研修 | ○ |
DXは経営課題であるという認識のもと、経営層が自ら「役員・本部長が業界No.1デジタルチームになる」というスローガンを掲げ、DXを積極的に推進しているITトップベンダー各社との交流会や社内外の講師によるDX研修を開催しています。この研修では、役員及び本部長が直接手を動かし、ソフトウェアやネットワーク、セキュリティ等の分野についての原理・原則を理解するために取り組んでまいりました。2024年度は本取り組みを管理職に広げ、年6回の実施を計画しております。
全社員が市民開発者となるべく、ローコード開発、BI開発などの研修動画を使って教育をしています。また、業務改善を加速するため、各部門よりプロセス改善人財を選出し、技術相談会を実施することでスキルアップと継続的な育成を計画しております。
データを活用する概念の教育と、データの分析力を高める教育を実施しております。データの分析力を高める教育は、基礎編、応用編、実践編の3コースを準備しております。また、研修以外にも「データ活用Quiz」を用意し、全社員がいつでも楽しみながら自己啓発・スキルアップできる環境を提供することでデータ分析に対する理解向上と定着を図っております。
生成AIのChatGPTを同業他社に先駆け2023年3月21日に導入し、現在は10種類近くの内製アプリが稼働しています。全社員の生産性を向上させるため、生成AIを用いたアプリケーションの内製開発、及び社員自らが生成AIを用いたアプリケーション開発を行う(生成AIの市民開発)ための環境構築を推進しております。
個の成⻑のためには社員一人ひとりが「挑戦と行動」を繰り返し、職務遂行能力の向上につなげていくことが必要と考えています。スズキでは社員一人ひとりの挑戦と行動が加速するようバックアップする人財育成を実施しています。
年1回、自らの仕事と能力を振り返ることで、自己の強み・弱みを再認識し、能力開発につなげるとともに、将来チャレンジしたい仕事や部門をキャリアプランとして描き、その内容を上司と人事部門に申告する制度です。申告内容は、人財育成と人財の適正配置の基礎資料として、活用しています。
従業員の知識、技術力の向上並びに組織の活性化を目的として、事務職、技術職、営業職の若手従業員は、入社10年間で全員他部門への異動を経験することを目標に掲げ、全社的規模で異動計画を作成し、計画的な人財ローテーションを実施しています。
従業員の語学力の向上を目的に、会社は次の通り支援を行っています。