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(特集)10年先を見据えた技術戦略を発表

2024年7月18日、スズキは「技術戦略説明会」を行いました。
スズキは製造からリサイクルまで「エネルギーを極少化させる技術」を実現し、世界中の人々に移動する喜びをご提供しつつ、カーボンニュートラルな世界を目指します。

鈴木俊宏 社長

■カーボンニュートラルに向けて

「小・少・軽・短・美」の理念に基づき、使うエネルギーを極少化して、出すCO2を極限まで小さくします。これが私たちの考える技術哲学です。製造からリサイクルまで「資源リスクと環境リスクを極少化させる技術」を目指し、世界中の人々に移動する喜びをご提供しつつ、カーボンニュートラルな世界の実現を目指します。

私たちスズキは、移動する手段としてちょうど良いサイズのクルマ、軽くて燃費が良いクルマ、安全で必要十分な装備を備えたクルマ、言い換えれば、必要エネルギーが極少となる安全な小さいクルマを作ってきました。車重が200kg軽いと、製造時のエネルギーは約20%少なく、また走行に必要なエネルギーは6%少なくて済みます。小さくて軽いクルマは、エネルギーの極少化に大きく貢献することができます。

「小・少・軽・短・美」は、まず動かすために必要なエネルギーが小さくて済みます。すると必要な電池や、燃料も少なくて済みます。電池が小さければ、充電に必要なエネルギーが少なくて済みます。更にモーターもエンジン排気量も小さく、モーターや排気量が小さければ使う材料も少なく、小さいものであれば製造エネルギーも少なく、軽いものであれば衝突エネルギーも少なく、リサイクルの負担も小さく、コストも資源リスクも少なく、更に軽いクルマは道路や埋設された水道管やガス管などへのダメージも小さくでき、インフラ整備のためのエネルギーも少なくて済みます。軽いということは、様々な良いことに繋がる天使のサイクルを作り出します。

■エネルギーの極小化5つの柱

「小・少・軽・短・美」でエネルギーの極少化を実現させるため、5つの柱として技術開発を進めていきます。

  • 全ての基本として全体を支える「軽くて安全な車体」
  • お客様の用途に合わせて適所適材で「バッテリーリーンなEVとハイブリッド」
  • 「効率の良いICEとCNF技術の組み合わせ」
  • アフォータブルな仕組みでクルマの価値を創造する「SDVライト(right)」
  • サーキュラーエコノミーに向けた「リサイクルしやすい易分解設計」

10年先を見据え、製品の素材から、製造、お客様のご使用、そしてリサイクルまでトータルの「エネルギーを極少化させる技術」を実現し、サステナブルな社会づくりに貢献していきます。

加藤勝弘 専務役員

■エネルギー極小化の原点

企業の生産活動には、環境リスクと資源リスクがあります。環境影響を極少に、そして限りある資源を大切につかうこと。これらを融合(ハイブリッド)し、リスクを極少化していくことが大きな使命であり、課題です。小さい車は資源リスク・環境リスクを極小化でき、社会全体のエネルギーセキュリティの向上に寄与します。

非化石エネルギーの普及状況によって、EVかHEVのどちらの環境負荷が少ないかは異なります。地域と時期を見計らって、EV、ハイブリッド、あるいはカーボンニュートラル燃料を使う内燃機関を選択するなど、技術のラインアップのマルチパスウェイ化が必要だと考えています。

①軽くて安全な車体

更なる10年を見据え、軽量化100kgにチャレンジします。省資源と環境に貢献する安全で軽量な「HEARTECT(ハーテクト)」を更に進化させ、軽量化技術によるエネルギーの極少化に取り組んでいきます。

②バッテリーリーンなBEV/HEV

スズキは国や地域、お客様の使用状況に合わせ、エネルギー効率がベストとなる選択で、過剰にバッテリーを搭載しない、「バッテリーリーンな電動車」をお客様にお届けすることを目指し、エネルギーを極少化した電動車を開発していきます。

③効率良いICE、CNF技術

高効率エンジンの技術を軽自動車から小型車のエンジンに水平展開するとともに、バイオガスやバイオエタノールといったCNFをより少ない燃料で上手く燃やすことを追求していき、高速燃焼による高効率化と排ガスもクリーンにしていく開発を行っていきます。

④SDVライト

SDVについても「小・少・軽・短・美」によるエネルギー極少化を具現化したアフォーダブルな仕組みでクルマの価値を創造する「SDVライト」を開発し、お客様に「ちょうどいい」「これでいい、これがいい」と感じていただけるものをご提供していきます。

⑤リサイクルしやすい易分解設計

エネルギー極少化に向けて、技術を磨きながらライフサイクル全体を考えたサーキュラーエコノミーの観点で回収システムの構築、樹脂の再資源化によるリサイクルや、リサイクルしやすい易分解設計、再生材の利用促進、街灯に活用するなど、現在も行っている電池のリユースをさらに拡大した取り組みを進めてまいります。

技術の小さな積み重ねを決して惜しまず、工夫し、「必要エネルギーの極少化」をより効率的に、より安く、より早く実現します。全員参加、全体最適で目標に向かいチャレンジしていきます。

レポート目次

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