スズキはものづくり企業として、新たな技術開発に挑戦していますが、どんなに優れた技術であっても、品質が良く、お求めやすい価格でなければ、製品としてお客様に認めていただけません。お客様に買っていただき、使ってご満足をいただいて、はじめてスズキの事業が成り立ちます。お客様の立場になって、品質が良くお求めやすい価値ある製品をつくっていきます。
社是、行動理念、スズキグループ行動指針に基づき、品質の高い製品・サービスを提供するよう取り組んでいます。
1962年3月に制定した社是の第一を、2003年よりスズキの品質方針としています。社是の第一は企業としての社会的使命を果たすことへの努力目標です。よりよい製品の生産、価値ある製品づくりは、スズキにおける企業の最高目標であり、社会的存在理由と認識しています。この目標達成のため、お客様の立場に立ち、品質、改善等を意識の根底にもって、製品づくりに取り組んでいます。
また、行動理念の「小・少・軽・短・美」における「美」には、すべての活動がお客様のためにあるという意味が込められており、性能、品質、コスト、信頼、安心・安全、コンプライアンス、すべてを満たして初めてお客様満足が得られるという考えにつながっています。
さらに、スズキグループの役員及び従業員が職務を遂行するための指針として「スズキグループ行動指針」を制定しています。この指針では、第一に「価値ある製品・サービスの実現」、第二に「品質への取り組み」を掲げ、グループ一丸となって、"お客様の安全・安心を最優先に考えた高品質でお客様に安心して使っていただける製品の開発・生産・アフターサービスを提供"、そして、"お客様の期待を超える製品とサービスを提供"の考えにもつながっています。
品質問題への対応の長期化によりお客様に多大なご迷惑をお掛けし対策費用も増大する事態を回避するため、迅速な原因究明と対策を行う体制の強化に取り組んでおり、週次及び月次の経営会議等で品質問題の最新状況を常に把握するようにしています。なお、リコール等の市場措置については、関係する役員、本部長、部長等で構成する品質対策委員会で審議のうえ決定しています。
お客様に対して製品の品質を保証するため、商品企画から販売・アフターサービスに至る各段階の品質保証業務について定め、各業務の責任を明確にすることで、一貫した品質保証活動を推進しています。
製品不具合の未然防止のため、定期的に生産段階及び完成検査段階で監査を実施しています。
監査で不適合や不具合を確認した場合には、関連部門にその状況を報告するとともに改善の勧告及び指導等して改善処置を行い、品質の信頼を確保するよう努めています。
監査名称 | 監査内容 | 頻度 | 対象 | ||
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内部品質監査 (システム監査) |
製造品質責任部長監査 | 製品の製造品質についての監査 | 年1回 | 製造部門 〔磐田工場、湖西工場、大須賀工場、相良工場、浜松工場〕 |
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品質監理部長監査 | 製品の完成検査と部品検査についての監査 | 年1回 | 検査部門 〔磐田工場、湖西工場、相良工場、浜松工場〕 |
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部門長監査 | 自部門に対して行う監査 | 年1回 | 各工場、購買、営業、サービス、商品企画、デザイン、設計、実験、法規認証、技術管理、品質保証等 | ||
完 成 検 査 監 査 |
一層監査 | 工場検査部長監査(二輪・四輪車の全数検査) | 完成検査業務の自主監査 | 月1回 | 完成検査部門 〔湖西工場、相良工場、磐田工場、浜松工場〕 |
抜取検査担当グループ長監査(抜取検査) | 完成検査業務の自主監査 | 月1回 | 完成検査部門 〔湖西工場、相良工場、磐田工場、浜松工場〕 |
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二層監査 | 品質監理部長監査 | 検査部門が行う完成検査業務及び自主監査等に対する監査 | 2ヵ月に 1回 |
完成検査部門 〔湖西工場、相良工場、磐田工場、浜松工場〕 |
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三層監査 | 内部監査部技術・生産グループ監査 | 一層、二層監査結果を踏まえた完成検査業務における内部統制の有効性についての監査 | 適宜 | 完成検査部門〔湖西工場、相良工場、磐田工場、浜松工場〕 品質保証本部〔検査部、品質監理部〕 技術管理本部 認証技術部 |
