×

企業情報 > サステナビリティ > はじめに / 2030年度に向けた成長戦略

2030年度に向けた成長戦略

成長戦略の骨子

スズキは2030年度に向け、主要事業地域である日本・インド・欧州を核にして、カーボンニュートラル社会の実現とインド・ASEAN・アフリカなどの新興国の経済成長に貢献していきます。お客様の立場になった製品・サービスづくりと進出国・地域とともに成長するというスズキらしい解決策に取り組んでいきます。

2030年度に向けた主な取り組み

<カーボンニュートラル>

スズキは、各国政府が掲げる達成目標時期に基づき、日本・欧州で2050年、インドでは2070年のカーボンニュートラルの達成を目指しています。

〜 製品分野 〜

お客様の選択肢を広げ、地域のニーズに合った製品・サービスをお届けするとの考え方を軸に、地域ごとのカーボンニュートラル目標の達成に取り組んでいきます。

四輪車

当社の主要事業地域である日本、欧州、インドの2030年度におけるパワートレイン比率の目標を定めました。日本とインドのバッテリーEV比率が低くなっていますが、これは各国の充電インフラやエネルギー事情などを考慮したうえで、最終的にEVに至るまでは、ハイブリッドなど複数の選択肢を用いた、より現実的なアプローチを考えているためです。

日本

欧州

インド

例えば、インドのエネルギー事情について、発電量のうち、CO2を出す石炭火力による発電が7割以上を占めているため、EVの普及がそのままカーボンニュートラルに繋がらないのが現実です。そのため、当社は今後台数が増えていくインドにおいて、ハイブリッドだけでなく、ガソリンよりもCO2排出量の少ない圧縮天然ガス(CNG)車や、その先のカーボンニュートラル燃料として期待されるバイオガスなども加えた、「マルチパスウェイ」で対応していきます。

二輪車

通勤・通学や買物など生活の足として利用される小型・中型二輪車は、2030年度までにバッテリーEV比率25%を計画しています。趣味性の強い大型二輪車については、カーボンニュートラル燃料での対応を検討しています。

船外機

湖沼や河川で多く使われる小型船外機は、2030年度までにバッテリーEV比率5%を計画しています。海洋で使われる大型船外機については、カーボンニュートラル燃料での対応を検討しています。

〜 製造分野 〜

日本国内の工場は、2035年度のカーボンニュートラル達成に挑戦していきます。

スマートファクトリー創造

世界の生活の足を守り抜く企業であり続けるために、2030年度のものづくりのあるべき姿を描き、スズキ・スマートファクトリー創造を進めています。スズキのモノづくりの根幹である「小・少・軽・短・美」とデジタル化の推進を組み合わせることで、データ・モノ・エネルギーの流れを最適・最小化、簡素化し、徹底的にムダをなくして、カーボンニュートラルへ繋げていきます。

国内工場での取り組み

国内最大の生産拠点である湖西工場では、塗装設備の刷新と塗装技術の向上により、使用するエネルギーを効率化/最適化し、塗装工場のCO2排出量30%削減に取り組んでいます。さらに、太陽光発電などの再生可能エネルギーからグリーン水素を製造し、その水素をエネルギー源として荷役運搬車両を走らせる実証実験を2022年末に開始いたしました。
二輪車の生産拠点である浜松工場は2030年のカーボンニュートラル達成を宣言しておりましたが、エネルギー使用量の削減や太陽光発電設備の増設など再生可能エネルギーへの転換により、カーボンニュートラル達成を2027年度に前倒しました。浜松工場のノウハウを他工場にも展開することで、2035年度の国内全工場のカーボンニュートラル化に取り組んでいきます。

〜 インドのバイオガス事業 〜

2030年度に向けて、インド市場は今後も成長を見込んでいますが、製品からのCO2排出量を削減しても、総排出量の増加が避けられない見通しです。これからもインドとともに成長していくために、販売台数の増加とCO2総排出量の削減の両立に挑戦しています。
そのためのスズキ独自の取り組みとして、インド農村部に多い酪農廃棄物である牛糞を原料とするバイオガス燃料の製造・供給事業へ挑戦していきます。このバイオガス燃料は、インドCNG車市場シェアの約70%を占めるスズキのCNG車に使用することができます。

スズキは、インド政府関係機関の全国酪農開発機構、アジア最大規模の乳業メーカーであるBanas Dairy社と3者間で5つのバイオガスプラントをグジャラート州に設置することで合意をし、着々と歩みを進めています。また、日本で牛糞を原料としたバイオガス発電を手掛ける合同会社富士山朝霧Biomassに出資し、知見の蓄積を始めています。

インドにおけるバイオガス事業は、カーボンニュートラルへの貢献だけではなく、経済成長を促し、インド社会に貢献するものと考えています。また、将来的にアフリカやASEAN、日本の酪農地域など他地域に展開することも視野に入れています。
インド自動車産業のリーディング企業であるスズキが、新興国のカーボンニュートラルと経済成長に貢献することは、先進国と新興国が協調してCO2排出量を削減するパリ協定の趣旨にも合致するものであり、全世界のステークホルダーに対して貢献できると信じて取り組んでいきます。

<研究開発体制・外部連携>

スズキ本社、横浜研究所、スズキR&Dセンターインディア、マルチスズキが連携し、将来技術、先行技術、量産技術の領域分担をしながら、効率的に開発していきます。また、スズキがインドに徹底的に根付くため、スズキイノベーションセンターが探索活動を行っています。さらに、スタートアップ企業、スズキ協力協同組合、日本・インドの大学との共同研究による産学官連携などグループ外とも連携しながらモノづくりの力を高めていきます。
トヨタ自動車株式会社とは、競争者であり続けながら協力関係を深化させ、持続的成長と自動車産業を取り巻く様々な課題克服を目指していきます。自動運転や車載用電池などをはじめとした先進技術開発、将来有望な新興国でのビジネス拡大、インドでのカーボンニュートラルに向けた取り組み、また環境に配慮した循環型社会の形成に向けて協業していきます。
2022年に設立したコーポレートベンチャーキャピタルファンドのSuzuki Global Venturesでは、企業及び既存の事業の枠を超えスタートアップとの共創活動を加速しています。日本のみならず海外においても、お客様や社会の課題解決に資する領域に投資をし、スタートアップとともに成長するエコシステムの発展に貢献していきます。

<研究開発・設備投資>

2023〜2030年度までの8年間で、研究開発に2兆円、設備投資に2.5兆円、あわせて4.5兆円規模を投資していきます。4.5兆円のうち、電動化関連投資に2兆円、そのうち5,000億円を電池関連に投資していきます。
研究開発への投資は、電動化、バイオガスなどのカーボンニュートラル領域や自動運転などに2兆円を計画しています。
設備投資は、バッテリーEV工場の建設や再生可能エネルギー設備などに2.5兆円を計画しています。
なお、2023年度の実績は、研究開発費が2,342億円、設備投資は3,215億円となりました。

<連結売上高目標>

前期の連結売上高は過去最高の5.4兆円となりました。さらに、当期は5.6兆円以上を目指していきます。これからも、新興国の成長に貢献することで、スズキもともに成長していきたいと考えています。2030年度には7兆円規模を目指して挑戦を続けていきます。

レポート目次

ESGインデックス