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取引先品質監査 | 定期品質監査 | 取引先の品質管理体制と品質管理の実施状況等の監査 | 6ヵ月~ 4年に1回※ |
スズキと取引関係にある取引先 |
スズキグループでは、国際標準規格であるISO9001シリーズを品質マネジメントシステムとして導入しています。国内5工場をはじめ、インド、インドネシア、タイ、ハンガリーなどの海外主要工場でも認証を取得しています。
2022年度のスズキグループ四輪車世界生産台数(3,210千台)に占めるISO9001シリーズ認証取得工場での生産実績は約99.9%になります。今後もスズキグループ全体で品質マネジメントを推進し、品質の向上に取り組んでいきます。
国名 | 工場名 | |
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1 | 日本 | スズキ株式会社湖西工場 |
2 | 大須賀工場 | |
3 | 相良工場 | |
4 | 磐田工場 | |
5 | 浜松工場 | |
6 | インド | マルチ・スズキ・インディア社 |
7 | スズキ・モーター・グジャラート社 | |
8 | スズキ・モーターサイクル・インディア社 | |
9 | TDSリチウムイオンバッテリー グジャラート社 | |
10 | パキスタン | パックスズキモーター社 |
11 | インドネシア | スズキ・インドモービル・モーター社 |
国名 | 工場名 | |
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12 | タイ | スズキ・モーター・タイランド社 |
13 | タイスズキモーター社 | |
14 | ベトナム | ベトナムスズキ社 |
15 | フィリピン | スズキフィリピン社 |
16 | ハンガリー | マジャールスズキ社 |
17 | アメリカ | スズキ・マニュファクチャリング・オブ・アメリカ社 |
18 | コロンビア | スズキコロンビア社 |
19 | 中国 | 済南軽騎鈴木摩托車有限公司 |
20 | 常州豪爵鈴木摩托車有限公司 | |
21 | 台湾 | 台鈴工業股份有限公司 |
※ISO9001シリーズにはIATF16949を含む
製品の品質の安定と向上及び原価の低減を図ることを目的に、お取引先様と一体になり良好な品質を維持できる部品の調達のため、部品の設計段階から品質の管理に取り組んでいます。
新たに取引を開始する場合には、お取引先様から入手した資料に基づき、調達部門、品質部門、技術管理部門等がお取引先様へ出向き、必要な調査を実施し、スズキが要求する基準を満たしていることを確認します。
既存のお取引先様に対しては、お取引先様の品質管理体制の確立を図り、常に良品を納入いただくことを目的に、お取引先様の品質ランクから監査の実施回数を決めて、お取引先様の品質管理活動を監査させていただいています。不具合を確認した場合には、その場でお取引先様と協議し、後日、改善計画を提出、及び改善実績を報告していただきます。改善が見受けられた場合には継続してお取引させていただきます。
また、毎年1回「調達方針説明会」を開催し、スズキの政策や商品・生産計画を共有するとともに、それらに基づく調達方針を伝え、お取引先様と方針を共有して品質の向上に努めています。
お客様にお車を安全、安心してお使いいただくために点検や整備を行うこと、分かりやすい整備説明やアドバイスを行うことを重要と考え、アフターサービス(以下、サービス)活動に取り組んでいます。
また、製品の使われ方やお客様の製品に対する要求・要望を知ることは、「お客様の立場になった製品づくり」にとても大切なことと考えており、市場の情報をいち早く入手・分析し、製品の企画・開発に結びつけたり、万一の不具合に対して早期に対策を行っていくことに努めています。
スズキは販売代理店との情報の共有及び収集を行うため、日ごろからコミュニケーションを図るとともに、サービス責任者会議を実施して意思の疎通に取り組んでいます。
また、適宜、販売代理店のサービス会議に参加して情報の共有と収集を行い、販売代理店とともに販売店へ訪問し、品質およびサービスに関するご意見、ご要望を直接聴取して迅速な改善に結び付ける活動を行っています。
製品に品質不具合が発生し、リコール等が必要と決定した場合は、迅速に関係官庁へ届出を行います。
また、お客様の安全確保を最優先とし、以下を実施して迅速な修理を行っています。
(国内四輪) |
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リコール | 改善対策 | サービス キャンペーン |
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件数 | 台数 | 件数 | 台数 | 件数 | 台数 | |
2020年度 | 11 | 2,658,256 | 1 | 290,797 | 6 | 1,633,587 |
2021年度 | 11 | 443,426 | 2 | 783,665 | 0 | 0 |
2022年度 | 15 | 343,770 | 0 | 0 | 3 | 213,140 |
(国内二輪) |
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リコール | 改善対策 | サービス キャンペーン |
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件数 | 台数 | 件数 | 台数 | 件数 | 台数 | |
2020年度 | 3 | 16,047 | 1 | 62,888 | 0 | 0 |
2021年度 | 2 | 4,108 | 0 | 0 | 1 | 307 |
2022年度 | 2 | 5,189 | 0 | 0 | 1 | 3,239 |
2020年度~2022年度において、リコールやサービスキャンペーンは行っていません。
品質保証に関わる従業員のスキルアップを目的にレベルに応じた教育や資格の取得、また、品質の重要性を啓発する品質学習室による教育等を実施しています。
市場品質対応として必要な手法や考え方のできる人材を養成するため、従業員を対象に品質教育を実施しています。
講座 | 内容 |
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市場品質の基礎講座 | 市場品質対応業務にこれから携わる従業員が対象。市場品質対応業務に求められることは何か、必要な手法の基礎を学ぶ。 |
市場品質の中級講座 | 市場品質対応業務の中堅を担当する従業員が対象。市場品質対応業務で難しい判断が求められる問題・課題に対し、判断のよりどころとなる考え方や実践的手法を学び、業務のスキルアップを図る。 |
燃費不正、検査不正など、一連のリコール問題を風化させないことを目的として、品質学習室を2017年に本社に開室しました。その後、各工場でも個々に学習室を整備し、品質の重要性を全社員に周知徹底しています。
また、開室以降定期的に内容を更新し、全従業員が継続的に学べる場とするとともに、品質問題を自分事として捉え考えることができるよう、学習者からの意見を関係部門に展開し回答するなど、双方向のコミュニケーションを進めています。
2022年度参加実績:9,756人(本社品質学習室)
お客様に満足いただけるアフターサービスを提供するために、積極的に販売代理店サービススタッフの育成に取り組んでいます。
サービススタッフに、確かな知識と整備技術を取得していただき、お客様満足度とお店の信頼につなげ、同時にサービススタッフの自己啓発意欲の促進を図ることを目的に技能資格制度を設けています。また、四輪部門の実技課目には整備技術の他に応対技術を組み入れています。
(四輪部門)スズキサービス技能制度:3級→2級→1級
(二輪部門)スズキ二輪整備士制度:3級→2級
代理店及び販売店サービススタッフの知識と技術の向上を図るため、Eラーニング(SGT:Suzuki Global Training)を導入しています。スタッフのレベルに応じて実施し、お客様満足度とお店の信頼の向上に取り組んでいます。
コース:初級→ブロンズ→シルバー→ゴールド
お客様に満足いただくためのサービス体制づくりを目指し、その基本となる整備技術の向上を目的として、サービス技能競技会を開催しています。
お客様相談室では、お客様とスズキが直接つながる窓口として、さまざまなお問い合わせやご相談に対し、お客様の立場に立った迅速で的確、丁寧な対応を心掛け、お客様に安心とご満足をいただけるよう日々CSの向上に努めています。
近年急速に普及している先進運転支援システムをはじめ、ハイブリッドやネットワークと連携する車載情報機器など、自動車の構造はますます複雑化しています。
こうした新技術へのお問い合わせに対して迅速で適切な説明を行えるよう、担当者への教育を適宜実施するとともに、お客様サポート支援システムなどのツール整備を図っています。
その他、製品のご購入やメンテナンス等、当地での対応が必要なご用件には、全国のスズキ販売代理店ネットワークと連携して、適切なサポートを実施しています。
お客様からいただいた貴重な声は、品質やサービスを向上させるための"大切な宝物"と捉え、お申し出を社内各部門に伝えて、製品開発、製造、品質、販売及びアフターサービス等の改善や向上につなげています。
これらの貴重な情報は、データを一元管理するシステムによって効率的に管理し、個人情報の保護に配慮した上で社内イントラネットに掲載する他、情報の重要度に応じて即時に社内展開する体制づくりも行っています。